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変換なしの雑食夢

ran

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父と母と子 3

「おい」
「は、い」
「そんなに嫌か?」
「そ、のような訳では」
「顔色の悪い、震えた女に言われた所で真実味の低い話だ。興が逸れた」
「?!」
「佐吉を呼んで…何だ?着物を掴むな!」
「佐吉様の世話役から、外されるのでしょうか?」
「は?」
「…」
「…一つ聞く。」
「?」
「佐吉と離れるのが嫌で私の妻になったのか?」
「…」
「答えろ」
「半分は」
「…もう半分は?」
「…」
「答えない気か?」
「申し訳ございません」
「…そう、か」
「?!」
「佐吉を呼ぶ。暫時ここで待て」
「石田様?!」
「今日からお前も石田だが、もういい。好きに呼べ」
「?!」
「安心しろ。この程度で離縁はせん」








その日を境に石田様は私と二人きりになることはなかった。








「やれ、三成」
「何だ」
「機嫌の悪いこの上無しよな」
「…悪くは無い」
「漸くいとしき嫁御を娶ったというのに…ひひひ。三成。筆が折れよる」
「心配するな」
「主の心配はしていない。心配なのは左近たちよ。」
「あれしきでへこたれはならない!」
「ひ、ひひひ。鬼の所業よな。やれ、恐ろしい恐ろしい」
「!」
「三成?」
「私は、恐ろしいか?」
「まぁなぁ」
「…そうか」
「やれ如何した?」
「…」
「?」
「拒絶された」
「???」
「奥にだ」
「ああ。そう言えば、まだ他人行儀よなぁ。…初夜も迎えたのに」
「…」
「迎えておらなんだか」
「青い顔をされて、震えられたのだ。…無理意地はできまい」
「それは、そうよの。」
「佐吉と離れたく無いためと言われた。あれはここに来た時より佐吉にしか意識がいかぬようだ」
「ひひひ。あれらを罷免した理由を勘違いしたか。まぁここに来た折の主は徳川の所為でかなり荒れていたからな」
「…」
「太閤賢人両名が生きておったから良かったものの。主の暴れっぷりを知っておれば仕方ないか」
「言うな。だが、あれには何もしたことは無い」
「同僚を強かに打ち据えていたところは見ただろうに」
「…」
「特に4人目は酷かった」
「あれは!家康の間者だ」
「それをあれは知らぬ故。急いで佐吉を庇っておったものなぁ」
「…」
「身を挺してという点においてはまこと母親よ」
「刑部」
「ん?」
「姉上が喪してこの方。私は佐吉を我が子と思ってきた。佐吉は私が嫌いか?」
「ひひひ。佐吉主を嫌いではあるまい。あの幼子の心は父を主に母を乳母殿にしたいのだろうからなぁ。」
「だが」
「ぬしもぬしよ。ある程度は致し方無いとしても、初心な娘がそのまま床を終いにはできぬものよ。少し強引にならしゃれ」
「無理だ!」
「…萎えるか?」
「嫌われてしまう!」
「…本にぬしは」
「如何したらいい?!私も佐吉と同じだ!佐吉を子にあれを妻にしたい」
「ままごとのようよ」
「それでも良い」
「左様か」
「刑部?」
「致し方無い。…我も少し動くか。ついては他に何か言わなんだか?」
「他に…半分と」
「?」
「私との結婚を受け入れた理由は佐吉が半分と」
「して残りの半分は?」
「答えなかった」
「…まずはそこからよの」






父と母と子 3







「おい!」
「え?あ!はい」
「父上と仲が良く無いのか?」
「?!」
「…えっと、ですね。また如何して?」
「左近が言っていた!訓練が鬼気迫ると」
「(左近様、ごめんなさい)」
「嫌い、なのか?」
「いえ!めっそうも無い!!!」
「…お前がそう言うのは苦手な証拠だ!」
「佐吉様」
「父上が苦手か?」
「…恐ろしい方と知っておりますが、それだけで無いとも知っております。苦手ではありませんよ。尊敬しておりますから」
「なら」
「私が一番恐ろしいのは佐吉様の近くにいられなくなってしまうことです」
「何故だ?!」
「正室は正室の役割がありますから。今までのようにはいきません。それが一番寂しい」
「っ!泣くな」
「元より、里はこの縁談を喜んでおりますし。…というより、美しい下の妹を側室に入れようと画策しておりますから。」
「私はあいつが嫌いだ!いつも意地悪をする」
「ですが…見目も大切ですよ」
「いつも父上は言っている!」
「?」
「お前はお前が思うよりずっと美しいと。心映えも見目も。なのにいつも自信なさげに俯いているから困っていると。あと…私と共にいるときは本当に幸せそうだと」
「…」
「早く!お前を母と呼びたい」
「?」
「この間からいくら呼んでも振り向かん!不義理だし不自由だ!」
「ふふふ」
「泣くな!笑え!」
「はい」
「お茶を淹れてやるから待っていろ」
「ありがたい事でございますね」

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