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変換なしの雑食夢

ran

好みではない夫の三成 5

「今日は静かですね」
「今日は太閤の側でおる故…本にすがすがしい秋の日よ」
「中秋の名月もすぐですから。こちらもこの様に皆様が静かに観られれば良いのですけど」
「ひひひ。我と主とはとんと縁のない話よな」
「あら、お出にならないのですか?」
「我がいれば宴が盛り下がる故な。主は?」
「右に同じくですわ」
「宴の花も入り用よ」
「仇花では無く麗しい百花で御座いますよ」
「主も頑固よの」
「頑固というか…何といいますか。ふふふ」
「ひひひっ。して」
「?」
「主は食わぬのか?好きな甘味よな?」
「え?ああ。まだ気分が悪くて。」
「左様か…食事はしておるとは聞いていたが」
「汁ものばかりにしてもらってます。風邪かしら?」
「いや、なぁ」
「ん?」
「三成が拗ねていてなぁ。」
「殿がですか?」
「食事をしたい様よ」
「些か。粘着質ですよね」
「ああ。」
「止めていただけませんか?」
「無理よな」
「あまり人前で食べるのは嫌いなのです。…そうですね。胃が治れば」
「いつの話になることか」
「ふふふ」
「にしても」
「…」
「?」
「…大谷様?」
「主、は」
「?」
「見えておるか?」
「え?ああ!近いです。」
「…」
「禍々しいお顔ですわ。…大谷様?」
「目が見にくいのか?」
「…ぼうっとしていただけです」
「にしては…ああ。通りで」
「冷たい手で御座いますね」
「高熱よの」
「あらあら」
「こういう時には我との約束を反故しりゃれ」
「うつってはいけませんでした。申し訳ございません」
「そういう意味ではない。…主は我と似ておるな」
「恐れ多い」
「まぁ我より可愛いものよ。ちとまたしゃれ」
「?」
「みつなっんぐ!」
「何を召喚しようと…来てしまったではないですか」
「どうした刑…何をしている」
「睦み合いよ」
「?!」
「ひひひ」
「こ、の!淫乱が」
「やれ、冗談を間に受けてどうする…奥方?」
「はぁ…貴方様であるまいし。」
「何?!」
「大体、己が子を欲しくはないと申し上げたはずです。」
「それは!…私を嫌っていても刑部とは」
「はぁ」
「何だ!」
「もう一度申しますよ。私は私の子が欲しくないのであって貴方との子が欲しくないと言ったことはございません。相手が誰であろうとも私は私の子が欲しくありません。お役目としてなれば産むまでは致します。ですが母とは名乗りません。お役目上そうであったとしてです。」
「…」
「落ち着きゃれ。我の戯言が過ぎたわ。やれ、三成」
「何、だ」
「奥方は高熱よの、コウネツ。部屋に…やれ、奥方。」
「何で御座いますか?」
「何処へ?」
「部屋に帰ります」
「三成に送って行ってもらいしゃれ」
「…理解力の低く思い込みの激しく、人の差異は全く気がつかない。例え他人が熱が出ようが気づかない上淫蕩に耽るご自身を棚に上げて人の貞操にケチつける殿方に送って行ってもらうくらいなら自ら歩きます」
「ぐ…」
「では大谷様。次の日取りは」
「主が良くなってからよ」
「失礼いたします」







「我も悪いが主が悪い」
「わかっ、ている!」
「今までのあれは手心があったのだなぁ」






好みではない夫の三成









「起きているか?」
「…」
「果物を…要らんか?」
「ええ」
「少し食え」
「本当にお構いなく…殿様もうつってしまいますから退室してくださいませ」
「だが」
「…」
「辛いか?」
「貴方様に嬲られるよりましですよ」
「ぐ」
「…」
「水」
「殿」
「?」
「ほっておいても良いのですよ」
「?」
「そうすれば郷に返せます」
「は?」
「はたまた死んだらしんだで楽ですよ。」
「何を言っている?」
「私が正室なのはあなた様にとって利はないということです」
「それを判断するのは私ではない」
「ならお見舞いも竹中様に言われて?」
「いや、刑部にだ」
「似た様なものですね」
「そう、だな」
「都合の良い正室ではあるということですね」
「…」
「少し喋り過ぎました」
「おい」
「はい」
「私が嫌いか?」
「?」
「その、だ。家康の腕の中なら安寧があるのだろう?私にはないか?」
「確かに好みではあります」
「…」
「歯ぎしりなさいますな。ですが」
「?」
「私にとっては誰の腕の中も安寧ではないということですよ」
「???」
「大体好き嫌いで嫁げませんし、貴方は殿下の命が下りましたらわたしを叩き斬りますでしょ?」
「ああ」
「その程度でよく安寧を求めさせたり好きにならそうとしましたね」
「お前はわたしを拒否するからな」
「他の女と違うと?」
「ああ」
「他の女子の様な性格なら私のもう少し楽に生きられましたでしょうね」
「違うのか?」
「違いますでしょ?」
「ああ」
「白い鳩の様なものですよ」
「…成る程」
「珍しいだけです。とっとと見慣れてくださいませ」
「そうする…寝ていろ。医師はつけておく」
「寝てれば治ります。ではおやすみなさいませ」

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