日月 2 三成日月 終 2015年12月08日 「…ここは」「!?」「こほ…」「起き?!」「ああ、貴方」「はひっ」「お水を入れてくれますか?」「はいっ!!!」コクリと飲むと口の端から溢れてしまうし咳き込んでしまう。すると横にいた少女が一生懸命背中を撫でてくれるものだから私はありがとうと言って頭を下げる。まだ城に上がったばかりだろう。初々しくもあり可愛らしい。「姫様!?その様な!もったいない!!!」「いいえ。礼を言うのは当たり前よ。えっと」「ゆきと言います」「ゆき?白い雪かしら?」「いえ、あの…とりあえずの名前だと思います。私は夏生まれですし」「なら、幸せのゆきね。取り敢えず名をつけたとしても貴方にぴったりな名前だわ」「っ!!!」「ありがとう、ゆき殿」「殿だなんて!そんな、私」「でここは、浜松かしら」「はい!」「ふふふ。良い返事ね。嗚呼、少しごめんなさい」「姫様?!立ち上がってはなりません!すごい傷と熱でやっと意識が戻ったばかりなのです」「…」「なんですか?」「敵将に優しいけど…大丈夫?今まで何もされていない?」「は?」「家康も。私につけるのなら百戦錬磨の本田をつければいいものを!…貴方の様な子なら暴れるに暴れられないわ」「本当に姫様は戦さ場にお立ちになるのですか?」「ええ。」「…」「嘘に聞こえる?」「い、いえ!そんなにお美しいのにと」「…ますますやりにくいわ」そう言うと困った顔をしてゆきちゃんが見るものだから私は苦笑する。誰かに目覚めたことを言っておいでと言った端からからりと襖が開く「姫様」「…家康ですね。」「無理をなさるな」「貴方がつけた傷ですよ」「ワシは!いや…貴方が病床になければ勝てはしなかった」「…そんなことはどうでもいいわ。私をどうする気ですか」「暫くここで御滞在頂く」「…」「ゆきを気に入りましたか?」「ええ」「もし貴方が逃げればあの子を斬る」「そう」「驚きませんか?」「貴方が謀反を起こしたのです。今の私は…治部殿が謀反を起こす以外驚くことはないですよ」「…」「煮るなり、焼くなり好きになさい。あの場で死ぬつもりでしたから。恐ろしいとも恨めしいとも思いませんよ」「流石、姫様だ」「大体、迷いのある貴方に何を恐れれば良いのか。愚かな話です。絆が大事など…当たり前の話を御旗に掲げてしまったのですから」「?!」「如何しましたか?」「覚えていたのですか?」「当たり前です。父は勿論治部殿も他の者も、貴方のその様なところを気に入っていましたから。…警戒していたのは私と半兵衛と刑部殿くらいかしら。以前貴方は私に全ての民を笑ましたいと言っていましたね」「それが最大の理由です。秀吉公では」「ですが貴方は私の笑みを奪いました。治部殿の、貴方を友と呼ぶ彼の笑みも。それを見る豊臣の皆の。貴方にとって豊臣は民ではないのすね。」「ちがっ!」「しかし事はなり笑みを奪ったのですから…何より自身がよくわかっているでしょう?」「…貴方は何故、そうまで強く居られるのだ。」「王者は必ず搾取せずには存在せぬと知っているからですよ」「そう、か」「これからは監視役はゆき殿以外にして下さいな。侍女としてお借りいたす。槍も刀もないと私は止められぬよ」「…了解した」ふうと息を吐く頃には目眩がして横になると困った様な顔をする。この顔は変わらんなと思いながら目を閉じると哀しそうに惑う治部殿の顔が見えた気がした日月「大阪はすぐに奪還出来たなぁ」「ああ。尊城が二心ある者らに蹂躙されてなるものか!…しかし」「姫は拐かされたらしい。生きているだけでまずは良しとせねばなぁ」「…姫様」「失礼いたします」「やれ、如何した」「城の探索及び片付けをしていましたらこれが」「?」「書かれた方はわからないのすが」「これは、姫の手が」「何?!」戦さ場に立つ二人に会えなくなるのは寂しいものですがこれも今生の定めと諦めなくてはなりません。父上と半兵衛始め貴方の元へお返しできただけでも褒めてくださいね。私信など久方ぶりに書いたので書き方を忘れてしまいました。昔はよくと懐かしいことを考えてしまいます。治部殿、刑部殿。いつまでも仲良く。父上を頼みます。半兵衛の話をよく聞くのですよ。何より、私憤に駆られてはなりません。常に冷たい氷の如く。冷静に。刑部殿、苦労をお掛けします。しかし、無理をせず体を愛とうて下さい。治部殿も同じです。苦労をお掛けしますが、ちゃんと食べ、寝てください。それだけでも刑部の仕事が減るのですから「本に」「…」「泣きしゃるな」「どの様な」「ん?」「どの様なお気持ちで、書かれたのか」「さて、なぁ」「…お助けせねば」「そうよな」「刑部、頼んだ」「ひひひひひ」 PR