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変換なしの雑食夢

ran

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童程度の三成

石田三成という人が居る。
太閤殿下や竹中様の覚えめでたいこの男は、私にとっては天敵でしかない。しがない侍女である私の前に現れては文句ばかり言われる。やれ、掃除が雑だの。やれ、縫い目が粗いだの。お茶の淹れ方がなっていないだの。文字が汚いだの。重箱の隅を突くかのような小姑ぶりを発揮してくる。事実手を抜いているのを見透かされている上、重臣である石田様に言い返すこともできない一侍女の私に何やら苛立って結局愚図!鈍間!!!役立たず!!!!!の三つの言葉を投げかけていなくなるのだ。




「貴様は!」
「石田様」
「な、何だ?!」
「もうこれからは大丈夫でございます」
「は?!」
「そんなに怒鳴らなくてももう大丈夫ですから」
「…如何いうことだ」
「私村に帰ることにしました」
「!?」
「長きにわたっての御叱咤。有難く、お礼致します。では」
「ま、待て!」
「ひゃ!」
「す、すまない。だ、が」
「石田様?」
「暇乞いとは如何いうわけだ!」
「…有り体に言えば」
「?」
「重臣である石田様が私の仕事が気に入らないのを皆知っておりましたので…その。」
「その、何だ!」
「クビですね」
「!」
「まぁ、仕方ないんですよ?私のせいですし。もう少し頑張れるかな…とは思ってましたが…ダメみたいでしたし…ああ!石田様について申し上げたわけではなくてですね。その。仕事出来ないからが原因ですから…私自身のせいなんですけど」
「…暫時待て」
「?」
「お前の上役に会ってくる。やめさすなどという愚考!断じて許すものか!」
「は?え」
「名は何という?!ああ良い。取り敢えず、刑部を」
「お、落ち着いてください!」
「何だ」
「石田様が私の仕事気に入らないんですよね?」
「貴様の仕事が気に入らないといつ言った」
「いや、日に2.3回は。」
「…」
「最近特に5.6回は間違いなく」
「それは」
「?」
「貴様の仕事が気に入らないのではない。貴様が私の側以外で仕事をしているから気に入らん!」
「は…?」
「特に最近は酷い。私の部屋から一番遠いところになってしまっただろう!ますますもって腹立たしい!」
「え?あの…それは。」
「何だ?」
「石田様がよくお怒りになるからであって…その配慮で」
「馬鹿を言うな!私の部屋近くでは言ったことがない!」
「…そう言えば」
「ふん!」
「ふんっ…て。そんな子供ではないのですから」
「煩い!元はと言えば貴様が!」
「私が?」
「私以外にも、笑う、から」
「!?」
「私を見れば、怯えるのにだ!」
「…石田様は私のことがお嫌いなのかと」
「?!」
「いえ、私だけでは無く。公然の事実として。皆そう思っていますので」
「嫌っていない!!!!!」
「っ?!」
「嫌って、いない。嫌えるものか…寧ろ」
「石田様?」
「…おい」
「はい?」
「此処はクビになったと言ったな」
「え?はい」
「なら、都合が良い」
「?」
「今日から私が貴様を貰い受ける」
「は?」
「明日からは私の婚約者だ」
「?!」
「貴様の両親の住まいは何処だ?挨拶に使者を遣る。心配しなくて良い。すべてこちらに任せろ」
「あ、」
「まずは秀吉様の許可を得なければいけない。…着物を誂えるか。」
「あ、の」
「誰か!呉服屋を呼べ!今すぐだ!あと、刑部も」
「あの!」
「何だ?」
「急展開すぎて…ついていけません」
「?」
「急に側室だなんて!」
「誰が側室と言った」
「遊び女???」
「馬鹿者。正室だ」
「はっ?!」
「変な顔をするな」
「せいし…は?!え???」
「何だ!文句でもあるのか!!!」
「石田様」
「何だ」
「私のことお嫌いなのでしょう?」
「嫌いでないと!今言っただろう!」
「で、すけど」
「?」
「今までのあれは」
「…ああ」
「?」
「話しかけるきっかけがなかったからだ。別段貴様の仕事に過不足ないと思っている。」
「話かける…為?」
「そうだ」
「…つかぬ事をお伺いいたしますが」
「何だ」
「石田様は私のことを嫌っておいでではないのですね」
「ああ」
「遊び女としてでも無く」
「当たり前だ」
「罵詈雑言や暴力で鬱憤を晴らそうとしているわけでも無く」
「…当たり前の事を言うな!何が言いたい!」
「恐れ多いことですが」
「だから!」
「私のことを憎からず思っておいでなのですか?」
「当たり前だ。貴様を初めて見た時から愛いと思っていた。でなければ正室などにはせん!」
「…」
「何だ?」
「初めて知りました」
「…」
「…」
「…」
「…」
「言っていなかったか?」
「初めて聞きました」









