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変換なしの雑食夢

ran

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父と母と子 4

「やれ、奥方殿」
「…」
「噂にたがわずよの。乳母殿」
「は、い…刑部様?」
「ちと良いか?」
「良いのですが…」
「ん?」
「(目が笑っていない)急用でございますか?」
「いや、何」
「?」
「半分の行方を聞くだけよ」









居た堪れない。とは言え、席を立つ事すらできない。
眼前には怒っていらっしゃる刑部様で、半分の行方を聞くまではこの場から出さないという事を先に言われたので、益々逃げ出せない。




「言う気にならしゃたか?」
「あ、の」
「取り立てて、半分は佐吉から離れるのが嫌だというので相違無いか?」
「は、い」
「ひひひ。ぬしは知らぬからなぁ」
「?」
「元々、乳母殿始め5人の世話役は見目よりも家柄とその人となり、勉学で決めていた。だがなぁ。どれを取っても隠そうとすればいくらでも隠せらるる。常に忍びが見張っておったのは知っておるか?」
「忍び?!今もですか???」
「今は必要なかろ?まぁ初期のヘマぶりは聞き及んでおるわ」
「っ!」
「それは良い。一人目は早々と尻尾を出したが小物でな。所謂玉の輿というやつよ。ひひひっ。世話をせずになぁ。そこを踏み込まれて早々よ。二人目三人目も似たり寄ったりよ。此処までは太閤や賢人が親元に言うて早々引き取ってもらったが…主とあの四人目は献身的に佐吉に尽くしておった。いや、主は今でもなぁ」
「四人目の方は…君島様は其れこそ!」
「三成の逆鱗に触れたあれか?」
「よく尽くしていらっしゃいました。其れなのに、あんな」
「主は」
「?」
「主は己が善人故…皆己のようだと思う気来があらしゃる。そこが良いところで悪いところよ。…いや、面倒なところか」
「???」
「あれがこの城から放逐される前夜、佐吉が熱を出したのは?」
「ええ。原因不明で…医師も手を焼いていたので良く」
「ひひひ。主は例にも漏れず水籠りをしておったなあ。看病して水を被り。良く病を得なかったものよ」
「元来の構造が単純なのでございましょう」
「ひひひ。誠主らしいが…あれは違った」
「?」
「あの病があれのせいで、あれが徳川の間者だったとしたら?」
「…は?」
「疑うか?」
「…」
「…」
「…いいえ。」
「ほう」
「佐吉様に対して皆様誠実でいらっしゃいます。今、合点がいきました。何故、石田様があれ程お怒りになられたのか」
「合戦の前だった故。普通なら馘いていても不思議が無いが…主が、身を挺して佐吉を守っていたのを見て我に帰ったそうよ。」
「…」
「ぬしも、どこぞの間者かと思いはしたが…無理よなぁ。」
「無理です」
「我とて主のその鈍臭さが芝居なら驚嘆の域よ」
「…」
「ひひひ。怒らしゃるな。まぁ、主の警戒を一番に解いたは他でも無い三成よ」
「其れは」
「ん?」
「私が一番鈍臭いからですか?」
「ひひひ。すねしゃるな。今は我とてそうは思っておらぬよ。…三成は主を見て美しいと思ったそうだ」
「?!」
「ひひひ。心根よの。まぁ主は己を否定するが見目も良い方よ。頭も悪く無い。家柄もよ。…三成が嫌いが半分なら理解もできるがな」
「っ」
「いわしゃれ。」
「残りの理由の半分…一つに正室となれば佐吉様に会う時間が月に何度もなくなってしまうからです」
「はてさて。如何してそうなる?別段今と変わらん」
「???」
「主の母御がそうであったか?此処は奥方がおらぬ故…左様か。そのようは心配は無駄よ無駄。好きにしりゃれ。其れは我らではなく太閤も賢人もそう思っておる。まぁ今のように勉学の時間が増えると自ずとなぁ…子の成長とともに離れる程度よ」
「…」
「やれ、まだあるか?いわしゃれ」
「実家も…」
「妹御はいらぬというた。あれはいかん。佐吉が嫌い故。」
「…」
「もう無いか?」
「…」
「ひひひ。観念しりゃれ。三成が落ち込んでおる」
「石田様がですか?」
「あれは本にわかりにくい男でなぁ。主と夫婦になるまでも密かに主のため色々動いておる。まぁ。主に災いする者を近づけぬようにしたりなぁ」
「?!」
「ようや、嫁にしたかと思ったら拒絶されたと。主が人身御供の様に三成の元に来たと落ち込んでいた。初夜は意気揚々と行き、落ち込んで帰ってきた故な。ひひひ。主に嫌われたと嘆く故、我も出張ったのよ。でなければ…態々こんなことはせぬよ」
「お戯れかと、思ったのです」
「ん?」
「お戯れに…其れこそ何かの冗談かと」
「ひひひ。三成が聞けば泣くなぁ」
「私は」
「…」
「生まれてこの方美しいなど言われたこともありませんでしたから…石田様にああ言われましても、疑っておりました。刑部様」
「何?」
「間違いなく、本心なのでしょうか?」
「間違いなく、本心よ」
「…石田様に会ってお伝えいたします。今までのご無礼を」
「で」
「?」
「それだけか?」
「!?」
「ひひひ。主とて悪い気はしておらぬ様よなぁ…ん。三成は執務室よ。」
「ありがとうございます」







父と母と子 4










「誰だ?」
「わ、たくしでございます。」
「?!ま、待て!!今は誰もいない!」
「え?」
「私と二人きりは恐ろしいだろう?」
「い、いいえ!」
「無理をするな」
「…でしたら此処より、失礼致します」
「?」
「今までの勘違いをお許し頂きたく参りました」
「???」
「私の早計で勘違いを…あなた様が、佐吉様や私をお守りいただいていたことを知らずに」
「刑部か」
「本当に申し訳ございません。そしてありがとうございます」
「あ、たりまえだ。子を守るのは親の仕事だ」
「何故、私まで」
「…其れはだ。嫁に迎えたかった」
「!」
「そう言ったはずだ!」
「はい」
「お前にとっても都合のいい話だろう?…これで死ぬまで、佐吉のそばにいれる」
「あ、の!!!」
「な、何だ?!急に!!!」
「私は、あまり器用ではありません!」
「?」
「5年も乳母殿と言われていましたから…其れに」
「何が言いたい?」
「…」
「おい」
「だ、んな様と呼ばせていただいてもよろしいですか?」
「?!」
「私も!奥方とか母上というのに反応する努力を致しますの、で…石田様?」
「違う」
「旦那、様」
「っ」
「?」
「私が、恐ろしく無いか?」
「少し」
「!」
「君島様の時は本当に…」
「そう、か」
「ですが…」
「?」
「理由がわかれば!其れに知っていたら私も平手の一つでも!」
「お前がか?」
「…そういう意気込みです!」
「…そうか」
「石田」
「違う」
「旦那様」
「触れてもいいか?」
「は、い」
「奥」
「っ」
「お前と佐吉は私が必ず守る。それだけは信じてくれ」
「は、い」







「上手くいったかな?」
「やれ賢人。覗き見はいかぬなぁ」
「だってね。」
「半兵衛様!これで大丈夫ですか?」
「ままごとの様だけどね。」
「ひひひひひ」

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