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変換なしの雑食夢

ran

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暗の妹と三成 6

「治部様」
「?」
「お弁当を用意いたしました」
「ああ」
「手すきの時に摘んでくださいね。」
「助かる」
「いえ。私は横に控えておりますので。何かありましたら」
「おい」
「?」
「なにをする予定だ?」
「繕い物でもと」
「ならここでしていろ。そちらの方が呼ぶ手間が省ける」
「はい。わかりました」




「ひひひ」




「刑部か」
「刑部様の分も支度しております」
「あいあい。本に出来た女よ。」
「ありがとうございます」
「嫁の貰い手も数多よなぁ」
「?!」
「ふふふ」
「刑部!」
「はてさて。もう許嫁でもおろうか?」
「私がですか?」
「左様。」
「居りませんよ」
「!」
「ひひひ。なれば三成などどうか?」
「!!!?!?!」
「ご冗談を。」
「冗談であるものか。主とてもう良い年よ。いつ嫁いでもおかしくはあるまい」
「そう、でございますけども。私の場合黒田と申しても名ばかりですから」
「?」
「私は御隠居様と遊び女の子ですので…その、兄上の温情で黒田の末座に加えていただいているのであって大奥様たちには良い顔していただいておりませんから」
「左様か」
「…」
「刑部」
「あいあい。ちとでる」
「!」
「勘違いするでない。ひひひ。主を侍女から退けたりましてや放逐したりはせぬよ。そんな事をしたら我とて…ひひひ」
「刑部」
「あいあい。弁当はそのままにしりゃれ。主の手料理は美味故」
「!」
「愛い愛い。」
「…」
「ではなぁ」







ばたりという音とともになんとも言えない気まずさが残る。ちらりと治部様を見ればじっとこちらを見てこられるのでどきりとする。刑部様はああ仰っていたもののお気に召さないのかもしれない。
自然と申し訳ありませんと呟くと不思議そうになにがだと言われてしまう。




「出自が」
「ああ」
「?」
「此方が詫びることだ。すまない。気を悪くしただろう」
「い、いえ!」
「?」
「…治部様」
「何だ?」
「その…」
「何が言いたい?」
「…」
「お前にしては歯切れの悪い。が、もし出自やそれを黙っていたことに対する件ならば気にしなくて良い。私はお前がお前であれば良いと思っているしそれ以上でもそれ以下でもないと思っている。それを無理や暴いてしまった己の至らなさの方を恥じたい。」
「そんな事!」
「ならば気にするな」
「…はい」
「…美味い」
「…は、い」
「?!」
「…ぐすっん」
「な、泣くな。気に障ったか?恐ろしかったのか???」
「いいえ、いいえ」
「ならば」




嬉しいのですといえば治部様が驚いた顔をするのでおもわず笑ってしまう。嬉しいのだ。彼方でも私にそう言ってくれる方は今まで一人もいなかったのだから。ぐずぐずと泣いてしまってきちんと言えないほど嗚咽を零す。すると、何故か治部様が困った顔をして少しうなったあと私を抱きしめるのだ。一瞬なにが起こったのかわからなかった。




「泣くな」
「嬉しくて、泣けるのですね」
「それでも。」
「?」
「お前の泣き顔は心の臓に悪い」
「え?」
「…」
「治部様?」
「先程の」
「?」
「刑部の言った件だ」
「えっと…」
「もし、反対されたとしても。嫁入り道具もなにもいらない。着の身着のまま。」
「治部様?」
「私の元へ嫁いで欲しい」









暗の妹と三成 6







「だーかーらー!小生の話を聞け」
「主の話は本にわかりにくい。是非のみで答えよ」
「なら、嫌だね!小生の可愛い妹は優しい男に嫁ぐんだよ!」
「なれば三成が最良よ」
「何処がだ!大体…彼奴の母親は遊び女じゃなくてれっきとした側室だ。うちのお袋がトチ狂って虐めただけだよ。」
「左様か」
「親父がお袋の許可なく貰っちまったからなぁ。彼奴産んですぐ里に帰って…あいつはちいせぇときから苦労してんだよ!」
「あいあい。では三成が愛でで幸せよの」
「だから!!!」
「諦めよ…ん?」
「?!」
「初々しいの」
「何故じゃー!!!」

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