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変換なしの雑食夢

ran

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胡蝶蘭

「っ…。はっ!」
「ちい?」
「い、や。やだ!助け、て」
「ちい、ちい。起きろ。」
「っ!?」
「私だ」
「三成、さ、ま?」
「ああ。水を飲むか」
「いいえ」
「どうした?」
「…」
「ちい?」
「夢ではありませんか?」
「夢の方がいいか?」
「…いいえ」
「私は嬉しい。こう貴方を抱いて寝れるのだから。嫌がると思ってだ、控えていたが。大きくなったな」
「三成様はお痩せになられました」
「私はやっとまともに寝られると喜んでいる。貴方が」
「ん」
「私横にいないと寝れない。食べたくもない」
「困った人」
「ちい」
「はい」
「恐ろしい夢を見たら私の名を呼べ。夢だろうが現だろうが必ず助けてやる」
「はい」
「やはり」
「?」
「離れて寝るからだ」
「ですが」
「こちらに来い。寒くてかなわない」
「…」
「嫌か?」
「嫌ではありませんが…」
「ちい」
「すいません」
「なら、手を出してみろ」
「?」
「手を握る分には構わないか?」
「…はい」
「これで安心だ。例え夢でも私は貴方の傍にいる。」
「…三成様」
「ん?」
「私を厭いませんか?」
「???」
「忌々しいや浅ましい女と思いませんか?あの、男に」
「言うな」
「ですが」
「いや、怒っているわけではない。わかっているということだ。わかっていることをわざわざ言って貴方が嫌な気分になるのは遺憾だからいいと言っているだけだ」
「は?」
「彼奴が、貴方によからぬ劣情を抱いていたのは気がついていた。」
「え?」
「会うたびに貴方のことを聞くからな。私でもそれくらいはわかる。何が何でも我が物にしたかったのだろう。其処には貴方の意思はない。だから私の子を孕んだ貴方を殺すかもしれない。良くて腹の子を堕しているだろうと。貴方悲しみを考えただけで腸が煮え繰り返る思いだった。だから、貴方の機転で無事にいてくれたとわかった時。どれ程嬉しかったか」
「…」
「身を守ることが貴方にとって拭いがたい恥辱だったのはわかっている。貴方を失って、奴の子を孕ませたと聞いた時。腹立たしいよりも貴方のことが気がかりだった。裏切りだと勘違いして自害されては困る。元気な姿で名を呼んでくれればあとは何でもいい。私は」
「三成様」
「貴方を尊敬している。親愛の情とともに尊敬の念を貴方に抱いている。其れはどんなことが起きようともなくなりはしない」
「私は」
「ちい」
「私、は」
「では一つだけ聞く。」
「?」
「一瞬でもあの男のことを愛したか?」
「!?」
「急に起き上がるな。…ちい?」
「三成様の馬鹿。」
「ん」
「私が、恥辱の中にあったのも。貴方の子を孕んでいたから。」
「痛い。叩くな、ちい」
「私は、尼になって、お婆様の菩提を弔うと思っていて。其れなのに。お武家様と、結婚までしたのは!」
「ちい」
「貴方を!愛していたから。」
「うん」
「他の誰でもない。貴方を愛していたからこうまでして生きているのです」
「ちい」
「其れなのに」
「すまない。意地の悪いことを言った。」
「馬鹿」
「ん。だが、今迄以上に貴方が愛しい」
「しら、ない」
「泣かないでくれ。ちい。」
「っ!」
「愛している。厭うことも嫌うこともない。」
「…」
「だから、こちらに来い。ちい。心配も憂いも恐怖も憎しみも。全て私が払拭してやる。」
「…はい」
「共に眠ろう。共に起きて共に育て、共に生きよう。」
「…はい」
「愛している」
「私も」
「ん」
「愛しています」







胡蝶蘭








「ちい」
「はい」
「産衣か?」
「はい。あと古い布を頂いたので襁褓も」
「大変だな」
「三成様との子ですから。苦にはなりません」
「そうか」
「で、其れは?」
「カゴを編もうかとな御隠居様にご指南頂いた」
「貴方様が?」
「何だ?」
「い、え」
「顔が笑っている」
「だって」
「昼餉までできる。刑部!」
「あいわかった。わかった。砂羽衣」
「はいはい。手伝いますよ」
「我らはゆるりとしようなぁ。」
「いいのですが?」
「あれは女子の皮を被ったゴリラよ。安心いたせ」
「砂羽衣!!!貴様!!!」
「いえあちらの方が」
「其れは万事合いの手よ。」
「…」
「喧嘩しりゃるな。ちい殿が困り顔よ」

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