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変換なしの雑食夢

ran

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死屍累々 10

「奥方は毛利に懸想しておったか?」
「はい」
「…」
「…」
「否定、せぬのか?」
「していかがいたします?信実そうでありましたし、今でも淡い初恋は初恋ですので」
「似合わぬなぁ」
「まだ前髪も上げておりません折の話です」
「左様か。主もそのような時があったか」
「私の赤子でしたし、成長して大人になって老いて死にます。」
「ひひひ。本に今は美しき時か?」
「若いうちが美しいというのは男の勝手で御座いますよ。老成しても美しい人はたくさんおりましょうから」
「主らしい」
「さて大谷様。そんなことより衣装の丈を見せてくださいませ。新しい衣を誂えませんと」
「主も好きよなぁ」
「嫁いだからには出来るだけ安らかにお過ごしいただきたいのですよ」
「我は主の夫ではないがな」
「我が夫とは病の折より会っておりませぬ。またどこぞでなんぞしておられるのでしょう」
「冷や冷た」
「あちらには手紙を書きましたが真っ二つに切って送り返されました。」
「何かの間違え」
「お見せいたしましょうか」
「三成め」
「私の名も出さぬ方がよろしいかと。島様曰くご機嫌がすこぶる悪いとおっしゃっておいででしたからね。それに周りから何も言ってこないところを見るとお元気なのでしょう。なにより、旦那様は私がいない方が宜しいようですので」
「其れはないと言いたいが…」
「お気遣い忝なく思います。松寿丸様の事も内通などはありませんし、ましてやこの私が毛利家に嫁げるはずもない事はあなた様が良くご存知かと」
「何故、そう思わしゃる」
「そう返すからですよ」
「ひひひ」
「平々凡々の我家から此方に嫁げたのは私達の生業のせいで御座います。それを知らぬあなた様ではありますまい」
「さて、なぁ」
「別に良いのですけどね。さぁ、丈は取れましたし直ぐに直しておきます。ああそれと。太閤殿下の命で此れから竹中様のとこに参ります。」
「またか?」
「ここの軍師様方はご自分の体を軽んじられまするから。大谷様も食事をきちんと済ませてくださいませ」
「あい、わかったが…」
「?」
「主もくわしゃれ。痩せてきておる。」
「…あいわかりました」









死屍累々 10








「半兵衛様、お呼びでしょうか?」
「ふふふ、忙しいところ悪いね。」
「いえ…奥?!」
「一昨日より看病してくれてね。少し疲れが出たみたいだね。珍しく寝てしまったよ」
「…」
「あの机の上にある書類を頼むよ」
「は、い」
「内心穏やかではないかな?」
「い、いえ!」
「ふふふ。大切にしなさい。此れはただの女ではないからね」
「は?」
「君の懐刀になるはずだよ」
「???」
「あれ?聞いていないのかい…彼女は」
「…竹中様」
「っ!」
「おっと。時間切かな」
「少し寝てしまいました。申し訳ございません」
「構わないよ。丸2日寝てなかったのだからね」
「…お茶をいれて参ります」
「お、おい!待て!!!」
「っ」
「食べているか?!隈は仕方がなくとも痩せすぎだ」
「…」
「何だ」
「あなた様に言われるとは不覚と思っているのです」
「な?!」
「…失礼します」
「おい!待て!!!」

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