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変換なしの雑食夢

ran

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初恋の三成 4

「梅」
「石田様」
「ひひひ。ぬしを訪ねてきたのよ。はてさて何の雨が降るか」
「刑部様」
「すまぬ。すまぬ。」
「石田様」
「な、何だ?!」
「先達ては助けて頂きありがとうございます。これは…私からの気持ちです」
「いや、そのだ!」
「?」
「大丈夫、か?」
「はい」
「…なら、いい。」
「…」
「梅?」
「いえ。では失礼致します」
「部屋まで送る」
「大丈夫です。くノ一をつけて頂きました」
「そうか…」
「石田様はお変わり遊ばしましたね」
「?」
「昔ならば罵詈雑言の一つ。ありましたでしょうに」
「それは、その」
「助けていただいたのに失礼いたしました。では」
「ま、待て」
「?」
「その、だ」
「???」
「っ」
「用がないのなら」
「ある!の、だが」
「なら」
「…お前は!私が嫌いか?」
「ええ、まぁ。」
「!」
「ですが、それは貴方様も同じでございましょう」
「ちがっ!」
「それと私は、男が嫌いなのです」
「…は?」
「正則様のように力で出る男は死にたえれば良いのにと思いますし、口のうまい男は擦り潰れればいいのにと思っておりますから」
「いや、そのだ」
「?」
「刑部には辛辣ではない」
「秀吉様と父上様。大谷様は私が幼い頃より一度たりとも態度を変えたことは有りません。故にでございますよ」
「ぐ…」
「皆、人の立場や姿で態度を変えます。私の場合裳着をした後から特に皆が変わりました。嫌な意味です。父上の子供になってからはもっと悪い意味で。時折、人間までも嫌になってしまいます」
「それは我もようわかるなぁ」
「刑部?!」
「ですから、私は父上様の死水を取りましたらお供する予定です」
「?!」
「それは、また」
「あくまで予定です。ですが…私にとって生きるのはあまりに疲れますから」
「私の」
「石田様?」
「私のせいか?」
「いいえ。違いますよ」
「だが!」
「…私の話はもうよろしいでしょう。失礼いたします」
「ま、待て!」
「ですから、もう私のことは」
「私が!」
「石田様?」
「私が、お前の生きる意味にならないのか」
「…なりません」
「今すぐでなくていい。いつか」
「貴方も私を置いて太閤殿下の為命を落すのでしょう?」
「それは」
「私より生き急ぐ方々が私の生きる意味になるとお思いですか?」
「っ」
「何より貴方様は…」
「私は?」
「…いえ」
「言ってくれ」
「…いえ、何でもありません」
「何でもないはずがない!」
「…」
「梅」
「…」
「頼む」
「貴方は、私に死ねと言いました」
「!」
「弱く、裏の仕事しか出来ない私などいくらでも替えが居るとも。」
「それは!」
「高々数年ほど前の話ですが…私もそう思います」
「梅」
「私だけが唯一できる仕事は、父上の死に水をとること位です。」
「それは違う!」
「?」
「お前は、子を産んで幸せになることが出来るはずだ!」
「…」
「私は…!」
「頼む!」
「…此の世に生きたいと思う程の事は父上様だけ、なのです」
「っ」
「…大変失礼いたしました。もう、失礼いたします」






初恋の三成 4






「そう、彼女そんなこと言ったの」
「はてさて、どうしたものか。我にももう検討がつかぬ」
「万事休すかな?」
「笑い事ではない。…我とて裳着のあとの変わりようは酷い話と思うたが。…この2年あれの姿を見ていたら、強ち嘘でも無さそうよと…」
「まぁね。あの三成君が血相を変えて部屋を飛び出したのなんてありえない話だからね」
「ひひひ。左様よ左様。…賢人」
「ん?」
「人の老い先は短い。特に我や主は」
「ふふふ」
「肩の荷を下ろしたいものよ」
「そうだね」

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