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変換なしの雑食夢

ran

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灰薔薇色

「では行って参ります」
「僕たちも明日には行くよ。」
「姫」
「はい兄上」
「…」
「今迄、身にあまるお心を頂きました。感謝してもし尽くせません。半兵衛も養育始め感謝いたします。弱気私はお二人にご恩を返せる方法はこの様な事しかありません。道具として、兄上の駒として十分にお役に立てます様婚家先でも尽くしてまいります。」
「我は」
「初めて城に上がりましたおりの約束を果たすことになるだけです。第一兄上も半兵衛もそう言っておいでたではありませぬか。豊臣のために尽くせと。其れは、この様なことで正解なのでしょうか?」
「…」
「要らぬと。役に立たぬとお思いならば打ち捨ててくださいませ。お二人が私を考慮するとは思いませんが、これを」
「何だい?」
「辞世の句です。」
「君、は」
「死の覚悟を持ってまいりますのでご安心をなさってください」
「そんな、白無垢を着ていうことではないだろう」
「半兵衛」
「僕だって秀吉だって割り切ってたよ!でもね。僕も秀吉も、生まれた時から君を知っているんだよ?だから死ぬとか言わないで」
「半兵衛、死は平等です」
「は?」
「己が手で決められませんが私は死ぬることができます。其れで良いんです。私は、道具ですから。そう、言われ続けておりましたし。皆そう思っておられましたから」
「っ」
「草臥れるまでは其々でしょうし、使われ方とて決められません。ですが、数少ない中私は己が道を誤らぬ様に。役割を間違えぬ様にしたいのです」
「姫」
「そろそろ刻限ですね。兄上、半兵衛。さようなら」








そう言って私は立ち上がる。輿は庭まで来ている。侍女は刑部の用意したものだろう。手を取られその中に押し込まれる。不意に二人の方を見ると安堵した顔をしているのかお怒りなのか。逆光でわからない。多分、どちらかだろう。御簾が、かかる。一層のこと網でも打ってくればいいのに。そうすれば私の心境がよくわかるのに。




「お苦しくありませぬか?」
「ええ。」
「何かありましたらお呼び下さい」
「佐和山までどのくらいですか?」
「あっという間ですよ。船着場迄島様がお迎えに上がっております。」
「わかりました。ごめんなさい。少し眠ります。」







籠に揺られ、船にそのまま乗せられてついた佐和山は言われた通り思ったよりあっという間だ。見過ごしに見える風景は大阪と違うが栄えている。




「姫様〜。籠から顔だしちゃだめっすよ」
「…」
「あらら?」
「ずっとこの様で。流石豊臣第一の姫君であられます」
「そりゃあね。三成様の奥方様だもの」





まどろみの中ついた先。お部屋の前でございますと御簾を上げられる。




「久しいの」
「刑部。いえ、大谷様で宜しいですか?」
「今まででの方が良いなぁ。」
「ですが」
「姫様!」
「やれ来よったか」
「石田様」
「?!何故その様な呼び名で」
「やれ三成」
「ここは大阪城の延長とお思いくださいませ。どうぞ。お心安らかに」
「ふふふ」
「では長旅の疲れを癒してくださいませ。私はこれで」
「ひひひ。我もよな。」
「ではまた後日」
「ん」








灰薔薇色







白無垢の姫様を直視することができなかった。可憐で美しいあの人が我が城にいるとは。内心、こられるとは思わなかった。理由をつけて延期されると思っていたのに



明確な拒絶は一時的なものだったのか?




頭に少しよぎってしまったこの言葉を隠すことはできない。明日からは夫婦。三成と呼んではいただけないだろうか?いや、恐れ多いことを考えてはならない。



「まだ仕事、か?」
「あ、ああ。明日からは慌ただしくなるからな」
「左様か。ついにこの日が来たな。」
「…」
「大事に為されよ。そうすれば姫にもぬしの真心が伝わろう」
「ん…」







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