不幸娘と三成 8 不幸な娘と三成 2016年06月08日 御正室様がといえば、数度目を瞬いたあと恭しく頭を下げられた。「おめでとうございます」という彼女の表情は我らには判りかねた。ちらりと三成の顔を見ると少し傷ついた顔をして「そうか」とだけ呟く。上から決められた祝言。しかもあの武田との縁組。なにより受けてしまったのだ。それ以外に言う言葉はお互いに無い。「…でだ」「?」「真田幸村がそれまで城に詰めることになった。一度、ここに呼ぶ」「はい」「良いな」「殿様の御意志に逆らえません」「いい間違えた」「?」「良いのか?」「…否と申せません。ここは殿様の私室の一つでございます」「違う!そうでは無い!」「???」「っち!もう良い!」「やれ、三成?!」「あーあ。いっちまった…あのさ」「?」「あんたの意志的に如何なの?」「私の?」「そ」「私の意志として、何があっても。如何であっても。お伝えできませんよ」「そりゃ」「何より、殿様がお受けしたのですよ?私には到底考えも付かないよいご縁談でしょうし。」「武田の姫君。」「良く、わかりませんが…良いご縁談なのでしょう?」「ああ」「子のない側室ですから…寵が離れれば自ずと侍女に戻るだけです。」「そ、なの?」「はい。子を成して、食べさせるのが私の仕事です。」「は?」「ですが…子を成せませんし、食べられて居られるのかもわかりません。…御役御免ですね」「何、だよ!それ」「?」「子を作る為みてぇな言い方!誰がしたんだよ!」「刑部様ですけど…島様。側室というのはそういうものですよ」「なっ!」「私も村から来たばかりの時驚きましたもん。でも、そういうものなのですから仕方ありません」「…」「さて、と」「?」「荷造りしておきます。」「ちょ?!」「お気持ちを害された様ですし…何より御正室様がお嫌でございましょう。失礼します」「ま?!ちょ!!!」「やれさて困った、こまった」「刑部さん!」「こちらもこちらか…如何した?」「荷物を纏めるって!」「もとよりそんなに荷物はなかろうが…そうよな。賄い方に」「刑部さん!!!」「冗談よ冗談」「洒落に何ないっす!」「はて、さて」「たのもー!!!!!」「「?!」」不幸娘と三成 8「お口に合いますか如何か」「羊羹で御座るな!んー!!!美味でございます」「!」「もしかして…お手前が?」「はい。ふふふ」「?!」「もう直ぐ殿様も参りますので…もう一つ」「頂きまする!」「旦那〜他家の時は断る!」「し、然し!誠に美味なのだぞ!ほら佐助も食え!」「破片?!けち臭…あー!!!俺様の分!!!」「五月蝿い」「猿飛様も…真田様。差し出がましい様ですがまだございますので」「誠か?!」「はい…あ」「何をしている!退がれ!!!」「失礼致しました」「…左近!近衛に。こちらの部屋に近づくな!菓子は他の者に」「はい」「あっ!ありがとうございます」「?!」「真田!」「誠美味でござった!」「…」「?!」「それでは失礼致します」「え、ああ!はい!」「っち!」「何、あんたの側仕えの侍女?」「可憐だ」「旦那?!」「あれは三成の側室よ」「な?!」「ま、それもいつまでか。ひひひっ」「くだらん!」「!?」「早く話をしろ!」 PR