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変換なしの雑食夢

ran

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金木犀

「ぬしが、太閤の姪御殿、か?」
「はい。貴方様は?」
「ひひひ。三成の友と申せばいいか。大谷という。」
「石田様の?」
「左様。ぬしにちとお願いってな」
「はぁ。…どうぞ縁に。」
「縁?」
「御武家の家とは違い客間はこの家にはありません。見ての通り、囲炉裡部屋とお勝手だけです。その様なところに御通しするわけにも参りませんし…。日も当たりますし、暖かいのでご安心を。今御座布団を」
「ありがたや。ありがたや。」
「少しお待ちください。…粗茶を」
「ひひひ」
「失礼いたします。その、ご用件は?」
「ぬしに頼みは他でもない」
「?」
「石田三成を知っておられるか?」
「何度か伯父上たちの文を届けて下さいましたので」
「その三成がなぁ」
「?」
「三成が食さぬでな…最近特にひどい」
「まぁ。お体の具合でも?」
「やれ、いつもの事だが今回は目に余ってなぁ。以前ぬしの食事は美味しいと言っておったのを思い出してな。ぬしのならと思い訪ねてきたのよ」
「はあ」
「ぬしに頼む話ではないが、何か作ってやれぬか?」
「ですが…」
「このままではやせ細って倒れてしまう」
「っ?!しかし。」
「いかぬか?」
「そう、ではなく。」
「?」
「半兵衛様でしょうか?」
「…本に。噂通りよの。しかし。三成が食さぬのも事実よ」
「申し訳ございません。半兵衛様は策は練られても嘘をつく方ではありませんし、貴方様を疑っているわけではなく、その」
「?」
「その様なことは御正室様や許嫁様がなさる事では、と。ご身分の高い方ですので…御相手がおられますでしょうし。その方のご心中をさっすると…はいとは言いづらいのです」
「ぬしにとって三成は随分優しい男と見える」
「違うのでしょうか?」
「あれは不器用でなぁ。故に我が駆り出される。」
「ふふふ。」
「ん?」
「とても仲がよろしいのですね」
「そう見えるか?」
「ええ」
「で、如何か?」
「半兵衛様には石田様が食すまで。華美な調度や支度は入りませぬと。一時的な下女と御思いくださるのなら。それに時折墓前を参らせてくれるのなら参りましょうとお伝えください。」
「あいわかった。では荷を纏められよ。直ぐに経つ故」
「直ぐですか?」
「早う帰って見張らぬとなぁ。我も大変…ん?これは?」
「以前御ばば様が亡くなる前に届けてくださったものです。風呂敷をお返ししたくとも何を中に入れようかと思案しているうちに…御恥ずかしい話です」
「あれはぬしへか」
「?」
「滋養に良いものと聞かれて我が用意立てたものよ。」
「貴方様が…。お話には聞いておりました。ではますますもって断れません。」
「誠義理堅い」










大阪城に着くなり半兵衛様に出迎えられて私は驚く。現金な方だことと思いながら一礼する。一応、大谷様と一緒に件の話をしたものの聞いておられるか否か…きっと後者だろうと思いながら裏口の場所を尋ねる。
にしても。簡素な割には掃除が行き届いていない。どういうことかしらと思いながら周りを見ると侍女どころか下女の姿が見えず驚いてしまう。




「驚いたかい?」
「お食事などどうなさっているのですか?」
「色々だよ。」
「…半兵衛様」
「僕たちの分まで作ってくれると助かるよ」
「繕い物と雑務もですね。」
「さすが小姫」
「矢の催促の理由がわかりました。以前おられた下女の方々は?」
「暇を出したんだ。あまりにもひどくて。其れでも徒士の方にはいるけどね」
「そうですか」
「うん。」
「私、お墓前りに行く時間ありますか?」
「んー?どうだろう」
「はぁ。童の折から思いましたが人使いの荒い。」
「6つの時分で家政を覚える才女だからね。仕方ないさ」
「大谷様」
「ん?」
「御恨みいたしますわ」
「ひひひ。総ては賢人のせい。我は知らぬ。しらぬ」
「…事情が事情ですから頑張ります。」
「ひひひ」







半兵衛様と大谷様を見送って荒廃した台所を見る。挨拶はいいとのこと。どうにかしろということだろう。ため息をつく暇はないらしい。埃だけだからまだ良いと自分を慰めながら私は食料庫へ向かうのだった






金木犀






「失礼いたします。昼餉をお持ちいたしました」
「いらん!」
「石田様」
「今は其れどころではない!さが、れ?」
「御忙しいのでしたら後でお持ちいたしましょうか?」
「…姫、様?」
「はい」
「っ?!な、なぜ!!!」
「大谷様に聞いておられませんでしたか?え?!あの、石田様?」
「刑部!!!!」
「どうしましょうなにかさけんで…」
「三成、はいる…ちい?」
「伯父上。お久しぶりです」
「何故、此処に」
「食事と下手間がいないので…半兵衛様に」
「そうか」
「お礼を。竹中の御隠居様に聞きました。」
「いや、我こそ」
「…お体を大切にと御ばば様が」
「ん」
「…お食事お持ちいたしたいのですが。石田様がどこかに行かれて」
「そうか」
「一度下げます。伯父上はどちらに?」
「部屋に。三成のも。皆そこにいる。お前も」
「私は良いです。皆様の分お持ちいたします。」
「…」

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