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変換なしの雑食夢

ran

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暗の妹と三成 3

がしゃーーーーーーん!!!!!



「何事ですか?!きゃ!」
「危ない」
「っ?!治部様」
「怪我をする。下がっていろ」
「やれ黒田か。三成よ。助かった助かった」
「ふん」
「何事かと思いましたら…兄上が次は何の粗相を?」
「なーぜじゃー!!!」
「なぁみりゃれ。主は三成が黒田に害なすというが。ひひひ。真逆よなぁ」
「な?!あいつは絶対やる!!!その内絶対だ!!!」
「何を根拠に」
「小生をボコボコにしておいたくせに!!!おかげで洞穴生活だ!」
「それは自業自得よ」
「いててててて!!!」
「刑部様」
「ん?」
「兄上がまた粗相を致しましたようで。申し訳ありません」
「ひひひ。」
「兄上。あまり無体な事をなさいますな」
「小生は何もしてねぇ!」
「っ」






だんと畳を叩いた拍子に鉄の鎖が頬にあたる。優しい兄上だけれども時々あるのだ。こういう不慮の事故が。治部様が引っ張ってくれたから頬くらいで済んだもののいつもなれば医務室行きだっただろう。
お礼を言いたかったものの、如何しても言えなかった。



目の前の兄上や刑部様の顔色や、何より兄上の首筋近くを通って畳に突き刺さっているの刀で今まで皆様が言っていた「それ」がよく分かった






「貴様ぁぁぁ」
「み、三成。落ち着きゃれ」
「ほ、ほら!見てみろ!こうなんだぞ」
「…秀吉様。この愚者の口を塞ぐ許可を…いや、息の根を止める許可を」
「三成。主の腕の中には黒田がおる!落ち着きゃれ」
「っ」
「黒田も!主も」
「治部、様?」
「…」
「かた、なを」
「っ」
「私は大丈夫…っ」
「すまない」
「(あの三成が?!刀をひいた!)」
「脅かせてしまった」
「い、え」
「泣くな…本当にすまない」
「ごめんなさい。私」
「涙を」
「?」
「拭って良いか?」
「!」
「恐ろしいか?」
「…ふふふ」
「?」
「ふふ、」
「なぜ笑う?」
「だって、治部様が」
「私が如何した?」
「いつも通りで…ふふふ」
「泣きながら笑うのか?」
「だって。本当に、びっくりしましたけど」
「?」
「いつも通りの治部様で本当に良かったです」
「そうか」
「!」
「?」
「い、え。あ、の!」
「ん?」
「離して、下さい」
「あ、ああすまない」
「あと」
「?」
「ありがとうございます」
「いや…頬の怪我を」
「怪我の内には入りませんよ。兄上といればこんな程度の傷」
「…ほう」
「治部様?」
「いや、何でもない。刑部」
「やれ任しておけ。」
「行こう」
「はい」





暗の妹と三成 3





「汚い首故洗って待とうなぁ」
「なぜじゃあ!」
「まぁ、良い仕事はしたなぁ。」
「ぐっ!」
「悪言を耳に入れるはずだったのになぁ。」
「…けっ!」
「まぁ。くっつく時は勝手にくっつくものよ。ひひひ。頑張って婚礼の支度を致せなぁ」

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暗の妹と三成 2

「雨」
「致し方ない。天の采配には勝てぬ勝てぬ」
「…」
「そう天を睨むでないわ。ますます雨脚が強くなろう」
「っち!」
「致し方なしとあれも仕事に出てしもうたしなぁ」
「…」
「やれ、三成。…ん?」
「失礼いたします」
「おお、黒田」
「お薬をお持ち致しました…治部様?」
「な、何だ?」
「縁でおられましたら寒くありませんか?」
「いや」
「火鉢でもお持ちいたしましょうか」
「では、頼む」
「あと、少し動かないでくださいね」
「?!」
「御髪に雫が。雨足が強くなっておりますから。」
「やれ、三成。部屋に入りゃれ」
「ああ」
「お茶をお持ち致しますね」
「頼む」
「刑部様」
「ん?」
「私が帰ってくるまで治部様が帰られないようにお願いいたします」
「?」
「ふふふ。今し方お部屋に行きましたけれどもいらっしゃらなくて。」
「早よ行きゃれ。」
「はい」



