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変換なしの雑食夢

ran

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源氏鼠

「姫様を人質に?」
「ん?如何したんだい、三成君。そんなに怖い顔をして」
「い、え」
「元就君の妄言さ。元就君の嫁に寄越せってね。猫でももっと上等な扱いをされるよ。文にしてもひどく端的だったしね。大体姫は今の豊臣になくてはならない要の一つだからね。」
「はてさて、毛利は何故姫を?あれが嫁御欲しさに交渉して来るとは思えんが」
「揺さぶりかな?吉継君は如何思う?」
「ヒヒヒッ存外惚れたかもしれぬなぁ。あれはあれで男ゆえ」
「そうか…秀吉」
「ならん。」
「そうだね。僕もそう思うよ。」
「警備を固めるが得策か。拐かされでもしたら」
「やりかねないね。彼は緩急つけるのが好きだから。何より本気ならば何をしでかすか。…さて誰をつけたものか。」
「私が」
「三成君が?」
「不埒な輩より姫様をお護り致します!」
「そう、だね。吉継君の補佐に入ってくれるかい?」
「あいわかった」
「幽閉みたいになるけどね。少しの間奥座敷にいて貰おう。いいかい秀吉」
「半兵衛が言うのなら」
「待たれよ、賢人。姫を座敷牢に入れるおつもりか?それは!」
「…一時的にね。身の安全も大切だけど彼女は重大な情報を知り得ているから。拷問などに耐える事はできないだろうし」
「拷問?!」
「もしもよ。もしも」
「まぁ杞憂に終わればいいけどね。今は彼女を保護するのが先決だ」






奥座敷に移動するよと半兵衛様に言われてもなお姫様はあら大変ねぇとだけおっしゃってついてこられる。まだ治っておられない足を引きずって。お労しいと手を引ければどれほど良いか。然し乍ら姫に厭われたこの身でそれを行うのは憚れてしまう。場所が場所、なのだ。





「三成君と吉継君が護衛についてくれるよ」
「機密保持の為にですか?」
「それだけではないよ」
「ふふふ。」
「やれ、姫」
「冗談ですよ。治部と刑部には手間を取らせてしまいますが許してください」
「いえ」
「まぁすぐよ」
「この歳になって座敷牢にまた、入るだなんて」
「姫様」





聞こえるか聞こえないかの声に姫様は反応してくださりにこりと笑われる。大丈夫ですよとおっしゃりながら座敷牢に入られて正座されるのだ。



『佐吉、此処は寒いですね』




初めて見る姫様の顔。前髪をあげぬ、愛らしいいつものそれではなく。





「治部?」
「やれ、三成」
「っ?!な、んだ?」
「惚けるな」
「ふふふ。疲れているのですね。先ずはお休みください」
「なっ!」
「そうよな。」
「刑部!」
「一刻で良いのです。半兵衛」
「そうだね。三成君」
「です、が」
「休め」
「…秀吉様。わ、かりました。刑部と。一刻だ!すぐ戻る!!!」
「あいわかったわかった。」
「姫様。暫時御前から離れます!」
「はい。よく、御休み下さい」




源氏鼠





「姫」
「兄上。其れに刑部も半兵衛も。ごめんなさい」
「気にしなくていい。何より」
「兄様ももう。私にしては済んだ話ですもの」
「ぐ…」
「三成君はそうではないみたいだね」
「はてさて。」
「力のない私を厭うておいででしょうね。兄様。あまり治部に無理なお願いはしないよう、半兵衛に言ってください」
「だってそうでもしないと会えないじゃないか」
「刑部も」
「我は知らぬ知らぬ」
「もう」
「姫」
「兄様?」
「準備は」
「ふふふ」
「怒り狂おうなぁ」
「?そうかしら」

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