翡翠色 三成 戦国 長編終 2016年01月12日 「奥」「はい」「今日は天気がいいな」「はい」「三成様ー!雑賀の御使者です。刑部さんが呼んでますよ」「今、行く。」そう言うとそそくさと部屋を出て行かれるので私は苦笑する。不器用なんっすよという島様の言葉を聞きながら。もう、それすら苦笑してしまう。「奥方様も少し散歩でもなさったら如何っすか?」「散歩?」「俺お供するっすよ。気晴らしになるし」「そう、ね。」「松も参ります。」「あ、良いっすね!」「お時間は?大丈夫ですか?」「大丈夫ですって!行きましょうよ!」「なら」久し振りに庭に出る。ここのと言うのでは本当に初めてだ。庭木が大阪と違う。あちらは半兵衛が作っていたから麗美だったがこちらは素朴だ。「此処は三成様が婚約が決まって作ったとこっすよ」「そう」「元気ないっすね」「ふふふ。そうかしら?」「三成様も心配してたっすよ。めっきり表情が変わってしまって。何より、喋らなくなったって」「昔からこの様なものよ」「そっすかねぇ。あ!今度琵琶湖行きましょうよ!此処からも見えますけど。大阪から来た時だけっしょ?ゆっくり温泉に入って美味しいもの食べて!ね?」「本当に楽しそうですね」「じゃ決まりっすよ!…ん?」「あら…」「島殿!」「いや、わざとじゃ無くて!!!…奥方様?」「本に私以外ですね」「(あちゃー…)そんなことないっすよ!」「良いのですよ。」「奥方様?」「一喜一憂してはならないとよくわかったのですから。松」「はい。」「部屋に帰りましょう。少し気分が悪いと当分人払いを」「はい」「はいって?!松さんも!」部屋に帰って私は打掛を松に渡す。寝着に変えますかと聞かれるので曖昧に答える。綺麗な人だった。あれが噂の雑賀の棟梁なのだろう。美しくて強い女性。「松」「はい」「貴方も少しやすみなさい。私は大丈夫ですから」「…ですが」「良いですね」「…はい」あの人と肩を並べられる女性なら良かったのに。矢張り、私の位置は人質で人形なのだろう。あれだけの事を言っていただいて、何も変わらない程度の。「奥方様はお休みになられています。」「では見舞いを」「やっと寝たところで御座いますので…起きてしまってはことですから」「そう、か 。」「時に先ほどの方は?」「孫市だ」「随分と親しげな」「よく働く。潔く誇り高い。裏切らない女だ。」「そうですか」「?」「奥方様の前では言いませぬ様」「何故だ」「あの方は何より己が家族を欲しておりましたので」「は?」翡翠色「はぁ。本に間が悪く達が悪い」「奥方様は如何する気っすかね。あ!三成様」「…やれ三成。早々の帰りとは珍しいの」「寝ていたので会えなかった」「左様か」「刑部」「よき様に回ったかと思うたが…此れは骨の折れる話よな」「??」「ヌシもとっとと目をあわしゃれ。何ずっとみよというわけでもない。それに着物もきなしゃれ。」「汚れてはいかん!」「後生大事に持っていたとして何になる。奥にすれば来てもらえぬと嘆いておるやも知れぬわ」 PR