好みではない夫の三成 7 好みではない夫の三成 2017年10月10日 「あら、殿」「…もう良いのか?」「良くはないのですけれども、飽きました」「飽きた?」「ずっと寝てましたからね」「そうか」「ええ」「…随分、痩せたな」「そうですか?こんなものですよ、元々。」「…」「ああ、絵巻ありがとうございます」「構わん…が」「?」「文がない。刑部には書いてあっただろう?」「ああ」「貴様はやはり」「何歯ぎしりしているんですか?忘れただけですよ。誰か」「?」「はい、奥方様」「しのを呼んで」「はい」「しの?」「私の祐筆です。里から連れてきました一人。お手つきにしてませんでした?」「…知らん」「奥方様」「殿にお礼を書いて。絵巻の」「で、すが」「形も大切よ、ですね」「書かんのか?」「悪筆ですの」「それでも良い」「嫌ですよ。」「おい」「手が墨で汚れるところみたいですか?」「幼な子か!貴様は!!!」「…冗談ですよ」「お、くがた様」「ああ。ありがとう」「…要らん!」「酷い」「何が酷いだ!」「いると申したのに。」「お前が書け!」「嫌ですってば」「…」「さて、と」「待て!何処に行く!!!」「しのは貴方好みですよ。豊かな体躯をしていますし」「…たし、かにそうだが」「しの、お相手を」「!」「私は少し散歩してきます」「お、おい!待て!!!」めっきり寒くなったものだと思いながら部屋を出る。しのは私の父方の遠縁だ。もし子供ができたとしても万事上手くいく。性格も温厚で気立ても良い。豊満タイプだし大丈夫。「おい!」「あら、殿?」「人の話を聞け!」「?」「刑部が貴様を嫁にと言ったそうだな!!!」「ああ、はい」「貴様は」「お断りしましたよ」「?!」「聞きませんでしたか?」「聞いて、いたが…本心か?」「大体婚儀も済んでお目見えしたのちですもの。今更大谷様にというわけにはいかないでしょう」「ぐ…」「?」「それが可能なら嫁ぐのか?」「大谷様はお優しいから。そう、気を使っていただきましたが。…もしそうなったとしても私の方からお断りします」「?」 「その点あなた様はちょうど良いので」「どういう意味だ!」「こちらの話ですよ」「っこの!」「!」ばきともぼきとも聞こえたそれは私の腕が折れた音だろう。振り上げられた手を避けられることもなく、壁に叩きつけられた代償は腕の骨と口の中の傷と痛みか。笑ったほうが良いかもしれないけども笑えない。笑えないほどの痛みが走る。「す、すまん!」「っ!?」「っ!」「だい、じょうぶです」「腕、が」「折れてません!」「折れている!少し待て」「痛っ」「う…動かさないといけない」「なら、自分で」「無理を言うな!」「っ!」「す、すまん!…泣いて、いるのか?」「…」「な、泣くな」「…」「奥、泣くな!っいや。泣かないでくれ。…奥?おい、奥!!」好みではない夫の三成「自ら転んで骨折して、気を失った所三成に拾われたとぬしはいわしゃるか?」「ええ」「話は喰い違うものよの」「殿は?」「猛省しておる。」「しなくていいのに」「にしても」「?」「殴られたか?」「いいえ」「ひひひ」「?」「女の嘘は馬鹿らしい哀れなものと思うたが」「可愛いものと思わないといけないみたいですよ」「なぜ主は三成を固執する?」「?」「そのための嘘なればちとわからぬ」「ふふふ」「?」「誰も傷つかないためです」「主はひどい状態よの」「…私は都合の良い方でいいのです」「悪い女にはなれぬな」「あの方に付け入るとあなた様が困るではありませんか」「そうよの…主が転けた。そちらで行く」「承知いたしました」 PR