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変換なしの雑食夢

ran

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basara 片倉

「意外としつこいですね。」
「…」
「知りませんでした。」
「其のだ。」
「今日はお話がありまして。喜多様ももう少しで参られます。」
「話?」
「…」

そういってついと外を見る。チラチラと雪が降り始めて庭の緑を消していく。私は月が変わる前に此処を出て行くのだ。尼寺に入る予定だった。ただ些か事情が変わったのだ。尼としては入れない。最初は寄宿人という形で入るととなる。其の事情に関係している眼前の男とはもう二度と会うつもりがなかったのに。


「おい」
「何か?」
「顔色が良くねぇ。」
「貴方様と一緒にいるからです」
「…そうじゃねぇ。そう言う意味じゃなくてだな。仕事してても辛そうだから。」
「そうですか?」
「無理をするな。体が辛かったら次ぎの間で寛いでいればいい。姉上が来たら」
「又、魔が入るといけませんから。結構です」
「っ」


そう言って戸外を見る。迎えの通路に喜多様の影が見えるのでホッとしているといつの間にか距離を縮めていた片倉様が眼前にいらっしゃって喉が鳴る。


「熱はねぇな」
「やめてください」
「だが」
「小十郎!貴方また何をしようと!」
「姉上!?彼女の顔色が良くありませんでしたから」
「あら。本当に」
「大丈夫です。」


ならと言いながら上座に座る喜多様を見て片倉様も席に戻る。もう少しねという喜多様に寂しさを覚えつつも私は静かにうなづく。



「あと10日もありませんね。」
「喜多様には両親と死別した私に一から勉学に礼儀作法にと教えていただき、どの様な言葉を並べても…」
「いいのですよ。貴方が私の跡を継いでくれると思いましたが…仕方がありません。」
「それと」
「?」
「今日はそれだけではないのです。」
「?」
「出家の予定でございましたが、何年かは下女として働く予定です。」
「は?」
「如何言う事だ」
「すぐに分かる事ですから。」
「「?」」


赤子が出来ましたと言って私は2人を見る。何か言いそうな喜多様を制して私は首を横に振る。喜多様の言いたい事ではないのです。といえば名前を叫ばれる。



「何を言っているのですか。その子は片倉の」
「喜多様」
「貴方も正室は無理としても側として」
「あ、姉上?!私は彼女と結婚するのなら室として」
「家柄が釣り合わないでしょ?大体…貴方も少しは考えて話しなさい!」
「いくら姉上といえども!」
「分かっています。」
「「!」」
「片倉様に言われると思いましたが…そんな事露にも思っておりませんのでご安心を。片倉様はご自身の事他言無用でお願いしたかったのですが心配無用でございましたね。…私の子として育てる為、ご住職と相談したところ、お寺で一緒に育てて下さる事になりました。ですので数年は下女として働くのです。何より、今までためていた給金もありますから。当分は大丈夫です。ですので」
「…」
「子が生まれましても、誰に何と言われようとも。片倉様には関係のない事と。喜多様もその様にお考えください。」
「あ、のね。そういうつもりではないのよ。」
「いいえ。寄る辺のない私が片倉様と夫婦に成ろうとなど考えた事も御ざいませんので。喜多様安心下さい。先に言いました通り御恩深い貴方様にご迷惑をかけるつもりなど毛頭ございません。」
「聞いてちょうだい」


いいえと言って私は頭を垂れる。ぽつりと落ちる涙を面前の2人に晒すなど惨めすぎる。片倉様は嫌いだった。怖かった。私を心底嫌っておいでだったから。ただ、喜多様は違っていたのだ。姉の様に慕っていたのだから。それも如何に一方通行かよくわかった。
袖で涙を拭う。できるだけ美しく笑うのだ。


「では無用な事でお呼び出しして申し訳ございません。これにて」
「まっ」




パタンと閉じた障子。溢れそうな涙を堪えて歩くのだった。




嘆く野菊

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