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変換なしの雑食夢

ran

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月子の話 2

「歌苗。おはよう」
「お姉様?」
「月子って呼んで」
「月子お姉様」
「もー!」
「いや、それより」
「?」
「朝ごはん作ってくれたの?」
「うん。あ!朝パン派?パン見当たらなかったから」
「違う!」
「嫌いなものあった?」
「違うのぉ」
「嬉しいのよね。子猫ちゃん」
「あらりっちゃん。おはよう。嬉しいって?」
「朝からぁ」
「ふふふ。これから無理な時は頼むけど朝くらいは私が作るわよ?ほらお弁当も作ったから。早く食べなさい。ね?」
「ありがとう」




めっちゃ可愛い!姪ラブ。顔に出ていたらしくりっちゃんに愛ねと言われたので激しく同調する。姉さんもお義兄様も。こんな可愛い子にくろばかりかけて。
そう思いながらご飯をよそう。いつもより美味しいというピンク頭を威嚇しつつ(歌苗の食事が一番だ)賑やかな食卓を楽しむ。本当こういうの久しぶりだわ。



「月子お姉様」
「ん?」
「これから」
「仕事はここでもできるから落ち着くまでお家賃払います。取り敢えず1年分昨日振り込んだから確認して」
「いち?!」
「月子ちゃん凄く金持ちなの?」
「働いてるから、それなりに。」
「何をなさっているのですか?」
「月子お姉様は」
「秘密よ秘密!歌苗」
「ごめんなさい」
「ぶー!狡い」
「ずるくないわよ。私はここに仕事できてるんじゃないの。かわいい歌苗を愛でるために来てるんだもの」
「愛ねぇ」
「愛よ」
「演奏家だろう」
「へ?」
「指にたこが出来ている」
「あ?!あー…おかわり入ります?」
「貰う」
「演奏家?」
「何何何?!なに弾くの??!ヴァイオリン?フルート?」
「三味線」
「三味線?」
「趣味でね」
「趣味?」
「趣味じゃないでしょ?」
「んー」
「弾いてみろ」
「そのうち、ね」
「何故だ!」
「ちょっとベトさん!」
「今は少し怖いから。」
「怖い?」
「そっ。ごちそうさま。食べ終わったら流しにだけ持って行って。歌苗。早く行かないと遅刻」
「え?!あ!」
「私部屋の片付するから。またお昼ね」
「な?!おい!」






食器を持って台所に向かうと後ろからけたたましい音がする。何事?!と振り返れば恐ろしく姿勢の良い男がこちらに向かってくるので喉が変になってしまう。食器置いた後でよかった。びびって落とすとこだったわ。何?と尋ねても翡翠色の目が私を睨む。視線で背が縮むだなんて知らなかったわ。





「おい」
「は、はい」
「俺、は」
「?」
「その、」
「???」
「シャミセンを聴いてみたい」
「…は?」
「…」
「…」
「…」
「ふっ。くくくっ」
「何が、可笑しい?」
「だっ、て」
「未知なる音が有るのなら聴きたいと思うその欲が罪というのか?いや、そうではないだろう!聞ける」
「長いし、くどいし…意味、わかんない、し」
「何?!」
「…」
「なんだ?」
「聴きたい?」
「そうだから言っている!」
「…馬鹿馬鹿しくなっちゃった」
「何がだ!」
「父に結婚したらやめろって言われて。趣味がたまたま当たっただけでのぼせあがるなって」
「そうか」
「確かに調子に乗っていたのね。その程度でいじけて」
「いや…おれに経験がある」
「そう。でも」
「?」
「好きなのね。」
「…は?」
「だからここに来たのよ。色々理由つけてたけど」
「なっ?!は!」
「ベトさん?」
「…ルードヴィヒだ」
「ルートさん」
「なんだ。」
「三味線、聞く?」
「ああ」
「なら聞いてちょうだいな。」













「ベートーベン先輩!」
「ルー君顔真っ赤」
「私に告白したくせに」
「…あれは」
「愛、ね!」





月子の話 2

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