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変換なしの雑食夢

ran

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死屍累々 12

朝、左近の騒がしい音で目を覚ます。昨日は久々に褥を共にしたせいか瞼が重い。何よりも初めて見た奥への涙と苛立たしさの為に呼び寄せた五島を抱いた事への罪悪感とで気分が頗る悪い。不意に横を見ると寝ている五島。よく、似ているのだ。私の奥に。


『姉に恋をしていらっしゃるのでしょう。私を姉だと思ってくださっても構いません』



口からついて出た愁傷な思いと裏腹に求める所は大きな女だ。衣服に宝飾品。全く奥とは違うのだ。






「探せ!」
「今侍女たちが探しています!ただ、此処は大きいんっすよ。絡繰も多いから怪我してないか心配で」
「門番がいるはずだ!それに聞け!」
「あ!そっか!!!流石三成様!俺も行ってきます!」
「ふんっ!」
「三成、様?」
「早く着替えろ」
「姉が怪我をする事などありませんよ」
「…如何いう意味だ」
「あの人はただの…いえ。私から言う言葉ではありません。竹中様か大谷様に聞けばすぐに教えてくださいましょう」
「…」
「きっと、北へ行ったのでしょう。この部屋と姉の部屋はすごく近いから…」
「っ!」





その時初めて気が付く。白痴と言うには余りにも稚拙で、残酷な行為を私はしていたのだ。




「北」
「三成様」
「奥」
「私を姉だと」
「違う!触るな!!!」
「なら、何故」
「何故」
「姉を愛さないのですか?」
「愛す?」
「三成様?」
「愛するなど…私に理解できるはずもない」





絶望しなくてはならない。恋慕親愛の類の情を私は理解しかねる。幾ら、あれを思っても私はどうすればいいのかすら、解らず終いだ。慈しみ大切にする事以上に傷付けて壊してしまう事しかできない。


私は、あれを、どう、したい?






「貴方様は姉を見た瞬間に恋に落ちたのでしょう?」
「黙れ」
「でも、どうすれば分からない。大切であればある程貴方の両腕は姉から遠のく。傷つける事しかできませんもの」
「黙れ!!!」
「だから、私が丁度いいのですよ」
「何、を」
「姉と似た外を持つ、大切でない女の私が」
「…」
「傷つきもせず、壊れませんよ」
「…だが、貴様は奥ではない」
「ですから…私を奥にしてしまえば姉を貴方が壊さずに済みます」
「!」
「声も匂いも何もかも姉そっくりな生き人形でございますよ」
「っ」
「さあ、私の腹にあなたの稚児を、旦那様」









死屍累々 12










「…」
「此処にいたのか」
「…」
「また喋らんつもりか…まぁいい」
「?」
「離縁状だ。」
「はい」
「…此の期に及んで無表情か」
「長らくお世話になりました」
「…」
「五島を宜しくお願い申し上げます」
「あれを正室におく」
「はい」
「今すぐ、この大阪城から出て行け」
「あいわかりました」



そう言って私は一礼すると立ち上がる。いるものは少ない。嫁入り道具はそのまま五島のものとなるのだろう。荷物なんてあってないものだ。そして顔を上げると旦那様はもういなくなっていた。


あっけのない話だな思いながら笠を探す。いや、これも要らないか。




「間に合ったかい?!」
「竹中様」
「間に合った!」
「いえ、離縁状はいただきました」
「君がいればなんとかね…にしても行くあてが有るのかな?」
「さぁ。…お約束通りなら西に参るだけですよ」
「そうだね。でも…君はそれでいいのかい?」
「いい悪いも。一人で生きて大阪を出られず、と仰ったのはあなた様です」
「…」
「覚悟は出来ておりますよ」
「待ちたまえ!」
「介錯を」
「っ!!!」

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