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変換なしの雑食夢

ran

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水蜜桃

「姫様」
「石田様?」
「此方を御ばば様に。滋養がついて良いと聞き及んでいます。」
「え?あの。」
「?」
「今日はどの様なご用件でしょうか」
「…?!」
「?」
「いえ、その。体の弱い友人に滋養のつくものを聞きまして」
「え?」
「姫様も、お顔の色が…ですので」
「其れで。わざわざ?」
「申し訳ございません。ご迷惑を返りみず」
「いえ、あ!宜しければ縁に御回りください。粗茶ですが」
「いえ!これをお渡ししたかっただけですので」
「ですが」
「失礼します」




そう言うとあっという間に走っていかれる。速い。とあっけにとられていると中から声がするのでハイハイと言いながら中に入る。御ばば様は嬉しそうに笑うけれどももう直ぐ居なくなってしまう。昨日の発作の時に医師にそう言われてしまった。もってあと2日。一緒に亡くなってもおかしくないと。




「ちい」
「この間来た御武家様が常に良いってわざわざ持ってきてくださったの。でもどうやって食べるのかしら?食べ方までわざわざ書いてくださってて。にしても…武家の人らしい字。」
「そうかい」
「後で食べましょうね。甘くて美味って書いていますから」
「なぁ、ちい?」
「何?」
「私は幸せだったよ」
「どうしたの?」
「…言いたいことを言わないと」
「御ばば様」
「ちい」
「…私も幸せでした」
「童のお前に苦労をかけたね。」
「いえ。御ばば様に私は何度も救っていただきました」
「ちい」
「?」
「私の可愛いちい」
「御ばば様?」












なんと人はあっけなく死んでしまうのだろう。苦しみしなかったのがせめてもの救いだった。
にしても伯父にも半兵衛様にも文は書いたものの音沙汰はない。御ばば様が死んで葬儀も済み100日も済んだ。武家の人たちは来ず身内としては寂しいものになってしまった。あの時は辛くて泣いてしまったものの今となっては其れで良かった気がする。行李にしまう御ばば様の遺品を見ながら最近そう思うのだ。きっと伯父たちは泣けないだろう。其れは其れで辛い話だ。私も私で泣かずにおれなかった。心ゆくまで泣かせてもらえた。そう思えば幾分気持ちが軽くなる。
父上と母上。死した兄弟。御じじ様御ばば様。その位牌の前で泣くこともなくなってきた。






「夕餉の支度をしないと。」




そうひとりごちて視線を上げると庭先に影ができたのに驚く。あの日の様に風の様に現れるのだから驚いてしまう





「姫様」
「石田様?」
「ご無事で!」
「?」
「あの日あの後大政所様の御逝去と聞きました」
「あ、はい。でも苦しまずに…何より大往生でしたから」
「…」
「石田様?」
「もう少し」
「え?」
「もう少しおそばにいれば…何かの慰めに成ったのにと。」
「…」
「すぐに出陣の触れで今日帰ってきたところです。」
「え?!」
「如何致しましたか?」
「そんな大変な時にわざわざ?怪我はありませんか???」
「大丈夫です。ですが…」
「石田様?」
「顔色が宜しくない。」
「っ」
「一人で泣いておられたのですね。」
「?!」
「私が見ても仲の良いお二人でしたから」
「っいえ。大丈夫です。ですから…その様に優しいお言葉は」
「姫様」
「泣いてしまいますから…お願いします。」
「泣いてください。私は気にいたしませんから」
「っ」
「…姫様」
「…」




両手で顔を隠して声を殺して泣いてしまう。御ばば様以外で初めての無償の優しさだったから。
すると石田様は優しく両手をとってギュッと抱きしめてくれる。ぽんぽんと頭を撫でてくれて辛かったでしょうというものだからますます泣いてしまう。








「っ!?」
「…御起きになられましたか?」
「え?!わたし…寝てしまったのですね」
「申し訳ございません。何を使えばいいのかわからず…私の羽織で」
「?!!」
「姫様?」
「すいません本当に…石田様のご迷惑に」
「いえ。」
「夕餉の…今何時でしょうか?」
「…」
「石田様?」
「私はもう暇を。これ以上ここにいては貴方様の名を。いくら前髪をお上げする前と言いましても妙齢の女性ですので」
「?」
「保護者のいない家に上がり込むのは些か。しかも夜に」
「!?」
「また参ります」
「え、あの」
「では!」








水蜜桃








「あれ?三成君。遅かったね」
「申し訳ございません。姫様がお休みしておられましたので…その」
「いやいいよ。君には一番の信を持っているから」
「…」
「御ばば様の件で落ち込んでなかったかい?」
「少し。」
「そう」
「…」
「僕も少し手が開く。秀吉は無理だろうけど。早く呼び寄せないと」
「はい」
「君には共を頼むよ」
「はい」

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