忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

瑪瑙の境目

「…緊急手術って。そんなに酷かったの?」
「胃穿孔だ。仕方ない」
「僕たちも急がないと。どこに運ばれたの?」
「左近と吉継が車を用意している。」
「そう…」
「行くぞ、半兵衛」
「ああ。秀吉」



目が醒める。頭がぼうっとする。体が痛くて仕方がない。けど動かせない。管がいっぱい繋がっているらしい。何より息苦しい。



「起きたか?」
『三成さん』
「起きていないのか…」
『?』
「頼むから早く目を覚ましてくれ。何でもいい早く」
『泣いてる?』
「頼む…私から、こいつを奪わないでくれ」




身体中が寒いのに右手だけが暖かい。三成さん呼びたいのだけど、呼ぶことができない。如何したんだろう?と思案して再び微睡む意識に沈む。


泣いていた。


いついかなる時も尊大で涙どころか弱音すら吐かないこの人が泣いていた。






「大谷の旦那」
「やれ、猿飛か。嬢が世話になった」
「いーや。俺様の娘らしいから。保護者同盟の冥利につきるってね。これ着替えとか諸々。」
「すまぬなぁ」
「いーえー。で容態は?」
「なかなか目が覚めぬわ。よく寝ているのか、此の穢土に帰りとうないのか…」
「それはわかんないよ。彼女にも。で石田の旦那は?」
「付き添っておる。」
「そっか。親父さんは?」
「手続きして後帰られた。」
「仕方ないけどさぁ。あの子の寂しがりやはそこからだよね」
「如何にもならぬでなぁ。三成も嬢も」
「まぁ、ね。」
「我らも目覚めたら帰らなければなるまい。ヌシも」
「うん。毎日寄る様にはするけど。」
「助かる」
「いやーさー俺様にしたら本当に可愛いのよ。商売仇なの知ってるけど。」
「我らのみならこうも話すまい」
「そう、何だよね。」
「早う、退院されて元の鞘に戻って欲しいものよ。」
「なんだかんだ言っておにあいだったからね」
「…」
「でもICUに二人して点滴する図って何だろね。撮っとこ」
「やれ我も」






再び目が醒めると先ほどより意識が明瞭になる。痛いし動けない。こりゃ…と思ったら看護師さんが目が覚めました?というのではいという。
にこりと笑って先生を呼んできますねと言って旦那さんはそこで寝ていますから安心してくださいとの事。誰か旦那だ。





「栄養状態が酷いのと過労ですね。胃を縫いましたけど何カ所か未遂ですんでいる場所が有りました。一般的には一月未満なのですがもう少しかかるかなぁ?お父さんには了解を得ています」
「はぁ」
「しっかり治しましょう」



その前に諸々の管を退けてほしいなぁと思ったらぐぐっ繋がれた手に力が入る。握り返せないのはきっと麻酔のせいだろう。ぼんやりていたらありがとうございますという声が聞こえた。三成さんの声が聞こえた。



「起きたか?」
「痛い」
「…」
「で、何でいるの?」
「すまない」
「疑問を謝罪で返さないでよ。」
「…痛いのか?」
「嘘よ。痛いけど。言うほどじゃない。点滴したの?」
「ああ」
「痩せすぎよ」
「言われた」
「早く奥さんもらいなよ」
「お前がなってくれないといないから無理だ」
「蘭ちゃん」
「虚言癖のある女は好かん」
「虚言癖?」
「何人にも相手にしてたからな。私も酔わされてからの関係だ。」
「脇が甘いのよ」
「痛感している」
「性病うつされてないの?」
「検査している。大丈夫だった」
「馬鹿みたい」
「私もそう思う」
「…嫌い」
「私は好きだ。お前が居なくなって痛感した」
「そう、それは残念」
「目が覚めたら、一番に見る顔はお前がいい」
「…他の女といたくせに」
「一晩をともにした事はない。」
「信じられるか」
「まぁそうだな。逆なら切り刻んで監禁するからな…そう言われても仕方ない」
「監禁するの?!」
「私なしでいられなくなる様に調教しなおす。」
「…真田さんと気があうのが分かった」
「否定はせんが少し違う。あれはただの加虐嗜好者だ。私はお前の泣き顔に興奮はせん」
「淡々と言ってるけど内容最悪。術後すぐの内容じゃ…三成さん?」
「何でもいい」
「泣いてるの?」
「あのまま、お前が死んでしまうのかと思った」
「縁起でもない」
「もしそうなれば、後を追う」
「嘘だぁ。お父さん残して」
「一人涅槃への道へ行かせられるか。寂しすぎるだろう」
「…」
「これから二度とこんな事はしない。お前を大事にする。何よりも誰よりも」
「お父さんよりも?」
「ああ」
「…本当に?」
「お前が生きて、そばで笑ってくれれば。何もいらない」
「…」
「仕事はする。が、お前を蔑ろにするほどはしない。」
「うん」
「好きだ」
「…」
「私の恋人に戻ってきてくれ」
「…今すぐには無理」
「!」
「今話してるけど結構キツイ」
「?!痛いのか?」
「見てみなよ。入りたくても入れないお医者さんを。あーもう無理。寝ていいですか?」
「いいよ。勝手に処置するから」
「はーい」
「おい!」
「もう少し元気になったら考える。退院までには答え出す」
「…いや、急がなくていい。すまない。」
「謝った?!」
「…今までお前を蔑ろにしていたのを痛切に感じた」
「うん。では仕事がんばれー」








瑪瑙の境目







「嬢」
「…左近君。」
「うっひゃー。痛そうっすね。」
「何用よ」
「三成様がこの近くにマンスリーマンション借りたんっすよ。で仕事とここの拠点に使うそうっすよ。今そこの手続きしてきたんっすよ」
「へー」
「三成様はまた後で来るそうっすけど。何っすかこの部屋」
「いろんな奴が来すぎるから特別室です。花も色々。」
「へー。もてますね。」
「いや、ねぇ。はぁ。」
「いただきまーす」
「絶食中のやつの横で食うかよ」

拍手

PR