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変換なしの雑食夢

ran

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若木色

「奥帰った!」
「御前様?」
「帰ったぞ!」
「…」
「?」
「お帰りなさいませ」
「っ」
「お召し物をおときくださいませ」
「あ。ああ」
「お手伝い」
「いらん!」
「…」
「左近!手伝え!!!」
「ではお茶の」
「いい!」
「…」
「奥」
「はい」
「顔色が良くなった。」
「!?」
「じっとしてろ。着替えたらすぐ来る。」
「は、い」





一週間後の御帰城でしたのにと言いながら松が打掛を持ってくる。その顔は本当に面倒臭そうでおもわず笑ってしまった。




「奥!」
「あら。御前様。早かったですね」
「あ、ああ。」
「?」
「座っても」
「ええ。殿のお屋敷で」
「そちらではなく。貴方が」
「私が?」
「座っても大事ないか?」
「ええ。」
「よかった」
「…矢張りお茶を入れてもよろしいですか?」
「だが」
「だって」
「?」
「御前様の無事の姿を御拝顔して私もホッとしているのです」
「本当か?!」
「ええ。ですから」
「では頂く」
「勝ち戦とのことおめでとうございます」
「私は何も。ただ秀吉様のお陰だ」
「戦のことは良くわかりませんが半兵衛が文を」
「半兵衛様が?!」
「お読み遊ばしますか?」
「い、いや。それは貴方」
「?」
「読んでも良いのだろうか」
「はい」
「…」





手紙を読んでいる間にお茶を入れる。時節の挨拶を送っただけだ。静かに読み終えた殿が嬉しそうな顔をなさる。本当に兄上や半兵衛が好きだなと。この間の武功を終えた2人でお褒めになったという言葉は何よりもこの人を喜ばせるのだろう…ああまた。目を逸らされる。致し方ないと思うもののやはり島様の言は客観性に足りなかったのだろう。
お茶をと勧めたところ丁寧にお礼を言って頂く。





「宜しかったですね半兵衛も喜んでいる様ですし」
「…」
「?如何致しました?」
「なぜ半兵衛様を呼び捨てになさるのか?」
「あ申し訳ありません。婚礼の後に様と呼んでいましたし、手紙にもそう書いていたのですが怒られてしまいました。」
「…」
「御前様?」
「…良く、手紙のやり取りを?」
「はい。一時期は兄上と半兵衛に育てて頂きましたから。童の折は無礼にも呼び捨てにしか出来なくて…その名残です」
「育てて?!」
「は、はぁ。私を姫と育てて何所ぞに嫁すのが半兵衛の目的だったのでしょうから」
「そう、か」
「?」
「貴方と半兵衛様が婚約していたと聞いたことがあった」
「事実です」
「?!」
「少し、強引な方が居まして。最後には拐かされそうになりました。城に、上がる前ですが。それでしょうがなく。」
「そうか」
「城に上がってほどなく解消しています。私は半兵衛を兄とは違う…なんといえばいいのでしょうか。家族と思っていますしあちらはあちらで。ですから様は嫌だと。…お耳苦しいのでしたら」
「いや、そうでは無く」
「?」
「貴方が半兵衛様を思っているのではと」
「家族の念で御座いますれば。彼の方も兄上しか見ておりませんよ」
「も?」
「お茶が冷めてしまいます。」
「…ああ」
「松」
「はいはい」
「?」
「此れを殿に」



松から手渡された風呂敷をお渡しすると少し困った様な顔をされて受け取られる。開けてもと丁寧に断りを入れていただくので私もどうぞとしか言えなくなる。
存外私は喋りだ。此れを作っている最中も松に叱られる程度には。だが殿の前では喋れなくなる。自分がいかに愚かかを突きつけられている様で。居た堪れなくなるのだ。






「着物?」
「はい」
「私にですか」
「ここの縫い方に聞いて縫ってみたのですが…」
「ありがとう、ございます」





笑顔無理にしても、少しは綻ぶかと思った。何より少しでもこちらを見てくれるかと思ったのに




『貴方のことをお慕いしています』
『三成様は貴方のこと本気で好きっすよ。』





こんな険しい顔になられるとは思わなかった。本当に、自分の愚かさに泣きたくなる。一度の接吻。額のそれに踊らされてしまったのだから。

普通の夫婦になれるかもと思ってしまったのだから。



「有難く」
「いえ。殿もお時間大丈夫ですか?」
「え?…ああ。長居しすぎた。すまない。又、後で」










若木色










「…やれ三成。如何したその様な顔をして」
「奥、が」
「離別でも言われたか?」
「違う!私に着物を!手ずから」
「…で、その顔か。」
「?」
「で、目は合わせられたか?」
「…」
「無理か。やれ、また拗れるなぁ」
「?!」

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