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変換なしの雑食夢

ran

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初恋の三成 8

「懐に入るまで野生の動物みたいなんだよね。でも入って仕舞えばすぐ懐いてくれるんだけど」
「左様左様。敵か味方か見極めて味方とわかれば至極可愛らしいものよ」
「ふふふ。味方とわかったかな?」
「ひひひ」
「用意は万端なのね」
「何時になるかなぁ」
「早くして欲しいよねぇ。」






「梅!」
「?!」
「今帰った!」
「…」
「怪我は無い。そんな顔をするな」
「本当ですか?」
「ああ。秀吉様からお褒めいただけた。」
「良かった」
「?」
「…」
「如何、した?」
「え?」
「さっきまでと反対の顔だ。…その、」
「???」
「その。私にだ。笑って、いるのは初めてかもしれない」
「そうですか?」
「ああ」
「…」
「…」
「それより」
「ん?」
「お帰りなさい」
「?!」
「無事で何よりです」
「あ」
「?」
「…そのだ」
「石田様?」
「…ただいま」



にこりと笑うのでこちらの頬も緩む。帰って間も無い、其れこそ甲冑のままの状態で嫌ではなかっただろうかと思いつつも会わずには居られなかった。





「あの」
「何だ?」
「お姿…改めなくても?」
「あ、ああ」
「あ、そうだ。」
「?」
「少し、いえやっぱり後で」
「???」
「疲れておいででしょう?」
「…いや、平気だ」
「なら。少し部屋まで行ってきます」
「?」
「ついてきていただけますか?」
「?!」
「?」
「あ、う…それ、は」
「石田様?」
「そ、の。」
「?」
「やはり、半兵衛様の許可を得ないままは」
「え?」
「…」
「あ、の!」
「?」
「お渡ししたいものがあるのです」
「???」
「えっと…ですね。それが、部屋に。あって…今戦から帰ってきた人ばかりだからあまり…その」
「!」
「やはり私一人で」
「す、すまない!」
「?」
「ついていく。もしものことがあったら大変だからな」
「ありがとうございます」




盛大に勘違いした己を恥じながら梅の顔を見るとふふふと笑われた。良く、笑うようになってくれたと思う。さあ行こうといって歩き出すとキョロキョロと周りを見ている。ごった返す兵士がやはり恐ろしいのだろう。
大丈夫だろうかと思いつつ、少し開けたところに出ると身体が強張るのがわかる。




「梅」
「え?!あ…すいません」
「…」
「石田様?」
「抱きかかえる許可を」
「は?」
「私の足ならこの喧騒は一瞬だ」
「!」
「顔色も悪い…すまない」
「?」
「私のせいだ…」
「?!」
「…」
「ち、違いますよ。そんな…あからさまに落ち込まないでください」
「しかし」
「梅様ー!!!」
「あ」




いたいたと言いながら老女がかけてくる。はたとした顔をして、少し待っててくださいいいですねと言ってそちらに梅が行く。確か…半兵衛様の乳母を呼び寄せて梅につけたと言っていたが、その方だろうか?と思いながらそちらを見ていると助かりますとかそそっかしいとか言いながら何かを受け取って急いで帰ってくる。手には笹の描かれた風呂敷包み。半兵衛様からか?と思いつつもそれをじっと見てしまう。青い顔の梅が少し困った顔をしてそれを持ってくる。それと状況が余りにも不可思議なのだ。






「あの、ですね」
「?」
「お約束しましたから」
「約束?」
「お迎えに上がると」
「ああ」
「急いで来てしまって…これを」
「?」
「い、らなかったら捨ててください」
「あ、おい!」





そう言うとパタパタとかけて行った。
手には先ほどの風呂敷包み。





「やれ、三成」
「刑部」
「梅殿に会えたか?」
「会えた、が」
「?」
「逃げてしまった」
「…またなんぞ致したか?」
「いや…これをだ。」
「?」
「置いて…半兵衛様からか?」
「それは…賢人のものではあるまい。」
「なら」
「…開けて見りゃれ」





その場に座り込んで風呂敷を広げる。白檀の淡い香りがして、薄紫色の着物が現れる。




「縫取りか。無紋は不味かろうしなぁ」
「着物?」
「主のであろう」
「?!」
「はよ着替えるが良かろうに」
「何故?!」
「さてなぁ。礼、であろう」
「!」
「良かったなぁ」










初恋の三成 8








「梅」
「お帰りなさい、父上様」
「変わりなく?」
「はい」
「それより、三成くんに何したの?」
「?」
「会いたいってさ。わざわざ僕に申し出てくれたよ」
「…」
「通してあるから会っておいで」
「…今は、その」
「?」
「どんな顔して合えばいいか」
「いつも通りでいいんじゃない?」
「そういう意味では」
「…そう言えば」
「?」
「新しい着物着ていたね」
「!」
「大丈夫。すごく喜んでいたから。」
「本当?」
「本当」
「…」
「行っておいで」








「半兵衛」
「おや、秀吉」
「二人はどうだ?」
「可愛いものさ」
「祝言はいつにする」
「それはまだ先だよ」
「そうか」
「意外と可愛がっているよね」
「当たり前だ。吾とて心配している」
「ふふふ。本当にね」

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