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変換なしの雑食夢

ran

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「…」
「…」
「…」
「…」
「…ふう」
「お茶で御座います」
「すまん。」





「老夫婦?」
「熟年夫婦といわしゃれ。…最近は縁で二人で仕事をしていることが多い故。微笑ましいものよ」
「本当にね。見た目だけはお雛様とお内裏様の様だよ。戦一辺倒の彼に春が来たなんて」
「親代わりとして感無量よな」
「相手がちいなのも良いね。流石三成君。見る目がある」




針山に針を刺して背を伸ばすと三成様が見ていて思わず固まってしまう。何と、無礼なことをしてしまったのだろうと急いで謝ると少しだけ微笑まれて構わないと言ってくれるものだから居た堪れない。
三成様は書類を纏めていらっしゃって私は繕い物をする。お互いが暖かい日差しに誘われてこの妙な空間を作って早一週間。少し気を緩め過ぎていたかもしれない。気をつけないと思案しているとちい殿と声をかけられる



「はい」
「百面相になっていた」
「あ、ああ。すいません。」
「何故謝る?」
「竹中の御隠居様に」
「半兵衛様の?」
「もし万が一武家に奉公へ行くことになったら一切笑わずにいろと言われて育っていました。恐ろしい狼のような獣物に食べられてしまうからと」
「それは」
「だからお武家様には出来るだけ近づくなと。伯父上も半兵衛様ももうお武家様だから無闇に笑ってはならない。それを見た他のお武家様につて行かれるから…幼い折でしたがすごく怖く…三成様?」
「…」
「!」
「ん?」
「まさか…」
「いや?!その様なことはない!決して貴方をそんな目には」
「お武家様はやはり狼を飼われているのですか?見たことがありませんが…」
「それは、その。ああ。飼っているから。私や刑部、秀吉様、半兵衛様のみがいる時以外はその戒めを守ったほうが良い」
「わかりました。あっ」
「如何した」
「半兵衛様には内緒にしてください。もし聞かれたら御隠居様が鬼に食べられてしまうのです」
「ん…善処する」
「もう一服?」
「貰う」






緑色の茶を淹れて手渡すと再び書類に戻るかと思ったら繕い物の方に意識を向けていられたので如何しましたかと尋ねる。


「着物だが」
「はい」
「支給のものを着ないのか?」
「あんな上等なものもったいなくて」
「然し」
「私は下女ですし…本来この様に良くしていただくわけには」
「下女だろうが何だろうが私は私の好きな様にする。」
「…」
「貴方も貴方で気兼ねをしなくて良い。ただ」
「ただ?」
「…なんでもない。」
「?」
「そういえば、着物を縫うのは得意か?」
「まぁ一般的には」
「一式作ってもらいたい。」
「生地は如何致しますか?」
「下賜されたものがある。」
「わかりました。後で寸を取らせてください」
「ん」
「あら、三成様」
「なんだ?」
「桜が一輪咲いています」
「…本当だ」
「美しいですね」









「刑部さーん。老夫婦化してるっすけど良いんすか?」
「賢人と同じことを言うなぁ」
「そういや、半兵衛様は?」
「鬼となっ爺様を喰らうのよ」
「うわー。怖いっすね」



















「三成様」
「いや、そのだ」
「じっとしてくださいませ。寸が」
「…」
「少し細すぎですよ。」
「貴方が来てから少し太った。」
「…もう少し献立を考えます。」
「今ので良い」
「ですが」
「十分美味い」
「!」
「如何した?」
「い、え。」
「そうだ。街に行くぞ」
「は?」
「貴方も一つ誂えて花見に行こう」
「花見ですか?」
「ああ。」
「別に誂えずとも」
「気に入らんか?」
「…あまり女性らしい装いはすきではなくて。働きやすいこの姿が一番私らしいのです」
「そう、か。なら。そのままで良い」
「はい」
「やれ、三成よ。…これは邪魔をしたか?」
「花見へ行くぞ!」
「また急よな。」
「花が咲いてからだ。刑部貴様も来い」
「は?」
「なんだ?不服か?」
「いや、二人でまいりゃれ」
「刑部様は行かないのですかお弁当を用意いたしますから」
「ぬ…」
「行きましょう」
「行くぞ!拒否は認めない」
「…誠ぬしらは」
「「?」」
「いやなんでもない。何でも」

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