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変換なしの雑食夢

ran

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叩かれる三成

パチンと乾いた音がする。その先にあるのは侍女頭様と治部少様で周りの者の血の気が引く。大阪城きっての短気者である治部少様と温厚で知られた侍女頭様。下の者たちは侍女頭様が殺されてしまうと戦々恐々だが二人をよく知っている我等にすれば年に何度かある恒例なものだ。



「痛い!何故叩く!!!」
「お心当たりがございませぬか!!!また私の配下のものに恫喝を加えたそうではありませんか!!!」
「ぐ…」
「今月で5人も辞めてしまいました!!!5人ですよ、5人!!!」
「…すまない」




治部少様のすまないが聞こえてきた瞬間辺りが騒つく。それもそうだろう。あの尊大を絵に描いたような御仁から謝罪の言葉が聞こえてくるのだから。其れでも侍女頭様の怒りは収まらないらしい。縁に二人して座って懇々と説教する辺り見飽きたものの見慣れぬ光景だ。




「大体!」
「な、何だ」
「あなた様は私が行かないと食事を召し上らぬのもいい加減にして下さい!」
「そ、其れはだな」
「刑部少様から矢の催促を頂くのですよ!自己管理位御自分でなさりませ!」
「いや、あのだ」
「あのもへったくれも有りません!」
「ぐ…」
「睡眠もまともに摂らず…戦さ場で倒れたらどうする気ですか!!!」
「大丈夫」
「何を持って大丈夫とおっしゃるのか!」
「…大丈夫だ」
「童の問答でももう少しましな言い訳をなさいましょう。治部少様」
「な、何だ」
「私は歯がゆう御座います!」
「泣くな!おい!」
「何故ご自身を大事に遊ばされませぬか。貴方様は恐れ多くも太閤殿下の御左腕様ではありませぬか。何かありましたら貴方様の配下のみならず殿下の御迷惑になると何故…」
「泣くな…頼むから」
「食事を一日一度で良いのです。まともな人間の量などもう求めておりませぬから。一度でも良いので!」
「わかった。食べる!だから…」
「寝るのも…」
「寝る!だから」
「本当で御座いますか?」
「ああ!だから泣くな!お前が泣くと落ち着かん!!!」
「信用しますよ」
「ああ」
「よかった」
「っ!!」




にこりと微笑む侍女頭様と真っ赤な顔の治部少様。そしてきっと何処かでこれは良いとばかりに言質を取る刑部少様。いつもの光景過ぎて歯痒いばかりだ。









叩かれる三成







「そうです」
「ん?」
「治部少様も早く可愛いお嫁様を頂けば良いのです」
「………………は?」
「さすればこのように私が心配せずとも治部少様の管理をして下さりましょう」
「…いらん!」
「ですが」
「お!」
「お?」
「お前が!なれば良い!!!」
「無理です」
「?!」
「この広い大阪城の裏を仕切る者が他にはおりませんし、何より大量に雇い入れてもすぐ辞めさせられますので…私過労死寸前ですから」
「ぐ…」
「大体私、誰とも添う気ないのですよ」
「?!!!!!」
「ここが好きですもの。結婚したら此処から去らなくては成りませんでしょう?貴方様以外にも刑部少様に竹中様、恐れ多くも太閤殿下と心配が絶えません。各々の好みから生活状態まで知っている私を竹中様が易々と嫁がせるとはおもえませんし」
「嫁いだとしても此処で働けば良い!」
「そういう訳にもいけませんでしょう。ああすいません。少し腫れてしまいました」
「っ!」
「軟膏を持ってきます。少しお待ちください」






そう言って侍女頭様が軟膏を取りに行く。いつもと変わらないなぁと思っていたら肩をポンと叩かれる。ヒヒヒッという声とぬしも不幸よのという声は聞きたくなかった。が、私にとっては侍女頭様の為、後ろの方にとっては治部少様の為。不束ながら頑張らなくてはと思うのだった

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