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変換なしの雑食夢

ran

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29

久し振りに誰もいない城は静かでものさみしいなぁと思いつつ執務にあたる。やることが多くて嫌になる。


「姫様」
「ん?」
「行かぬのですか?」
「行かんよ。どうしたさよ?」
「いえ、なぜそこまで頑ななのかと」
「行きたくない故なぁ」
「…の真意が計りかねております。石田様だけなら良いのですが他の者も」
「ああ、そういう事か」
「?」
「さよ」
「はい」
「何を着て行けば良い?公式で他城だ。」
「!そういうことですか」
「真面目と言って笑うか?」
「平素の服で行ったとなれば石田様が軽んじられているように見えますからね。…盲点でございました」
「まぁ行きたくないの半分だがな」
「?」
「それは秘密だ」




そういうとさよは困ったような顔をするので私は曖昧に笑う。ここなら良い。なんとか逃げ果せるしが彼方ではそうはいかないだろう。勝手に散策するわけにはいかぬし。と思って笑ってしまう。




「姫様」
「ん?」
「石田様からの手紙を預かっているのですが」
「ああ。…詫び状か」
「ええ」
「以前贈り物を返したからなぁ。で、手紙か」
「返事を書く。何届けなくて良い。采配は任す。」
「簡潔明瞭でございますな」
「言い訳になるからな。何を書いても。そうだ」
「?」
「そなた。私の名代で酒と手紙を届けよ」
「はぁ?」
「ん。決めた。それがいい。手紙にそう書く。」
「その間誰が!貴方様の」
「何自分のことは自分で出来る。男と違うからな」
「…」
「ついでに竹中の母御を見舞ってくれ。」
「!」
「具合が悪いのだろう?」
「…知っておいででしたか?」
「竹中殿には話をつけている。土産も薬も用意してある。」
「…呆れた。よく私の目を盗んで」
「ふふふ。ぬしも羽を伸ばしておいで」






本当に静かになったなぁと縁側に座る。誰もいない城は初めてかもしれないなぁ。梅は相変わらず咲く気配がないし、逆に山茶花は見頃を迎えている。もう少ししたら正月か。酒に餅の手配をせねばなぁ。

正月の参賀ののちに人日の日。いや、其の前に冬至の準備をせねば。個々の人はそういうのには疎いようで細かい。今年は何か作りたいなあと思案して先年のことを思い出す。そっと差し入れた弁当のせいで、賄方が処罰されかけたのだから。要らぬことはせぬようにしよう。




「さてと。」




皆は楽しんでいるだろうか。








からんころん 番外編






「見事なほどに堅固な城だね。」
「ありがたき幸せでございます!」
「でも」
「?」
「此処と秀吉の部屋だけ意匠が異なるね。自室ですら殺風景なのに。いや、殺風景は殺風景なんだけど。此処だけ紅白梅があるのかい?」
「いえ、その」
「にしても見事に咲いている。美しいものだね。」
「ひひひ」
「…」
「?」
「我が許嫁と姫は幼いおり、紅白梅の意匠を好んでなぁ。」
「ああ、だから此処の庭だけ…」
「すっごく楽しみにしてたんっすよ!姫様がお気に召してくれるかって。それに合わせての宴だっていうのにさ!」
「左近!口を慎め。…姫様が言うことに一理あるのだ。私事の浮ついた気持ちでいた己が恥ずかしい」
「本当に…でもね」
「…申し訳ございません」
「謝るのはこちらの方だ。姉上も追い出して…今頃どうしているのかな」
「…やれ、煽りよるな」
「ごめんよ。そういうつもりではなくてね」
「い、え。ですが」
「ん?」
「…寂しがっておられないか」
「本当に君は不器用だね」

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