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変換なしの雑食夢

ran

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後悔する三成

有給が残っていて、少し消費がてら体を休めるように言われる。我武者羅に仕事をし過ぎた。ただそれだけだ。2日の休日を如何過ごそうかと考えた瞬間、あいつの顔が思い浮かんで、眼前から消えることがない。
素直で穏やかな女だった。仕事をしても取り立てて早くもなく、かと言って卒もなかった。どんなに困難な時でも笑顔を絶やさず、気配りが自然と出来る女は私とまるで正反対だった。眉間にしわを寄せる私にただニコニコと笑って紅茶を出す。コーヒーあまり好きではないんですよねと言うセリフでは私はあいつが気になった。吉継しか知らない事実を。其れこそ終始ぴったりくっついている左近が其の時まで気がつかない程度の差異を気が付けることに驚愕した。案の定「何言ってんっすか?三成様、コーヒー普通に飲むっすよ」と言い放つ左近に「え?出す度睨むじゃないですか。眉間に皺寄せて。前コーヒー無くて紅茶出した事にあったでしょ?其の時なかったから…」と困ったように言うあいつに「其の通りだ」と告げる。「良かった」と言って笑うあいつの顔を見た瞬間、恋に落ちたのだ。




「私のどこが好きですか?」



私はあいつの笑顔が好きだった。喋る仕草、甘い物を嬉しそうに食べる顔。仕事中の真面目な顔に困った顔。全てが宝物のようで大切だったのに。初めて言われた其の質問に私の思考は停止してしまった。愛してるすらろくに言えず。好きだと初めて言った以来言えなかった私にとって其の質問に素直に答える事はできずに事もあろうが秀吉様の名前を出してしまった。



あの時の彼女の悲しそうな顔。涙を流した顔。何より、其れでもなお微笑もうとした顔。其れらが忘れられずにいる。とんでもない事をしてしまったと思った後幾ら真実を語ろうとも聞いてくれるはずはない。私にとっての感情や思いは伝わるどころか湾曲して彼女に伝わってしまっている。
「別れましょう」と言われた時の悲しさと「ご迷惑をおかけしました」という時の苦しみは生まれてこの方味わった事のない悲劇だった。



「其のような事を聞くのは不安な証拠よな」



気づいた時には彼女の背中しか見えなかった。追いかけて抱き締められずに立ち竦む私に吉継の言葉が重く突き刺さるのだ。




「やれ、休めとのお達しよ」
「…吉継」
「心配故に来てみれば。主は本当に致命的よな」
「今、何時だ?」
「もう夜半よな。気づかなかったか?」
「あ、ああ。」
「ヒヒヒッ。主らしい」
「あいつは?」
「我に聞かずとも連絡をしりゃれ」
「…」
「元気とは言い難い。が、流石に支障はきたしておらん」
「そうか」
「夕餉はとっておらぬのだろう。其の様子なら我が来るまで何も食べておらんな。台所を借りる。自己管理はしっかりしりゃれ」
「…すまん」
「漸く主に嫁ぎたがる変わり者を見つけ添ったというのに…本に主は」
「…」




そう言って出されたのは何処ぞで作らせた汁と握り飯。御菜が並ぶ。美味いはずなのに味がしない。そう言うと至極面倒な顔をして額に手をやられる。



「主は鈍感にできておるなぁ」
「?」
「熱よ。しばし待たれよ。左近に電話して体温計を買わせる故。主は食べられるか?」
「欲しく、ない」
「治らぬよ」
「其れいいかもしれんな」
「ヤケを起こしゃるな。」
「…ん」
「もうちと食べて横になれ。ああ、左近が。体温計と水分と風邪薬を買って三成宅にきりゃれ。熱よ熱。そうよな。其れがよかろう。至急いたせ」
「吉継。もういらん」
「もうちと食べよ。減っておらぬよ」




眼前の椀を見る。これがあいつの手料理ならばきっと途轍もなく美味しいのだろうにと柄にもない事を考えて再び口に入れるだった






後悔する三成





「インフルエンザですね。薬出しときます。時々錯乱してしまいますので刃物の管理や戸締りはしっかりとおねがいしますね」
「はい」
「インフルエンザか…左近」
「看病する様になけなしの有休とってきました!」
「我も夜には来る。頼むぞ」
「はい!ってん?」
「三成?」
「…行く、な。私が、悪かった。だか、ら」
「夢見悪そうっすね」
「致し方ないと言えばそれまでよ」
「冷てーなー。」
「ヒヒヒ。」

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