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変換なしの雑食夢

ran

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08

「治部や」
「は、い」
「主はほんに食べぬな」
「お許しください」
「いや、な。本来なら無理矢理食べさすのは嫌いなのだ。人はそれぞれ異なるからな。ただ、なぁ」
「…」
「もうちと食べれないか?」
「…は」
「いつもの覇気がないが。致し方ない」
「姫様?」
「そこの櫃を取れ」
「は」



手を濡らす水を侍女が持ってくるがさよではないため治部もいらぬ威嚇はせぬし侍女も恐ろしがって近づかない。なんだかなぁと思いながら手を濡らすと手拭きを手渡そうとするのでいいとのべる。
キョトンとした顔だなと少し年上とはずの治部が可愛らしく見える。膳はほとんど減らぬのだから仕方がないと結び飯を作ってやる。これならまだ食べるだろうと思って作るのだが少し小さくなってしまった。侍女が持ってきた皿の上に2つ置いて、手を洗う。



「治部や」
「は」
「今日はこれで許そうか」
「…は?」
「可愛らしい侍女に結ばせた方が良かったか?」
「いえ、あの」
「ん?」
「まさか、私の為に?」
「其方以外に誰の為だ?」
「…」
「気に入らぬのなら、明日より侍女に頼むが今日は許しておくれ…治部?」
「っ」
「泣くな。如何した?そんなに嫌か?すまぬな。違うものに」
「いいえ、姫様」
「ほら涙をふけ。全く其方らしくない」
「…ですが」
「皿を貸せ。これは私が食すからな」
「嫌です!!!」
「は?」
「これは家宝に」
「そのようなもの家宝にして如何する?!」
「姫様手ずからの…家宝にする許可を!!」
「出せるか、食え!とち狂ったか?!」
「いえ!正気でございます」
「…たべよ。命令だ」
「…」
「治部」
「わかりました」



そういうとじっと皿を見つめるものだから頭が痛くなる。



「なるほど。治部や」
「は、い」
「それを食し身にし血にせよ。さすれば家宝はお前が生きている間お前の側を離れぬよ」
「!!??!」
「いいな。」
「はい」
「にしても」
「?」
「私にも3つほど家宝があるな」
「横になられますか?」
「ああ。少し疲れた。食べるのは無作法ながらこのままで見せてもらうぞ」
「…」
「そうそう。私の家宝が何かわかるか?」
「いえ。」
「家康、刑部。其れに主だ。治部」
「は?」
「私の大切なものだ。だから肝に銘じてくれ。己を大事にすると。私は、己のを蔑ろにされて笑える性格ではないからな」
「…」
「ほれ泣くな。治部は昔も今も変わらんなぁ」





からんころん





「流石か大阪城一の人たらし」
「治部様が泣いているのなんて初めて見ました」
「泣けるのですね」
「ええ。」
「貴様等ぁぁぁぁぁ!!!」
「これ治部。静まれ」

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