ぱたぱたという足音を珍しく聞かせているところを見ると走っているらしい。これは本当に珍しいと言えば、三成は真っ青な顔をして「拒絶されたのだろうか」とあさってな台詞を吐き出すので一応笑っておく。
拒絶するなれば入ってこぬよと言えば納得しきらずとも落ち着いたらしく、そうかとだけ言うのだ。
この太閤狂いの朴念仁が一端にも恋をした。我と話すあれが気になって仕方がなくなったのは寝込んだ時に献身的に看護をしていた姿を見てかららしい。我は当て馬よなぁと下がらぬ熱の中言えば鼻で笑う程度の余裕があったのに「色々」あったせいでその余裕も無くなってしまって今に至る。
不器用で致し方ない男だがなぁと内心思いつつもあの初心な黒田では何の発展もないだろうとあれの上司と話した上で発展させようと躍起にはなるものの毒気抜かれるのは我らの方なのだ。
あの二人の内にある感情は恋愛の有無を度外視してもまるで童のような、純粋で無垢な感情なのだから




「遅い」
「やれ落ちつかしゃれ」
「まさか!」
「失礼致します」
「?!」
「すいません。少し手間取って…あら?」
「ひひひ」
「治部様は縁がお好きなのですね」
「…」
「縁側よりにお座布団をひきましたから。」
「ああ」
「手ぬぐいを」
「すまない」
「火鉢も」
「私が」
「いえ大丈夫でございますよ」
「だが」
「お茶とあと」
「?」
「菓子を作りました。折角のお約束を反故にしてしまって…」
「?!」
「お詫びの印です。また宜しければお誘い下さい」
「あ、ああ」
「刑部様の分。」
「やれすまぬなぁ」
「では失礼いたしました」








暗の妹と三成 2







「なー半兵衛」
「何だい、官兵衛君」
「うちの妹の」
「ああ三成君の想い人だね」
「何でお前さんまで知ってんだよ…」
「この大阪のことで知らないことなんてないよ。」
「よりによって三成かよ…」
「文句でもあるのかい?」
「大有りさ!小生の可愛い妹が」
「あきらめ給え。君に似ず彼女は聡明みたいだしね。吉継君が乗り気なんだ。そうやすやすと破断にならないよ」
「…才色兼備で素直な優しい娘が、よりによって」
「しつこいよ」
「だってよ〜」
「ふむ」
「?」
「三成君もそろそろ独り立ちしたほうがいいとは思っていたから…丁度良い」
「半兵衛?!」
「冗談だよ…まぁ人の恋路をなんとやらと言うんだ。秀吉に仇を成そうとした君の妹と分かっても諦めないのだから彼も本気だろう」
「それだ!」
「ん?」
「流石天才!」
「ちょと待ちたまえ」
「おーい!!!!」
「行ってしまった…誰か。吉継君に伝えてくれ給え」

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暗の妹と三成

治部様はひどく癇癪持ちで気が短くすぐ人に刃物を向けると聞いていた。ただ一度たりとも遭遇したことのない私にとっては信じがたい話なのだ。穏やかな方だと思っていたくらいなのだから。眉唾物ですねと言えば兄上に驚嘆を通り越してなんとも言えない顔をする。曰く、極悪非道らしい。
怒鳴り声すら聞いたことないと言っても太閤殿下の左腕。兄上の忠告と恐れ多い方であることには変わりはないのでできるだけ近くに寄らないようにはしている。





「熱っ?!」
「?!」
「も、申し訳ありません!お怪我は?」
「…」
「出会い頭にぶつかってしまった非礼どうぞお許しください。…治部様?」
「…い、や」
「本当に。申し訳ありません。…お召し物など大丈夫ですか?」
「私は…」
「でしたら不幸中の幸いでした。お咎めは謹んでお受けいたします」
「?!」
「ただ、此方を片付ける間はお許しください。」
「咎は」
「?」
「咎はない…寧ろ、私のせいだ」
「?!」
「すまん」
「いえ!私が周りを…本当に」
「撒いたのはお茶か?」
「はい」
「火傷は?」
「大したことはありません。」
「…来い」
「!」
「い、や。すまん!手、など。少し待っていろ。」
「はい」




