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変換なしの雑食夢

ran

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月見草

《私は此処一番の女なの。》
《貴方のお母ちゃんは寂しい人だった。あなたにもその影がある。だからと言ってあなたもそうなる必要はないよ》
《みんな愛してくれた!なのにあんたの父親は!》
《要らない子。不義理の子。私の》
《私を終いにした呪いの子》





悪夢は寝床を選ばないらしい。冷や汗と倦怠感も。何一つ変わっていない。…彼岸が近いからだろうか?母が近い気がする。お婆様なら良かったのにと頭を振ってふらりと立ち上がる。行燈に火をつけて今自分のいるところを確認する。伯父上の居城。その奥にある私室の一つ。
少し喉が痛い。水をと立ち上がり井戸へと行く。




女になど生まれたくなかったとこの夢を見るたびに思う。いや、私は生まれるべきではなかった。名もなくあまり会うことのない兄弟。頼るべき伯父上は母の狂気を知っているのだろうか。
気分がひどく悪い。吐いて仕舞えば楽だろう。女になどなりたくはなかった。だんだん女になる自分が恐ろしい。丸みのある体。要らないのに。日々大きくなっていくのみでしぼむことのない恐怖。





「おい」
「…」
「誰…ちい?」
「三成様?」
「どうしたこんな夜に。そんな処に蹲って…具合が悪いのか?」
「…怖いのです。」
「おい」
「なぜ女などに生まれてしまったのでしょう。」
「ちい?」





両手で顔を覆う。前髪を上げた。大人になった私はいつか伯父上の決めた人に嫁いで子を成すだろう。母親を知らぬ私が母になってしまう恐怖。
恐ろしい。くるしい。気持ち悪、い





「ちい?!」
「っかは…」
「落ち着け。良いか。私を見ろ。そう、ゆっくりだ。ゆっくりで良い。息を吐け。ゆっくり。次は吸え」
「みつ、なりさま?」
「怖い夢でも見たのか?」
「え?」
「落ち着け。此処は秀吉さまのお膝元。この世で一番安全などころだ。それに半兵衛様も刑部もいる。勿論、私もだ」
「…悪夢を見るのです」
「?」
「狂気に死んだ母の夢です」
「そうか」
「大人になどなりたくなかった。母のような女などには、決して!」
「待て」
「え?」
「貴方は貴方だ。大人だろうが子供だろうが。貴方は貴方の母親ではないだろう?何故そんなことを言う?」
「…」
「落ち着け。何があるのか。あったのか。私は知らんし聞かないが。貴方は初めて会った時より変わらない。」
「私は要らない子ではないですか?」
「そのように言うものがあれば斬滅してやる」
「不義理の子でも」
「不義理を果たしたのは貴方ではないだろう。そういう戯言を言うのは己に後ろめたいところがある故だ。決して貴様せいではない」
「…」
「そんなことに悩まされていたのか?」
「…はい」
「では私がそんな愚劣な讒言を否定して引導を渡してやる。貴方は私には必要な女だ。義理堅く裏切らない。それは秀吉様の御血筋だからではない。あの方はあの方だから意味がある。故に他の兄弟生い立ちには一切の興味はない。だが貴方は別だ。私は貴方そのものに賞賛すべき価値があると思っている。」
「…」
「顔色も呼吸も戻ったな。着替えて休め」
「…」
「ちい」
「う…」
「どうした?」
「いえっあの!すいませんでした。お休みなさい!」








月見草





「…」
「やれ三成よ。左近が嘆いておったぞ。日に日に稽古が戦さ場より恐ろしくなるとなぁ」
「そうか」
「やれ如何した?」
「ちいが近づいてくれない」
「ん?そういえば。なにかしたか?」
「していないはずだ…しかし」
「ひひひ。恋煩いよなぁ。」
「…」
「否定もせぬか」
「しても意味が…ちい。」
「っ?!三成様。」
「どこに行っていた?顔が赤い…まさか病か?!」
「いう、その…刑部様?!」
「そういうことか。初々」

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