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変換なしの雑食夢

ran

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日常 16

「入るぞ」
「兄上」
「佐和山の資料だ」
「ありがとうございます」
「治部様、お茶をお持ちし致しました」
「相模」
「相模?」
「私付きの侍女だ。相模。私の兄上だ」
「相模でございます」
「ああ。お前の嫁候補か」
「兄上?!」
「ふん。早く祝言を挙げて父上を安心させろ。」
「何を?!…相模?」
「はい?」
「この男の言うことは気にするな!」
「お前が遅いから私が来ているのだろう?!」
「誰も頼んではいない!!!
「ふふふ。治部様とお声がよく似ておりますね」
「兄弟だからな」
「話し方も。ふふふ。お羨ましい」
「貴様がこれの嫁になれば、兄弟の一員だ」
「あら。ふふふ。やっぱり治部様にそっくり」
「おい」
「お優しい。」
「…」
「兄上。相模は私のものです」
「知っているが…本当にこれでいいのか?能吏だが人間しては最悪な部類だ。」
「…どういう意味ですか?」
「ふふふ。仲良しということで御座いましょう?」
「「何故そうなる?」」
「そういうところがです。ふふふ。兄弟水入らずにお邪魔してはいけませんから失礼致します。それと、石田様。嫁候補になれるほどの身分ではありません。早く良い縁組を」
「相模」
「おい、どういうことだ?」
「?」
「貴様も愚弟のそばに居れば自ずと分かるはずだ。無欲さと人間として最低な男であることを」
「兄上…貴様」
「黙れ愚弟。」
「キサマァァァァァ!!!」
「ほら見てみろ!実の兄ですらこの所業だ。普通とか一般的とかこいつには無理だ。我々も鬼ではないからな!こんなのの嫁になって貰う荒業を他者に求めん!今の今まで父上始め皆縁組など夢のまた夢だと思っていた。それがだ。他国にまで才色兼備に聞こえた貴様を嫁にしたいと良い、太閤殿下にまで願い出だというのだから諸手を挙げて喜んだのだぞ!?なのに貴様は何を思ってまだ主従の関係にある?!とっとと求愛でもなんでもして縁を結べ!!!そのすぐに叫ぶのをやめろ!!!父上ですら手を焼くからお前は才が有っても寺に入れられるのだ!!!五つの魂そのままで成長するな!!!」
「黙れ!相模には無理は言わん!たとえ私に子がなくとも佐和山の城は貴様の息子に継がせればいいと何度も言っただろう!」
「このドアホ!!!私たちは城代だ!継ぐ気はない!!!」
「何?!」
「あ、あの」
「相模も何かこの痴れ者に言え!」
「貴様はとっとと嫁げ。家名も地位も。貴様には他国にまで鳴り響くその名があるだろう!何を戸惑う?!これはバカだが人を見る目はある。結婚してもこのバカのそばにいて世話を焼いてくれればいい!城は私たちでしっかりと…何が可笑しい?」
「相模?」
「だっ、て。怒り、かたま、で」
「笑う場面か!!!」
「貴様!!!相模に叫ぶな!!!」
「ほら見ろ。こういう分かりやすいほどの馬鹿だ」
「ふふ。馬鹿ではありませんけど。治部様は純粋ですから」
「何も気にせず嫁いで来い。父始め家中皆楽しみに待っている」
「?!」
「強いて言うなら最初で最後だと思っている。…父上ですら私を送るほどだ。…相模殿。嫌なら言ってくれ。如何なる手を使ってもこの愚弟を諦めさせる」
「ふんっ!」
「治部様?」
「相愛なのだからな!…こいつは私を裏切らん」
「そういう所が面倒なのだ。」
「何?!」
「真実だろう」
「あ、あの」
「「?」」
「…」
「「おい」」
「や、っぱり、そっく、り」





日常 16





「やれ、兄上殿」
「吉継殿」
「どういう塩梅か?」
「似ていると言って笑ってしまいだ」
「ひ、ひひひ」
「本当にうちの愚弟でいいのか?出自程度ではお釣りがくる」
「本人はそう思っておらぬのよ。お互い大事すぎてなぁ。今一歩踏み出せん」
「そうか…にしても」
「?」
「あんな三成を見るとはな」
「如何した?」
「あれの笑う顔を他に見せたくなかったのだろう?出て行けと追い出された」
「左様か…随分と人らしい」
「本当だな」
「して親父殿は?」
「あの人も文化人だからな。無作法の息子より多才の嫁殿を楽しみにしている。数年前の宴に出ていたおりからファンでな。まさか嫁後になるとは夢にも思わなんだと御自身の嫁取りのごとく喜んでいる。ゆえに私がここまで来た」
「ひひひ。親父殿らしい」
「実際如何だ?親父殿に諦めるように言ったほうがいいか?」
「いや、何。外堀を埋められているからな。存外早いかもなぁ」
「なら、いいが」

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