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変換なしの雑食夢

ran

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死屍累々 2

「何が気にくわない」
「?」
「貴様が好きと言ったから取り寄せたのだぞ!」
「…」
「?」
「きっとそれは違う閨話ですね」
「…」
「…」
「…ああ」
「お相手を思い出しましたか?」
「貴様は好まんのか?」
「有り体に言えば。」
「そうか。邪魔をした」
「…」
「…」
「…まだ何か?」
「怒らんのか?」
「何をです?」
「…」
「いちいち怒ったほうがよろしいのでしたら」
「いや、いい」
「ならば、いいではありませんか」
「…」
「…」
「何を読んでいる?」
「大谷様からお借りした書物です」
「刑部か?」
「はい」
「…」
「…」
「…」
「…」
「ちと邪魔する…ん?ここにおったか三成よ」
「あら、まだいらっしゃったのですか?」
「「?!」」
「奥?」
「いえ、本を読んでいましたから。…大谷様ありがとうございます。とても興味深くて。」
「やれ、それは良いとして…ん?菓子か?」
「まだお持ちになっていらっしゃらなかったのですか?」
「五月蝿い」
「…誰か。風呂敷を」
「はい」
「7つに分けて各々にお持ちしなさい」
「はい」
「「?!」」
「如何致しましたか?」
「人数」
「あら、また増えましたか?」
「いや、何故」
「…」
「…」
「…風の噂ですわ」






そう言えば難しい顔をして部屋から出て行かれる。
これでやっと静かになったと思いながら頁をめくる。どれくらい経っただろうか?借りているものも読み終えたし、衣類の直しもした。今取り立ててしておくことはして済んだ。暇だと思っていたら侍女が縁に出られては如何ですかと言うのでぼんやりとうなづく。賄い方は言ってはダメだと言われている今、本当に暇なのだ。
草履を履いたものの庭に出る気はしない。人の陰口も聞きたくないし、何より、外には出てはならんと言われているのだ。だけれども縁に腰掛けて外を見るのは思ったよりも良い。只、陽射しはきつくて暑い。ついそう言ってしまうと、見る見るうちに暑くなってくる。川に行きたい。そう思ったところで無理だろう。結局は桶に張った水で手を打つのだ。




「…」
「根をお詰めになったのでしょう。大丈夫で、ございますか?」
「ええ」
「少し、お休みになられま…奥方様?」
「六になったら起こして」
「…寝てしまわれた」
「私が扇いでおきます。日陰を」
「はい」
「…やっぱりいいわ!起きる!そんな人垣みたいな事は止しなさい」
「ですが」
「大体左腕の妻がうたた寝とは醜聞なのでしょう?誰か手ぬぐいを。部屋に戻ります」
「お、お待ちください!そのようなつもりではありません」
「?」
「お許しください。奥方様の御心を」
「怒っていないのよ」
「え?」
「駄目ね。この顔だからすぐそう思われるのだけれども。怒ってはいないのよ。皆が暑気あたりしてはいけないし。」
「良かった」
「ふふふ。では私は休むわ」
「え?!」
「少し待って。誰か墨を。これを大谷様にお渡しになって。夕餉の折も起きませんから。」
「今日は殿様と!」
「おやすみなさい」







死屍累々 2








「奥は来ぬよ」
「何故だ!」
「愛想を尽かされない方が不思議よ、ふしぎ」
「何?!」
「他の女の贈り物を渡すとはなぁ」
「あれが傷付くものか。あの無表情は変わらん」
「左様か」
「…」
「…」
「今」
「寝ておるゆえ行かぬが得策よ」
「…」
「やれ、三成。歯がちびる」

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