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変換なしの雑食夢

ran

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不幸娘と三成 8

「やーっと髪伸びたな」
「島様程度ですよ。傷口も思った以上に…あれで。なんか…頭の上に雷落ちたみたい」
「やー!可愛いって!すぐ伸びちゃうし!今もいいって!」
「髪が結えるまで…ああ、これ」
「?」
「殿様と刑部様にお弁当です。お忙しいみたいですから」
「あー」
「と言っても召し上がっておられないと聞いてますが…一応」
「今、客が来てて三成様も忙しいんだよなぁ。」
「お客様?」
「そっ!奥羽の伊達とか甲斐の武田とか」
「すごい方なんですか?」
「知らない?」
「知りませんよ」
「大大名。この間豊臣の参加に降ったんだよな。この間二ヶ月いなかっただろう?あんとき大きな戦があったんだよ」
「へー…」
「へーって!聞いてないの?三成様すっげー活躍したんだぜ」
「私の前ではあまり」
「あんたもだろう」
「う…」
「俺には結構緊張なく喋れるようになったけど…三成様や刑部様の前ではすっげー緊張してるもんなぁ。」
「仕方ないです…雲の上の人だから」
「三成様の奥さんじゃん!」
「いいえ。側室ですよ」
「?」
「あっと…お弁当お願いします。少しでも召し上がってくださいと…お伝えください」
「あっ!おいっ…て行っちまった」





パタパタと走っていく彼女の顔には治りかけの青痣が一つある。先日帰ってきて間もない三成様につけられたものだ。正確には、俺に投げた湯呑みが何故か彼女に当たった際にできた青痣。
彼女に本気で殴りかかったことがない三成様は何故かいつも彼女を傷つけてしまう。だから最近は彼女の部屋にも近づかなくなってしまったし、そのせいでとても機嫌が悪い。
間が悪いのだと思う。今まで、叩いたと言われるもののほとんどが抵抗したりした際に手が当たったりして結果そうなってしまったものが殆どだ。…本気で殴られたら彼女は死ぬ。俺でもやばい





「やれ、三成」
「何だ!」
「イライラしやるな。」
「あの…なんて言ったか?煩い上虫が好かん!」
「独眼竜か?…致し方あるまい、ん?」
「失礼しまーす!」
「左近んんんんんんん!!!!!!」
「奥方様からっす!」
「早よわたしゃれ。…ひひひ」
「何だ?」
「恋しけりゃいかしゃれ」
「私が行くとまた怪我をする」
「まぁ…否定はできぬなぁ。やれ、左近」
「あ!アーザス!」
「ちゃんと喋れ!」
「ありがとうございます!」
「ひひひ。今日も誠うまそうよ。あれは元気にしておったか?」
「んー…」
「?!」
「いや!病気じゃないけど…何か、変?」
「きさまぁぁぁぁ!」
「違いますよ!何ていうんだろ?気落ちしてるっつーか」
「それは致し方あるまい。傷跡を見て要らぬことを言うからよ」
「刑部!」
「いらないことって?」
「まだ目立つだの頭巾を被っていろだの…本にぬしのせいだというのに」
「言うな!」
「短い髪も思いの外愛らしかった故、気が動転していたのはわかるが…あれは無い」
「…ぐ」
「ぬしが我が見苦しい故頭巾を与えたなど言いしゃる故我も嫌われた」
「ひでぇ!」
「で、次の日のあれよ。痣は?」
「まだ痛々しそうっす」
「目は?」
「あー…」
「もう良い!」
「食べ終えたか?」
「悪いか!」
「悪くは無い。悪くは…。悪いのはその懐にある元を渡せぬ主の弱さよの」
「え?!まだ渡してなかったんすか?」
「渡そうとしてぬしが来たのよ。」
「それですっげー早かったんっすね」
「ひひひ」





懐にあるのは紅。遠征先でたまたま見つけたそれを嬉々として買ってきたのにまだ渡していないらしい。安易にお前のせいだと言われたもののそれは違うと言いたい。






「にしても」
「ん?」
「祝言っていつするつもりなんっすか?」
「側室にはせんよ。…今回は至極個人的な話故。数度夜を共にすればそれで良い」
「…マジっすか?!」
「知らなかったのか?」
「…」
「おい、左近!何を知っている?!」
「昔、奥方様が侍女の時言ってたんすけど」
「?」
「死んだ姉さんの祝言が羨ましくて…その。いつか自分もって」
「「?!」」
「…不味くないっすか?」
「暫し待たれよ…ああ、故にか」
「刑部?」
「側室は侍女の延長の様な故。」
「な?!私はそんなつもりは無い!」
「そうなんっすか?!」
「致し方無い話よの。…やれ三成」
「?!」
「主は知らぬ間に一番の不幸をあれに注いでいたのかもしれぬなぁ」
「?!!!?!」







不幸娘と三成 8







「あれのところに…」
「失礼するよ…今大丈夫かい?」
「半兵衛様!」
「やれ、賢人。何用よ?」
「ふふふ。君が側室を貰っただろう?」
「はい」
「だからね、秀吉と話して然るべきところの娘を正室にしようと話していたんだよ。」
「「「?!」」」
「喜んでくれ給え。武田の姫君を如何かなと思っているんだよ。」
「そ、れは」
「嫌とは言わないよね」
「っ!」
「やれ賢人」
「謹んで…お受けいたします」
「三成?!」
「ふふふ。では決まりだね。忙しくなるなぁ。吉継君。後で話があるから僕の部屋に来てくれ給え」
「やれ、またしゃれ!賢人!」
「…三成様」
「秀吉様の命だ。お受けして当たり前だ」

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