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変換なしの雑食夢

ran

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勝手すぎる三成 6

「此処ですかね」
「ああ。そのようだな」
「あの石田さんの想い女かぁ」
「姫?」
「すごく怖い人なら如何しましょう?」
「如何もしない」
「流石!」
「ふふ。では入ろうか。」





失礼する、といって入ると静かに眠る女が一人居た。目の眩む美人でもなければ若さが取り柄といったわけでもなさそうで肩透かしをくらう。純粋に普通の女だ。そこら辺りに落ちていそうな程の普通の女。



「いませんねぇ」
「居るだろう?」
「え?!」
「如何した?」
「あ、の!石田さんのお嫁さんですよ!!姉様並みにばーんとしてるんじゃ」
「何だ其れは」
「ん…」
「あわわわ。起きちゃいました」
「だ、れですか?」
「石田三成の奥方で間違いないか?」
「人違いでしょう?」
「ほらやっぱり」
「姫」
「あの人モデルばりの美人じゃないとうなづきません!姉様と関係ある位なんでしょ」
「…」
「姫。すまない。石田さんという女性を探していたんだ。間違えて入ってきて、騒がしてしまった」
「いいえ」
「?」
「もう私は6年前からあの人の妻ではありませんから」
「?!」
「えー?本当に?!この人が??」




戦略結婚でしたからと言えば可愛い女の子は納得したみたいで石田さんは何処ですかと聞かれる。知りませんよと言いながら姉様と言われた人を見る。美人で…何処かでと思って合点が行く。愛人の一人。一番長く続いた人だ。私はこの人と結婚すると思っていたのだ。




「雑賀、さんでしたね」
「ああ」
「私は貴方とあの人が結婚すると思っていましたし、あの人から聞かされていました。」
「?」
「離婚届は書いてありますから。どうぞ石田さんと話してください」
「何を言っている?」
「?」
「確かにそう言う関係ではあったがもう今はただの同僚だ」
「…」
「居なくなっての6年。随分と傷ついていたぞ」
「…」
「離婚したければきっちりとして其れで出て行けばよかったんだ。そうしたら、あれもそこまでは」
「貴方に言われたくない」
「?!」
「何処の誰でもない。貴方には、言われたくありません」
「なっ?!姉様になんて言い方をするんですか!」
「…本当のことですから。貴方たちに言われたくない。特に貴方には」
「…すまない。」
「お引き取りください。…息子の話なら此処の病院にいるそうですが私はこの部屋から出れませんから。」
「…本当にどうにかしていた。すまない。大谷に連絡をして」
「…」
「では、な。失礼する」
「姉様!良いんですか?!あんな」
「姫。言われて当然だ。…私がいけない。失礼しよう。私たちがいては何かと、な」
「っ」




スライドで閉められるドアは私と全てを隔絶したかに思うほど重い音を立てる。
本当に、母が死にたくなった気持ちがわかる。佐吉がいる、けど耐えられない。もう耐えられないのだ。ふらりとベッドから立ち上がる。窓辺から見た空はとても青くて美しいのに私の心は晴れることはない。
静かに目を伏せる。何時までこの生き地獄で息をすれば良いのだろうか?佐吉は、私がいなくとも大丈夫かもしれない。…吉継さんが良くしてくれるはずだ。一切はあの子に残すこともできる。

もう、私がいなくても大丈夫。そう。

大丈夫なのだ





「何をしている?!」
「っ!」
「死ぬ気か!!」
「…あ」
「5階から落ちたら如何なるかわかっているだろう!死ぬぞ!」
「…死には、しませんよ」
「窓に足をかけている奴の台詞か!」
「っ」
「馬鹿者」
「…触らなで」
「誰か来たら離す。今は無理だ!」
「如何して…」
「…窓からお前が見えた。挙動が変だったからな。」
「ほっておいてくださればよかったのです」
「お前が死んで誰が喜ぶ!」
「…貴方はその方が良いでしょう?」
「良いものか!」
「あの、綺麗な方と一緒にすれば良いではないですか!」
「…誰か来たのか?」
「貴方の!」
「私の…そうか。すまない」
「離してください」
「すまない」
「離して…」
「私のために生きてくれなど言わない。ただ、佐吉のために生きてくれ」
「?!」
「あれを、私やお前。刑部の様な不幸な子供にしてくれるな」
「…う」
「泣くな…」
「母!?」
「や、やれ?!何事よ?」
「母!母!!!このもやし!何をした!!!」
「殴る間があったらティッシュ持ってこい!母が泣いているのが見えんのか!」
「うるさい!!!母!如何したんだ?!私は此処にいるぞ!寂しかったのか???アイスを黙って買いに行ってしまった私を許してくれ」
「「…」」
「刑部がな。母が寝たから!ううう。母!」
「な!?」
「やれなかしゃるな。我がなぁ…余計な」
「吉継さん煽らないで」
「母ぁぁぁぁ!!!アイスぅぅぅぅ!!!」
「佐吉。落ち着いて。母が悪いのであって佐吉が悪いわけではないのよ、ね?」
「母ー!!!」
「なにごとですか?!石田さん?!!!点滴!!!外れて?!先生いー!!!!」
「母!!!」
「頭、痛い」
「そのままいろ。運んでやる」
「結構です!」
「ぐ…」








勝手すぎる三成 6








「やれ、雑賀が?何の用だ???」
「書類を持ってきただけだ」
「奥にあったのか?」
「ああ」
「失礼です!あの人!!!」
「失礼も何も…よう会いに行ったな」
「私もそう思う。失念していた。」
「な?!」
「普通はそうよ。ひひひ。主は盲目故」
「ですけど!…もう良いです」
「ひひひ。」
「此の儘でいい。後は頼む」
「ああ」
「まだ帰ってこないんですかぁ?」
「不服か?!」
「また寝ていないのだろう?…倒れるぞ」
「寝ている。半兵衛様からまだ二月猶予を頂いている。」
「そうだったな」
「我は佐吉と帰るまで帰らぬよ」
「…父親より馴染んでいるな」
「ひひひ。可愛い孫の様な心地よ。賢人の気持ちがようわかったわ」
「ぐっ」
「まぁ、頑張れ。姫」
「はーい。じゃあ帰りましょう!」

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