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変換なしの雑食夢

ran

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白濁色

パタリと締められた障子を見届けて私は姫様よりお送り頂いた箱を踏み机に置く。黒地の漆に銀で花の紋様を入れた箱は姫様のお好みの其れだ。美しいといつも思う。大輪の花の様に美しく、野の花の様に可憐で、月の様に朧げなのだ。私にとって姫様は垣間見えただけで心より慕い庇護欲に駆られる存在だ。兄上の秀吉様とは全く違うこの思いを何というのだろうか。左近の言う様に不埒な感情なのだろうか?

蓋を開けると甘い、香りがする。柔らかい文字に彩られた手紙と香りは姫様そのものだ。美しく繊細で可憐な。




『治部』




先ほどの感覚が蘇る。柔かい肩。艶やかな髪に潤んだ瞳。小さな品の良い口から私の名を呼ばれる。


薄く白い寝着と肌膚けた胸元。







「くそっ」




欲が、溢れる。此の儘抱きすくめたいという。我がものにしたいという穢れた欲が私の思考を埋め尽くす。より濃く、鮮明に。手篭めにしてその美しい声で啼かせたい。私の名前を呼んで頂きたい。艶やかなその声は何にも替え難い美声だろう。そして、白い指で私に縋らせたい。何より、その瞳を、意思を。総てを私のものにしてしまいたい。
食らい尽くして、あの方を傷付け怖がらせるだろう悪魔の所業としても。私は贖うことはできないだろう。甘美で悍ましいこの欲に。


「姫、様」






美しい姫様。私の、私だけの姫様。畏れ多くも許嫁となったのに。
何故あの様な事を仰るのか私にはわからない。美しく聡明な姫様が何をお考えの上で仰ったのか。私には分からない。天にも昇る心地だったのだ。姫様と夫婦になれると知ったあの日より。なのに、何故。分からない。私には分からない。





「お慕い申し上げております」








呟いた其れがあの方の耳に届くはずもない。そう、なのだと嘆いて私は静かに泣くのだった。





白濁色








「んー…気に入らないの?」
「いいえ」
「もう少し可愛い顔したら?」
「緊張、しています」
「そう?ならいいけど。如何かな?秀吉」
「良く、似合っているぞ。」
「ありがとうございます」
「姫」
「はい?」
「三成を頼む。」
「治部はとても優れた方です。良き友に部下に恵まれておいでです。私など何のお手伝いも出来ないでしょうが…微力ながら兄上の為、治部の為心血を注ぎます」
「…」
「そういう意味ではないのだよ。妻として」
「そう言えば」
「何?」
「よく方は見繕えましたか?」
「…覚えていたの?」
「ええ。条件でしたから」
「姫」
「きっと三国一の才女と美女をお見つけくださいませ。其れがお慰みになられますでしょうから」
「…そう。うん、わかっているよ」

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