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変換なしの雑食夢

ran

大谷兄妹と三成と私 8

「残ったか?」
「まだあとは残る」
「いつ頃消えるかのぅ」
「女性はお化粧しますから。毛利先生退いて。やりにくい」
「傷を残すでないぞ」
「さっきと言ってたことが違う!」
「元就兄…怖い」
「煩い!」
「ひひひ。やれ、恐ろし。」
「っち!」
「この調子なら大丈夫よ。彼氏さんもご心配いりませんよ」
「?!」
「あれ?結婚してなかったよね。…婚約者さん?」
「違う!!!」
「なんで毛利先生が怒るの?!鼓膜破れる!」
「雇用関係なんです。こちら雇い主」
「え?!…あー。鈍そうだもんね」
「???」
「大変ですね…おまけが多い」
「ひひひ。またそれも乙よ」
「何話??」
「ぬしは知らぬでいい話よ。」
「???」
「さてとゆるりと行くかのぅ」
「はーい。ありがとうございます」






今日は吉継さんの膝の具合が良いらしい。杖をつきながら歩くそうな。無理をしちゃいかんですよと言っても今日は歩くと頑なだった。そう言えば薬もうないですよねと言うと嫌な顔をされる。いや、そんな顔されても。



「ぬしは…」
「え?!怒られるとこですか?」
「…いや。もろうて行くわ」
「体の方は良くなってきてよかったですね。」
「まぁ顔の方は治らぬよ」
「少しずつ良くなってるって言ってましたよ?」
「火傷のあとの話よ」
「痛みます?」
「最近は痛まぬ」
「ふふふ」
「?」
「吉継さんはいろいろ背負いすぎなのよ。疲れかもよ。最初はばりばり掻いてたけど最近少なくなってきたじゃん。」
「本に主は…」
「?」
「ひひひ。異形な我の側によくおるなぁとな。ほれみりゃれ。今でもよう目立つ」
「吉継さんはそういうとこあるね」
「?」
「私別に気になんないし。前言ったでしょ?もっと目立つ時は目立つし。いちいち人の目気にしてあいつらといれないもん。吉継さんも。私が鼻血出ても一緒にいてくれるじゃん!鼻血の女の方が悪目立ちするよ?でも居なくならないじゃん。」
「…それとこれは同列か?」
「同列じゃない?所詮他人は見てるようで見てないもん。それに私、吉継さん好きだよ」
「?!」
「私に関してそういう気遣いいらないから。そこまで繊細じゃないし。吉継さんは繊細すぎ!」
「主が大雑把なのよ」
「否定できない!」
「ますます手放せなくなるなぁ」
「まさかの解雇宣言?!」
「ひひひ。春に怒られるわ」
「さすが天使!」
「にしても主の春好きはおぞましいのう」
「言うに事欠いて?!」
「人によっては即通報よ。」
「そうだよねー…。」
「?」
「私、高校卒業してから介護してたの。ばーちゃんとじーちゃんと。」
「聞いておる」
「世話になったし好きだから時々以外嫌になんなかったんだけど、元々こういう性格でしょ?一番辛かったの外に出られなかったことなのよね。介護の人はいると嫌がるし暴れるしで預ける人もいないときのさぁ一番の心が晴れたのって大谷兄妹なの」
「?」
「まだ赤ちゃんの春ちゃん抱っこしてよく歩いてたの。最初はさー。赤ちゃんとお兄ちゃん?って漢字だったんだけど。ほぼ毎日だからさ変に親近感が湧いて。途中から大きくなる春ちゃん見てたら心洗われてさぁ。吉継さんがうち食べに来て密かに常連だったでしょ?それにさぁ。話した春ちゃんマジ天使!」
「最後のそれがなければ良い話よな」
「ふふふ。」
「薬もできたか」
「?」
「大谷さん…薬出来ましたよ。」
「やれ。やはり明智か」
「ああ、良い!その蔑んだ目!やはり検査を受けてください。私が自らじっくりしっかりねっとりと!体の隅々まで!!!」
「怖い!」
「だからこの曜日は嫌なのよ」
「ん…また可愛らしいのを連れていますね」
「ひっ?!」
「ああ良い!その怯えた瞳も!」
「さわらりゃるな!これは我のよ」
「おや…あなたらしくない。」
「…」
「女など懲り懲りなのでしょ?貴方の顔を焼いた母親のような女は」
「…え?」
「黙りゃれ」
「おっと…その目も好きですよ。んふふ。では確かにお渡ししましたから」
「…」
「貴方も。一度検査を」
「毛利先生が主治医です!」
「そうですか。其れは、残念」
「…」
「では失礼します」






大谷兄妹と三成と私 8






あれから結局。タクシーを呼んでとっとと帰りました。何より、吉継さんのご機嫌が氷点下です。めちゃ怖い。

春ちゃんもまだ帰ってこないし…三成さんはもっと帰ってこないし。米を食べても砂を噛んでるようだ。





「やれ」
「は、はい!」
「…先ほどの話」
「?」
「本当よ」
「え?」
「我の顔は母親にやられた」
「…そうですか」
「なぜ敬語よ」
「いや?!…何となく」
「ひひひ。面倒な女でな。我が父に似ておらぬのが困ったそうよ」
「?!」
「不義の子らしくてな。年々似てくるその顔に怯えて最後は我の顔の左目を焼いた」
「酷い!」
「左様か?」
「酷い…」
「やれ、」
「そんなの、酷い」
「…ひひひ。何故ぬしが泣く?」
「一発殴る」
「もう親子の縁は切った。賢人…そのうち会おう。其れが今の我の親よ。」
「その人殴れば良い?」
「やれ、殴ってはならぬ。殴ってはならぬよ。我らの恩人よ」
「なら殴らない」
「ぬしは」
「何?」
「本に不思議よ」
「???」
「我を嫌わぬ女は春だけかと思うたわ」
「ぐしっ」
「やれ泣き止め。如何したら…泣き止む?」
「…ひっく」
「ほんにころころと顔が変わるなぁ」
「煩い」
「ひひひ。怒るな怒るな」
「泣いたら眠くなった」
「本に赤子のような…」
「吉継さん」
「いや、猫か…やれ我にもたれるな」
「…ぐう」
「ひひひ。愛い」

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