童程度の三成







「おい」
「はい?あら?」
「ようやく!!!」
「石田様、如何したのですか???」
「如何したもこうしたも無い!!!貴様!何故逃げた!!!」
「わー、久し振りの怒声ですね…落ち着いてください」
「ねぇちゃん…」
「大丈夫よ。ほら石田様。末の弟です。泣かさないでください」
「す、すまん。…では無い!貴様!!!」
「ひっ?!」
「あ」
「しまっ」
「びえーーーん!」
「ほら泣かない。石田様!」
「す、すまん!泣くな」
「お母ちゃん!六をお願い」
「はいは…い?お、お武家様?!」
「貴様の母親か?」
「はい…そうですけど」
「すまない。お子を泣かしてしまった」
「いいいいいいいえ!滅相もありません!」
「顔を上げてくれ」
「とんでもございません!」
「…だが」
「お母ちゃん。六連れて中に入ってて。」
「だけど」
「大丈夫」
「…では」
「さてと。静かになりましたね。」
「…」
「こんなしがない村まで何の御ようですか?」
「貴様が逃げ出したからだろう!あの後私の知らぬ間に」
「あー…聞かれてませんか?」
「何をだ?」
「石田様家中の皆様が私ではならないと…まぁそうでしょうねぇ。」
「?!」
「刑部様はしばし待てと言ってはくれましたけど…ね。やっぱりそういうものですよ」
「…」
「怒っても無理ですよ!大体、あの日まで私自身嫌われていると思ってたくらいですし。いきなり言われても」
「言われても、何だ?!」
「そのとき来てた縁談断る為の口実かなって。」
「…」
「はたまた、結婚ちらつかせても遊び女かなって」
「…貴様は」
「?」
「貴様は、そう思ったのか?」
「…あれだけ言われれば若干」
「あれだけ?」
「え?!いや!皆さん。石田様のこと大好きだから!心配してですね。」
「…」
「私のような農民相手では後々困るだろうし。後々身分の高いお嫁さん貰うだろうから…私なんてお払い箱だろうし」
「誰が」
「石田様?」
「誰が言った!」
「お、怒らないでください!」
「これを怒らずに居られるか!!!」
「わ、私だって!」
「っ」
「理不尽だと思います!でも」
「おい」
「身分不相応な事をして貴方が苦しむのは、避けたい、です」
「泣くな」
「ぐすっ」
「すまん。貴様が私の言を信じずに出て行ったと…そう」
「石田様は小姑のようで…私の天敵でしたけど」
「?!」
「嘘は言いませんでしたもの」
「…当たり前だ」
「まぁ寄ってたかって言われるとそうかなぁって気はしましたけど。」
「おい!」
「石田様?」
「2年待て」
「?」
「其れまでに必ず迎えに来る」
「2年経ってこなかったら」
「必ず来る」
「…その時は他の人のところに嫁ぎますからね」
「必ず来ると言っている!」
「…」
「これをやる。持っていろ。必ずだ。迎えに来る」
「…はい」
「…」
「石田様」
「…このまま連れて帰りたいが」
「2年待てって言ったのご自身でしょ?!」
「家中の粛清や秀吉様の説得…其れくらいはかかる」
「粛清なんてしないでください!」
「しかし」
「平然というから恐ろしいです」
「…っち!」
「まぁたまに遊びに来てくださいな」
「?!」
「あばら家ですけど」
「…また来る」
「はいはい」
「…」
「何ですか?」
「待っていろよ!早く迎えに来る」
「はいはい」

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