すれ違った二人 三成短編 2017年06月11日 「萩殿は」「い、石田様!」「お味方勝利おめでとうございます!」「そんなことはどうでもいい!萩殿は何処だと聞いている!」「え、萩さんは」「や、休みっす!」「休みだ?」「はい!急にです」「…貴様ら」「「ひっ?!」」「私が偽りを嫌うのを知っての」「やれ、騒がしい」「お、大谷様?!」「如何した、三成」「萩殿を探している」「ああ。戦前に会ったきり故…一年振りよの。昨日の晩餐は違うておったなぁ。あれは何処に行きよった?」「に、西に」「西?!」「はて。西に何用よ。まさか、誰ぞに嫁いだわけでもあるまいに」「いつ帰る?」「え、と。その。秋には」「何?!」「はて面妖な。今は夏ぞ?そんなにも長く仕事を空ける女子でもあるまいに」「迎えに行ってくる」「え?!」「何処だ」「あ、の」「?」そう言うと萩殿の部下である男たちはボロボロと涙を流しながす。ぎょっとしたのは私だけでは無いはずだ。横をちらりと見れば、刑部も驚いた顔をする。「やれ、ぬしら」「申し訳御座いません!萩さんにそう言えと言われていたから」「?」「言ってましたけど…やっぱり無理だ」「何の話だ」「萩さんは…」「?」「皆様の行軍を見送った3月後…亡くなりました」「…は?」「見送った次の日に倒れて…誰も知らなかったのですけど…ずいぶん前から体が悪くって」「嘘を、つくな!!!」「やれ、三成!」「何故、萩殿が死ななければならない!何の冗談か知らんが!今何処にいる!」「だから!」「石田様」「三次兄!」「何だ?!貴様!!」「萩さんの右腕です!」「やれ、落ち着きゃれ…三次と言ったなぁ。何用か?」「萩さんに代わって礼を申し上げます。…すごくあなた様の事を気にしておりましたから」「だから!」「貴方様を見送って…血を吐いて倒れました。何とか一命は取り留めたんですけど、ね。貴方が、ここで寝ていたようにあの人は囲炉裏端で寝ていました。みんながいくら言ってもそこがいいと怒って。」「…」「ここから見るとみんながよく見えると笑ってました。」「そうよの。故に三成もよう陣取っていたからなぁ」「よく口と手が飛んでくる人でしたが、其れからはいつもニコニコ笑ってこっちを見てました。口をつくのは貴方様方がちゃんと食べていらっしゃるか。其ればかりで。」「大谷様は薄味であまり甘味をきかさない。竹中様は辛いものがお嫌いって。全部の膳の味を変えていたくらいでしたから…石田様は特に気をかけておりました。」「!」「少量で栄養が偏らず…温かいものを好まれるけど、猫舌のようだから気をつけてと。よく、此処でお召し上がりになってたから」「左様か」「文も…嬉しそうに見ておりました」「?!」「ただ、此処にいるもの全て読み書きができませんので。誰かに読んでもらおうと言ったのですが」「私がもらった文を私以外に読ますのは気に入らないって」「ひひひ。言いそうよなぁ。」「後、読めない自分が馬鹿でいけないって。」「!」『これを読めりゃ、私の心配事が減るのか増えるのか知らないけど。其れでも読めりゃちょっとは素直に笑えたのかねぇ』「…何、を」「あの人、自分の事をいわねぇけど。この部屋であなた様が寝ているのを見てる顔はそりゃ…俺らでもしらねぇくらい優しくって」「殿下のおかわりをすぐに作らず、あなた様と話したのなんて周りは心の臓が止まるほど驚いたんです!」「死に顔を見せたくねぇって。ずっと言ってたのはあなた様に惚れてたから」「黙れ!!!!!」「っ?!」「やれ」「嘘をつくな!誰の思惑だ!萩殿は何処にいる!!!文で伝えたはずだ!武功をあげた。恐れ多くも秀吉様から願いを一つ言えと…言われたのだ!だから、私は貴方と!!」「三成!」「貴方と共に…生きたいと…そう。願ったのだ」すれ違った三成「どうだい?落ち着いた」「今、ようや寝たところよ」「そうか…」「知っておったのか?」「ん?…何度も僕の医師をつけなんだけどね。休む間なんてないって」「左様か」「三成君は僕を怨むかな」「怨むのは運命よな。」「そうか…」「賢人よ」「何だい?」「この先我らは三成の子を見られぬやもなぁ」「そうだね」「身分とは残酷よの。秘めるのが普通よな」「うん」「聡いというのは…純粋というのは、酷なことよ」「そうだね」「願わくば、極楽浄土で笑うておって欲しいものよの」 PR