忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

初恋の三成 6

「…」
「やれ、梅殿」
「?!」
「何をしりゃれる。此処は我の執務室だが?」
「い、え…あの。…今石田様は?」
「三成か?ちと待たしゃれ。もう少しすれば」
「い、いえ!正確に言えば」
「?」
「大谷様にお話があるのです…その」
「?」
「石田様のいないところで」







そういえば数度瞬いて大谷様がこちにこりゃれと案内してくれる。きっと石田様のいないところに通してくださるのだろうと思えば、庭先に面した一間。曰くここなら密会とも思われないし、人が来ればすぐわかるということだった。




「して」
「…」
「また三成のことか?」
「はい」
「何かしりゃれたか?」
「いいえ…」
「?」
「石田様と大谷様は竹馬の友と聞きました」
「竹馬ではないがなぁ…まぁその様なものよ。」
「ならば、石田様の真意をお教え頂きたいのです」
「?」
「先だっての変装も。気づいておいででしたでしょう?」
「あー…」
「よくよく思い返せば最初は弟に話していましたが最後は私に話しかけていました。何より風邪薬。あの時まで誰にも気がつかれなかったのです。あの薬だってすぐに手に入るものではありません。…ひき始めの時には気づいていたということですよね…。寝込んでいる間お姿は拝していませんが贈り物を…あの時の反物ではありません。菓子に滋養のある食べ物草子。」
「ひひひ」
「訳がわかりませぬ!」
「主とて人の子よなぁ。混乱しておるか」
「当たり前です。裳着よりのちの変わり様…私にどうしろと」
「そうよなぁ。以前言った通り主と好を通じたいのよ。生きる意味になりたいとは大それたことよなぁ。ほんに三成らしくなく三成らしい。」
「…」
「そういやな顔をなさるな。何というか…我とて合点がいかぬ所も多い。されどなぁ」
「?」
「この2年。あれにも様々な縁談が舞い込んできておるが、けんもほろろよ。好いた女子がいるとてなぁ。」
「その様な方がいるのですか?!」
「主よ、主。」
「…」
「そ、その様になぁ。いやな顔をすでないわ。」
「ダシに使われている気が」
「ダシ?」
「結婚したくないから…面倒くさいとあの人なら」
「太閤の命をもっても駄目なのにか?その程度ならもう何処ぞの姫を娶っておるわ。」
「?!」
「嫌われていることもわかっている。其れでも主を嫁に娶りたいと思っているし否なれば誰とも好を通ずるつもりはないと」
「…また、何故?」
「裳着の折、一目惚れの様よ。」
「所詮見た目か!」
「ひひひ」
「近くに女がいないせいです!私なんて普通です。…綺麗な人みれば変わりますよ」
「と思うのになぁ。ちと違う」
「?」
「ハレの日なのに所帯なさげで何処となく寂しそうで気になったと…この世を憂た目で見ているのが痛々しいと。…笑わせてやりたいと思ったそうよ」
「…」
「主を笑わせたいのは元々よ。初めて会った折より」
「え?!」
「主は忘れたか?」
「いえ、だって!叩くし暴言凄いし!」
「我とてそう思っていたが、最近になって思い出したのよ。あれが花を摘んだりしておった相手は主だったよの。主とて普通に受け取っておったわ。変わったのは主が三成にしたことよ」
「?」
「思いっきり押してなぁ。いや、蹴ったのよ。馬乗りになって…。理由は女は下がっていろと言った三成を」
「腹たって男も女もないって!叫んだ…」
「ひひひ」
「弱いと駄目だというのに私に勝てないなんてって…」
「そうよ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「言いました」
「ひひひ。先だって思い出した時に三成に聞けば忌々しそうに言っておったわ。元々は悪童から主を庇うつもりが後ろから蹴られたと。理由は様々とて主の事を女でも男でもないと思い至った事。まぁ、すぐに力に差はできてくるし主は侍女で三成は侍童よ。やることなすこと正反対よ。齢を重ねる毎に主は女で三成は男。そう普通は思うのだが…何故か主の事は好敵手…と言えばいいのか益々己の張り合う対象に見ていた様よ。無論自分の土俵のなぁ。故に男の様に扱う。侍女に求められるのは強さではないのになぁ。主も主で突っ掛かるし。故に人でもなく常に横にいる張り合う兄弟の様に思っておったのかもしれんなぁ。」
「…兄弟も人です」
「人という枠より濃いのでなぁ。あれの人は他人よ他人。主をもう一人の自分の様に見ていた様よ。家族、兄弟。女でもなく人でもなく。己の片割れ、好敵手を拗らせた張り合う輩。そう見ていたと言えば完璧よな。」
「言葉が足りなすぎです」
「其れが三成よ。ひひひ。あの日、あの時。主がそういうものではなく一人の女であり、全く己と違うものであると気づいた様よ。己とは全く異なり、守らなくてはならない…否守りたいものと理解したのよ。急にではなかろう?あれとてよくよく考えると主に手を出すのは三成のみぞ。基本的に主を苛めたものは完膚無きままにしておったよ。あの愚者は哀れなものよ。二人がかりで折檻されておったわ。…潜在的に主を思う気持ちがなかったとは言い切れぬのよ」
「?!」
「主にとっては勝手な話の様だがなぁ。この2年、あれを見ていたら本気なのはようわかった。」
「勝手です」
「元凶は主にあるがなぁ」
「う…」
「して」
「?」
「次は主の本心を教えて欲しいものよなぁ」
「…」
「…」
「…」
「…梅殿」
「今、己の馬鹿さ加減と戦ってますから!」
「ひひひ」
「もう!頭が回らない!」
「はてさて…おや?」
「おい!刑部!」
「きよったわ」
「…石田、様?」
「梅?…刑部!!!」
「はてさて、勘違い致すな。我は相談役よ」
「相談?如何した??」
「っ?!」
「何かあったのか?」
「…う、あ」
「梅?」






