忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

死屍累々 4

「包帯まで洗うたか」
「それが?いけませんでしたか?」
「…」
「なんですか?」
「…」
「大谷様?ご気分が優れませんか?」
「ぬしは」
「?」
「もうちと笑えば見れたものよの」
「取り立てて必要なことではありませんね。」
「左様か」
「私は貴方様に嫁いだわけではありませんし、旦那様にもご寵愛たれたいわけではありませんから。薬は飲まれましたか?」
「いつもながらにまずい」
「そう言うものです。あら?」
「刑部!」
「三成?」
「医師から許可を得てきた!文句はあるまい」
「…」
「おい!っち!また話さぬ気か!あの女」
「洗濯を干しに行ったのであろう。ひひひっ。すまぬな、ぬしの妻を」
「知らん!半兵衛様の采配だ!役に立っているか?」
「とてもなぁ」
「なら、いい」
「ぬしはあれが好かぬのか?」
「好きも嫌いもない。秀吉様のご命令で貴様と半兵衛様が決めたのだろう?」
「それはそうよの」
「無口で表情の乏しい女だ。正室には丁度いいのだろう?」
「故に伽をさせぬのか?」
「聞いたのか?」
「ひひひ。ぬしの乱痴騒ぎが聞こえてきたのでなぁ」
「あれは女子というより、正室だ。」
「それは役割よの」
「その役割をする人間だと言っている」
「左様か…ん?」
「失礼致します。」
「奥方?」
「…お茶とお菓子を置いておきます。積もる話もありましょう。私は夕食の支度をしておりますので。何かありましたら」
「ふん!」
「…」








ぱたりと閉めて私は台所へ向かう。女でもない、か。それはそれでいいのかもしれない。私に向いている気がする。
今日の夕食は何にしようかと思っていたら竹中様が框に座っていて思わず目を見開く。この方は神出鬼没だ。なぜここにと尋ねたところで意味をなさらないだろうからご用件はとだけ聞いておく。するともっと驚いてくれてもいいのにねと言われるので、十分驚いていることを伝えておく。




「にしても表情が」
「お茶とお菓子です。体調は如何ですか?」
「今はいいよ。…これは何?」
「旦那様の衣装でございます。今のうちと思ったのですが」
「このお菓子おいしいね」
「ありがとうございます」
「君、無駄に能力高いのにどうしてそう表情だけないかなぁ?少し笑えばいいと思うんだけど」
「今日大谷様にも言われました」
「はは。何て答えたの?」
「私は貴方様に嫁いだわけではありませんし、旦那様にもご寵愛たれたいわけではありませんから。と」
「君らしいね。三成君も三成君だ。君をほったらかして」
「私は正室という役割の人間ですから。」
「彼らしいね。」
「その通りだと思います。何を好んで私など」
「まーねー…あ、漬物をもらいに来たんだよ。」
「漬物ですか?」
「君のが美味しくてね。秀吉も欲しいそうだ。あるかい?」
「あちらの甕ごとお持ち下さい。」
「助かるよ。それと」
「?」
「夕食の前に来客があるから茶菓子の準備を頼めるかい?見舞いが来ているからね」
「はい」
「夕餉はこちらで用意するよ。…さてと。吉継君を見て僕もお暇するよ。」




甕を担いで出て行くのだから目的はこれなのだろう。自由な殿方であり姑殿だ。
来客の支度をしなくては。明日にと羊羹を作っておいたからあれを出そう。洗濯物も取り込んでおかなくてはならない。そう思いながら私は外に出るのだった








死屍累々 4









「何とか乾いた」
「やれ、奥方」
「?!寝ていなければ熱が上がりますよ」
「ひひひ。厠ついでよ。その客の話よ」
「?」
「少々面倒な男ゆえ最低限の会話にしりゃれ」
「心得ました」
「もうじききりゃる。三成も暴れてはならぬゆえ…茶を出した後、こちらに引っ込んでおれ。危ないゆえなぁ」
「はい」
「怒うておるか?」
「いえ?…薬を先に飲んでおきましょう」
「…」
「ささ。」
「不味い」
「飲まないと治りませんよ。」
「左様か…ん。不味い」

拍手

PR