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変換なしの雑食夢

ran

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勝手すぎる三成 3

「やれ」
「吉継さん?!」
「貴様ー!」
「佐吉。吉継さんは大丈夫よ。」
「…おい貴様」
「ひひひ」
「私の母を傷付けたりしないだろうな!」
「せぬせぬ。証拠に三成は置いてきた」
「仕事、でございましょう?」
「まぁなぁ。今はホテルでパソコンと睨めっこよ。会議に出なければならぬでなぁ」
「…」
「まぁそう威嚇せぬともよかろう…本にこういう所が似ておるな」
「とても良い子です。私が抜けていますから…助けてくれます。あの」
「此処を知っているのは我らと左近。覚えておるか?」
「一度お会いしました。島様ですね」
「ひひひ。左様。ちと話がしたい。良いか?」
「良く、ありません」
「そうか…だがなぁ」
「母の嫌がることをするな!」
「すまぬすまぬ。だがな。我とて主の母御が気かがりなのよ。」
「嘘をつけ!」
「はてさて。嘘をついてどうする。」
「貴様は私と母の敵だ!あの男の仲間だろう!貴様達が来てから母は夜まともに眠れなくなったのだぞ!そんな輩の言うことを聞くほど私は愚かではない!」
「…ぬしは父に似ずしっかりと育ったなぁ。やれ、寝ておらぬのか?」
「…」
「そうよな。ぬしにとってはあの結婚自体悲劇以外の何者でもなかったであろうに。此処の公園で良い。少し座って話をせぬか」
「公園…」
「?」
「昔貴方が私に公園で人と会うなど教えてくれました。死角が多くて危ない、からと」
「はてさて。悪意のあるものとはなぁ。我は何もせぬよ。そう警戒致すな」
「…」
「?」
「私が嫁いでから一番親切にしていただいたのは間違いなく吉継さんです。」
「なれば」
「ですが、貴方が誰よりも何よりも石田さんを大切にしていることも存じ上げております。…心苦しいですが」
「信用出来か?」
「有り体に言えば」




そう言うと吉継さんは少しため息をついて左様かという。心苦しかったものの今の私は一人ではないのだ。興信所か何かを使って私の居場所を突き止めた理由はきっと佐吉だろう。握る手に力がはいる。それを見ながら吉継さんはひひひと癖のある笑いを浮かべるのだ。




「佐吉」
「軽々しく私の名前を呼ぶな!」
「ひひひ。ぬしは甘いものが好きか?」
「施しは受けん!」
「そう言うな…其処の。ファミレスなれば如何か?」
「…」
「主らを攫うのであればとうにしておる。今日は話に来ただけよ。主が去って5年。その間の話も伝えておきたい」
「…佐吉」
「私も行く!母の隣には私が居るのだ!」
「ひひひ。頼もしいなぁ」















「飲まぬのか?」
「今は」
「左様か」
「母」
「美味しい?」
「…ん」
「良かったわね」
「さて、と。主の父親達の行く末は聞いておるか?」
「いいえ」
「軌道に乗って独立してから主が居らぬようになったからなぁ。相変わらずよ。少し気かがりなのは主の事は居ないものとなっておる。我らへの体面であろう。死んだ事になっておるわ」
「妹を後妻にと申したのではありませんか?」
「ひひひ。左様さよう」
「本当に変わりませんね」
「人はそう簡単に変われぬよ。」
「会長に社長はそれでよろしかったのではありませんか?」
「賢人は怒り心頭でなぁ。母がわりゆえ三成の事になると周りがよう見えておらぬ。太閤は…主が出奔した気持ちがわからぬでもないと。夫はああだし義母はああだしなぁ」
「そうでしたか」
「愛人は?聞き及んでおるか?」
「何人かいらっしゃるのは。4人…迄は。よくホテルから出てくる写真や贈り物など聞いておりましたし家にも来ていましたから」
「?!」
「ご存知ありませんでしたか?寝室に普通にいたり…まぁ」
「左様か…三成め」
「秘書の方もですよね。…そう言う性分は治らないと申しますし何より、好きで結婚したのはありませんから仕方ないかと」
「…」
「何故、お探しになったのですか?」
「ん?」
「一番長く続いていた方と一緒に成るとばかり。後継者など優秀な養子で良いと公言されておいででしたし、その…子供もすぐに出来るだろうと」
「あれもなぁ天邪鬼ゆえ」
「?」
「あの後、主がいなくなった後の話を少ししても良いか?」
「石田さんの事ですか?」
「左様」
「結構です」
「?!」
「あの方とは赤の他人でございますから」
「三成はまだ届けを出しておらぬよ」
「それが一番訳がわかりません」



