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変換なしの雑食夢

ran

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沈丁花

「もし」
「ん?如何した童。お前の様なものが来る場所ではないぞ!」
「何より危ない。早く立ち去れ。」
「いえ、御取次を」
「取り付き?」
「父上か?なんていう名前だ」
「竹中半兵衛様を。小が来たと言えばお分かりになります」
「「は?」」





其れから城内は騒然としたらしい。まぁこんな大きな城の主人の側近の名を私みたいな子供が言うと可笑しいわねと内心思いながら御白湯を啜る。
庭は簡素だし花一つ生けていないのだから彼ららしいと思うものの表情は変えてはならない。だって襖の向こうからひしひしの視線を感じるのだから




「小姫!?」
「お久しぶりでございます。ご健勝」
「そんなことは良い!如何したの急に」
「急にではないのですが…手紙でお送りいたしましたが御読み遊ばしていませんね半兵衛様」
「う、戦に忙しくて」
「知っております。ですから伯父ではなく貴方様に御取次をお願いいたしました。伯父は?」
「ん?秀吉かい?元気にしているよ」
「…出てくる気はないのですね。…まぁ良いです。で」
「な、なんだい?」
「手紙は」
「読んでないよ」
「去る2年前。あなた方が御立ち遊ばして手紙が滞った折よりの話でございます。我が母上がお亡くなり遊ばれました。遺言はここに認めてまいりましたので。母らしい最期でございました。御ばば様は実妹の葬儀に来れぬとはと大層お怒りでしたが、菓子をお送りいたしまして詫び状を送っております。また文を御書きくださいませ。それと竹中の姉君はご出産致しまして男の子を御産みに。されど、旦那殿は外に女殿が居ましたので…私の判断で離縁いたしましたよ。あんなロクデナシ。だからやめろと言ったのです。丁度琵琶湖近くの地侍に良き縁がありましたから其方に嫁しました。今となっては良い夫婦です。あと、細々とありますが。お時間は平気でございますか」
「旭君は亡くなってしまったのかい?!」
「ええ。元々体の弱い方でしたから。風邪を貰ってそのまま。その時に下の子も。兄上は御家中に加えて頂いていますし姉も嫁いでいましたから。私だけが生き延びてしまいました。竹中の母君も息災で心配されておりました。文をあずかろうと言いましたら其れよりと薬を渡してくださいました」
「母上らしい」
「取り敢えず、それだけです。」
「もう帰るのかい?」
「ええ。」
「そう」
「御忙しい間に申し訳ございませんでした。竹中の姉上の差配に問題がなかったか気になっておりましたので。火急の用があればまた。」
「少しゆっくりしていけば良い」
「…いえ。其れでは伯父上によろしくお伝えください」





そう言って一礼して部屋を出る。顔色が良くて良かった。少しほっとする。言いたいこともたくさんあるし知らせなくてはならないこともたくさんあるけど忙しいお二人に迷惑はかけられない。
そう思いながら裏口で草鞋を履く。正門から入るのはさすがに憚られるからと言いながら杖を受け取る。不意に銀髪が目に入る。半兵衛様のふわふわした其れではなくサラサラとした美しい髪だ。驚いて見開くと彼方はの眉間にはひどいシワが寄る。慌てて目を閉じて一礼する。危ない。気の短さまで似ている様だ。
裏門を聞いてそこまで歩いていく。統制のとれた軍。





「城からの使いですよ」
「は?」


其れからひと月。前触れもなく伯父上の城から使者が来た。着物を着替えて登城する様にという偈ちは有難くはない。ただ平凡にもう長くはないだろう御ばば様を看取り畑を守って土に帰りたいと思っていた矢先の出来事なのだから






沈丁花







「ってさ。ここには来ないと。見事な字だよね。どちらにしても来年ようやく裳着の童ができる技ではないよ」
「あれの母もよく似ていた。ただ体が弱すぎたのだ」
「儚く散ってしまったらしいね。秀吉」
「何だ」
「僕はね。あの子を妹の様に思っていたよ。よく笑って愛らしい子だった。けどこの間あった時は能面のようだったよ」
「あれには己が母以外に我の家半兵衛の家と見てもらっていたからな」
「帰ってきてって、旭君が危ない時に書いてある。思わず泣きそうになったよ」
「ああ」
「此方にはあのこと年の近い者が大勢いる。ここで成人させて嫁がせたいんだ。良いかい?」
「好きにせよ」

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