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変換なしの雑食夢

ran

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日常 19

「会えぬのか」
「…」
「左様か。…ここに来て菖蒲とはな。あれは相も変わらず、爆弾よ。爆弾」
「母上の手紙にも菖蒲が一人で勘違いしていると書いてあった。止めたのだが、止められなかったと。」
「であろうな。兄上殿の使者も来たが…時すでに遅しよな」
「…泣かしてしまった」
「致し方ない。妹姫の反対は相模が恐れていたそのものであったからなぁ…」
「佐渡は?なんと言っている?」
「相模が万を可愛がっていたようにあれは相模を可愛がっていたからな…中々」
「行ってくる」
「我も行こう」










あの後、高熱を出してしまった私は祐筆部屋には行けず日がな自室で寝ている。もう、6日にもなるのだろうか。己がこれほどに弱いとは思わなかった。




「水しか飲んでいないじゃない」
「欲しくないの」
「駄目よ、少しは食べないと」
「ねぇ、千曲」
「ん?」
「光って呼んでいい?」
「じゃあ私もりくね」
「ふふふ。ここに上がってきた時のことを思い出すわ。貴方は侍女の見習いで私は下女だったのを佐渡様に引き抜かれてここに来たのよね」
「ええ。びっくりしたけど直ぐに理由はわかったわ。貴方は全部一回で覚えてしまうもの」
「ふふふ。一生懸命だったのよ。だぁれも友達になってくれなかったのに貴方だけは違ったわ」
「そう?」
「何で?」
「んー?何でだろう?普通に友達になりたいと思ったのよね。案の定面白かったし」
「ええ」
「花摘みにいって毒草摘んで行った時なんて二人してこっぴどく怒られたわよね」
「畑に行って泥だらけにもなったわ」
「文字を真似て書いてずる休みした時は死んだと思ったものね」
「佐渡様が鬼のようで」
「いっぱい笑って楽しい少女時代だったわ」
「ん」
「りく」
「ごめんね」
「泣きな。今は相模でもなければ千曲でもないのよ」
「う、ん」
「りく…」
「妹姫様に、ね」
「うん」
「何処の馬ともわからない女って言われちゃった」
「は?!」
「梅様っていうちゃんとした許嫁も居るって」
「何、それ!」
「私、もう死んじゃいたい」
「りく…」
「自分の立場もわきまえず…喜んじゃって馬鹿みたい。でもね」
「…」
「すごく好きだったの。…本当に好きになってしまったの」
「ええ…ええ。知っているわ」
「こんな事なら、恋なんてしなければよかったわ」
「そんな悲しい事言わないで」
「昔に戻りたい」
「っ」






日常 19







「すまぬが、相模に取次を頼む」
「申し訳ありません。佐渡様からきつく言付かっております。相模様の取り次ぎはお受けできません」
「ひひひ。熱を出しておると聞いているからなぁ。ただの見舞いよ見舞い」
「それでも…千曲様」
「下りなさい。刑部様。申し訳ありませんが相模は今人に会える状態ではありません」
「…真逆」
「相当ショックらしくて。ずっと泣いているのですよ。」
「左様か…あれはあの娘の勘違い故。皆、あの娘と一緒の考えではないのだが」
「そう、でございますか。治部様は?」
「あれも食わぬし寝もしない。ここに来ると言っているが暴れては困るからなぁ。われが来ている。はてさてどうしたものか。」
「梅様は?」
「梅か?あれこそ勘違いよ」
「勘違い?」
「あれは…佐渡か?」
「お引取りを。千曲も。仕事に戻りなさい」
「ひひひ。これは、お冠よな」
「…刑部様」
「また来る。…相模を頼むぞ」
「言われるまでもありません」

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