そうよなぁというあたりで佐吉が船を漕ぎ始める。この子もあまり寝ていないのだろう。頭をさすって抱きしめてやるとすぐに寝てしまう。
寝たか?という声にうなづく。あどけない顔に似合わない隈を触りながら、吉継さんを見る。そわそわしているあたり本当の父親のようですねというと笑われる。曰く、自分の子供を持つつもりは無いらしい。彼もまた、その血に親に家族に苦しめられた一人なのだから




「やれ可愛い」
「ええ。とても」
「写真は?良いか???」
「…悪用致しませぬか?」
「この可愛い子をか?せぬせぬ。危害があるのは我とて好かぬわ」
「…」
「確かに、主の言うとおり。我は三成の味方よ、味方。我の家を知っておるか?」
「吉継さんが教えてくれた程度に」
「本に淫乱な母を持つと子が困るわ。主は身持ちがしかりとしておる分佐吉は幸せよな。…三成の愛人も事実、其処までひどいとは思わなんだ」
「最初は隠れてでした。唯、段々。何より」
「何より」
「…愛人と会った後に私を抱くのです。本当に居た堪れませんでした」
「主には同情する」
「…私のことが気に入らなかったのでしょう。それは…致し方ないのですけど」
「気に入らぬわけではないのよ」
「如何でしょうか…」
「あの後…聞きたくないだろうがきかしゃれ。三成は必死で探したのよ。主らを」
「…」
「身重の主が何かの事件に巻き込まれたのではないかとなぁ。失踪と並行して両方で探しておった。ただ、本に失踪のようでな。手紙の言葉も書かされたのではなく自らの意思で書いたのかと思うと心の臓が引きちぎられる思いだったようよ。必死に探したがなぁ。主のかくれんぼは難易度が高すぎるわ。6年もかかった」
「またかくれなくてはなりませんね」
「さすがにもうさせぬよ。…帰ってこぬか?」
「ご存知ですか?」
「ん?」
「勝手にしろ」
「???」
「石田さんの口癖です。話しかけるたびにそう言われます。最後に言われたのは…里で産んでも良いか?でした。里帰りをして良いものか否か。里に聞いて良いと言われれば帰って良いかと聞いたのです。その頃あの方は会社と愛人宅の往復でしたから話す機会もありませんでしたし、臨月に入る前にと…その時に言われたのが勝手にしろと自分の子であるか否かわからないと。この方はそういう分に思っていたのかとその時思いました…いえ、以前から薄っすらとは知っていたのですけどね。強く、思いました。里も、二度と家に帰ってこないつもりで嫁いだのだろうと言いますし。色々、その」
「箍が外れたか」
「ええ…前から大叔母には母には決して言うなと言ってお金を渡されていました。…私は今の母とは血が繋がっていませんから。あの人も私の実母を追い出して妻になった人です。母は自殺したと、聞いています。私の家も端から見る以上にぐちゃぐちゃなのです」
「…」
「私もそのうち母と同じようになるなと…でも私が死んだら佐吉はと、そう思うと死ぬに死ねませんでした。私は一人でおいだされて、佐吉は後妻と仲良くできるのかと…私のようになるのではないかと」
「だから失踪したと」
「はい」
「…」
「ここに来て、大変でしたけど。佐吉と二人暖かい生活が出来ました。何よりあそこにいては出来なかったとも思っております。…家に帰らぬ夫を待つ妻より父親のいない子を母親が育てている方が何倍も幸せです。戸籍上夫婦ですから父親はあの人なのかもしれませんが…嫡出否認をして下さい。そうすれば」
「それは、せぬよ」
「如何して」
「…その子が三成の子だからよ。この世でたった一人のな」
「…あの人の子供ではありません」
「しかしなぁ」
「そうあの人が思っているのですから。愚鈍な女の産んだ子より美しい人の産んだ子の方が良いのでしょう?もう懲り懲りです。あんな場所に帰りたくはない。私の心が持ちません!」
「…」
「話はもうよろしいですか?帰ります」
「ま、またしゃれ」
「早く、届けを出すように言ってください。では」







勝手すぎる三成 3







「ひひひ。律儀に金まで置いて行ったわ。なぁ、三成」
「…」
「大事ない。気付いておらぬよ」
「なら、良いが。」
「愛人の下りは初めて聞いたわ」
「すまん」
「われに言うセリフではあるまいよ…如何する?」
「別れるつもりなどない」
「佐吉は」
「知らん!」
「よう似ておるわ。主もああして守ってやればよかったのになぁ」
「…」

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