『女子供を苛める下衆は秀吉様には必要ない!此奴はお前より役に立っている!力の有無で評価するな!!!大体女は弱いものだ!女!下がっていろ!』






「…」
「梅?」
「『私がお前を守ってやる…』」
「お、い?」
「梅殿?」
「泣くな…本当に如何した?刑部」
「はてさて。我とて…やれ如何した?」
「頭が痛い」
「まだ身体が治っていないせいだろう。医師を呼ぶ」
「やれ、我が行こう」
「いや、私が行く」
「ひひひ。主はおらしゃれ。」
「しか、し」
「では暫し待たれよ」








初恋の三成 6








「向こうに行っている」
「う…」
「(着物を掴んだだと?!)本当に如何した?顔も赤い」
「っ!?」
「?」
「そ、の」
「?」
「なんで、」
「何がだ?」
「私なのですか?」
「は?」
「私は、そんなに綺麗でも愛想が良いわけでもないし。実の親は死んじゃてますし。…今となっては父上の名前欲しさに近づいてくる輩が多くて人間不信だし。」
「その、だ」
「?」
「…私は梅以外に子をもうけたくない。」
「は?」
「お、怒るな!どう言えばいい?添いたくないのだ。お前以外とは」
「何故?」
「知らん」
「!」
「だが、笑う顔も泣く顔も。怒る顔も。全て私に向けて欲しいとも思っている」
「い、石田様?」
「元服する前は本当に子供だった…その、だ」
「お、落ち着いてください」
「華奢なお前を初めて見た折から…守ってやりたくて。だが。守るつもりの女に蹴られて馬乗りされた程度で…」
「わ、忘れてください!」
「度量が足りん…謝ろうとしたが叫ばれる上犬猿のようになってしまってだ」
「?!」
「私の言葉足らずのせいだが…段々そのだ。」
「…石田様」
「?」
「もう、私の至らなさはようようわかりました」
「???」
「子供のようにばかりしていて…自分の事ばかりでした」
「それは私の方がだ…その。すまなかった」
「?!」
「…梅?」
「私の方こそ、ごめんなさい」
「…」
「本当に。あの時も助けていただいたのに。裏があるとか人間してダメな風に考えていました。本当にごめんなさい」
「?!」
「?」
「裏など、ない。本当ならば…あのまま奴の腸を。」
「!?」
「…!!!」
「私のですか?」
「ち、ちがう!…いや、今までがそうだから仕方がないが、お前を傷つけたいと思ったことはない!」
「…」
「信じてくれ」
「わかりました」
「!」
「あと」
「?」
「お見舞いの品。ありがとうございます」
「受け取ってくれるのか?」
「え?」
「いや…今までなら」
「そうですね」
「…受け取ってくれるだけでありがたい」
「…」
「?」
「お礼をしたいのですけども…お好きなものも知りませんし」
「なら」
「?」
「じょ…」
「???」
「城下へ、行かないか??」
「!」
「む、無論!邪なことなどしない!その、だ。」
「いつにいたしますか?」
「!?」
「石田様?」
「本当、か?」
「はい」
「な、ならば!今からだ!!!いや…明日。明日は如何だろうか?」
「わかりました」

拍手

PR