十二国 小ネタ 健全 2015年06月20日 「ご無事のご帰還何よりです。主上。特に台輔」「…朱衡」「無事に戻った。で、あれは?」「彼女でございますか?」「あの心配ようは凄かったからな。迎えに来ていると」「まぁ、そうなのですが」「「?」」「御覚悟なさいませ」「どちらがだ?」「勿論、台輔でございます」そう言い終わるか否か、すごい足音が聞こえる。珍し事もあるものだと思いながら不意にそちらを見ると甘い色の髪が見える。なのにだ。いつもとは違い眉を潜めて厳しい顔をしている。息を整えかつかつと歩いて六太の前に立つとペチリいう音が聞こえる。決して痛くないだろう音。「…」「皆がどれほど心配したと思っているのですか」「うん」「運良く、帰ってれたものの。何かあったら」「?」「あなたに何かがあれば、どれだけ悲しいか」「な、なぁ泣くなよ」「台輔。彼女は貴方がかどわかされたと知ってこの方碌に食事も休息も取っていなかったのですよ」「え?」そう言って再び六太が顔を上げると座り込んで涙を流す彼女を見てオロオロするのを見て内心笑ってしまう。どうにかしろよと言わんばかりの視線を自業自得さというそれで返すとおどおどと彼女の名前を呼び始める。何度も何度も。「お顔を」「え?」「お怪我は?」「少しだけ。でも大丈夫」「顔色が悪いわ」「血に酔っただけ」「黄医を呼びましょう。でも」「わっ」「本当に、本当に無事でよかった」「うん」そういって抱きしめるのだ。最初はどうすれば良いのか分からなかったのだろう。宙を彷徨った手が彼女の背中を掴む頃には六太自身が泣いていた。「怖かったわね」「うん」「本当に無事でよかった」「ごめんなさい」「無事ならそれで良い」「!」「お願いだからもうこんな心配はさせないで」「わかった」そういうと二人は一層強く抱きしめ合う。「親子の様ですね」「ああ」「俺も帰ってきたのだがな」「仕方がないでしょう。母親とはそう言うものです。」「そうだな」「何も出来ないのは寧ろ彼女の方だがな。」「それを差し引いても可愛いのだろう」ぐずぐずと泣いていた六太が寝てしまったらしい。いつの間にか現れた女妖に如何しましょうと言いながら抱き上げるあいつはまさに母親だろう。近ずくとお帰りなさいと微笑む落差に肩を竦め心配は六太だけかと尋ねると口を尖らせて貴方の心配もいたしましたよと言う様は幼さが残る。「ただ」「ん?」「子を喪う親の気持ちはわかった気がします、ほんの少しですが」そうかと言って六太を受け取るきっとこいつも同じだろうと思いながら母と子 PR