そう言うと風のように走っていかれる。私は驚いたものの立ちすくむわけにもいかず、片付けをし始める。よかった割れてなかった。近くを歩いていた同僚にお茶をお願いしているとまた、風のように走って来られる




「おい」
「は、はい!」
「片づけをしておけ。」
「それは私が」
「お前はこっちに来い」
「?」
「手当てする。あとが残っては大変だ」
「そんな。お手を煩わせるようなこと」
「…」
「…」
「…」
「…では、お願いいたします」
「刑部の薬だ。よく効く。」
「そんな高価なもの!」
「気にしなくていい」
「ですが」
「手を出せ」
「ですが」
「私から言っておいた。気にするな」
「後からお詫び申し上げないといけませんね」
「…」
「っ」
「少し酷いか。痛いか?」
「少し」
「すまない」
「?」
「あまりこういうことは得意ではないらしい」
「ふふ」
「…」
「治部様はお優しい方ですね」
「?!」
「申し訳ありません」
「?」
「この程度で痛いだなんて…情けない話ですが痛いのは苦手で」
「そうか」
「治部様?」
「華奢な手だ。私たち武人と違うのだから致し方…す、すまん!そう言う意味では」
「???」
「そ、そういえば。刑部の所の侍女だったな」
「はい」
「名は?」
「?」
「刑部に聞いたがお前に聞けと言われた。」
「ああ。申し遅れました。刑部様に仕える侍女頭補佐の黒田と申します」
「くろ、だ?」
「はい。」
「まさ、か」
「?」
「暗の?」
「ふふふ。治部様も兄上のことを暗と呼ばれるのですね」
「?!」
「刑部様は私のことを黒田と呼ばれます。当主の兄が暗ですから、少し居心地が悪くて」
「そう、か」
「治部様?」
「いや、いい」
「?」
「出来た」
「ありがとうございます」
「すまない」
「?」
「やはり、名を教えて欲しい」
「???」
「黒田ではなく…その、だ」
「え?!あ、の」
「…」







「そーは問屋が卸さねぇぜ!」
「?!」
「あら、兄上。如何致しましたか?」
「ほらこっち来い!連れ戻しに来た!!!」
「何を言っているのですか?」
「やい!三成!!!うちの初心な妹手篭めにしようと思ったら大間違いだぜ!!!お前も!そうほいほい下の名前言うなっつっただろう!」
「…」
「兄上。失礼でございますよ。」
「何がだよ!」
「治部様は怪我をした私の手当てを」
「手を触らせたのか?!やい!!!三成!!!このむっつり!!!!」
「兄上!…申し訳ございません。兄上がとんだ非礼を」
「構わん。お前のせいではない(が、覚えておけ!!!!暗!!!!!)」
「(こぇぇぇぇ!けど!可愛い妹に手ェ出す奴は許さん!)ほら!行くぞ!!!!」
「兄上。私にも仕事が」
「仕事ったって刑部の世話だろ!あの捻くれ者の世話なんて!」
「ひひひ」
「来たか」
「げ」
「あ、兄上?!刑部様!」
「やれ、釣れた釣れた」
「刑部!!!!おろせー!!」
「仕置きよ仕置き。やれ、黒田」
「はい」
「主は少し休みしゃれ。三成」
「何だ」
「この娘は暗と違って働き者よ。」
「おい!どういう意味だよ!!!!」
「知っている。それがどうした」
「播磨から来て城下で遊んだことのない堅物。少し遊びに連れて行ってやらしゃれ」
「?!」
「治部様はお忙しいのですよ?刑部様こそお暇無く働かれておいでなのに」
「しかしなぁ…」
「おい!俺を下ろしてから話しやがれ!!!」
「ひひひ」
「なーぜーじゃーー!!!!」
「あ、兄上?!」
「ひひひ飛んだ飛んだ」
「おい」
「え?は、はい」
「明日、朝食が済み次第行く。」
「え?!」
「ここで待っていろ。良いな」









暗の妹と三成









「ひひひ」
「刑部、感謝する」
「いや何。我な構わぬがなぁ。あれの兄は良いか?」
「?」
「わからぬという顔だ」
「あれはあれだ。暗とは違う」
「左様か」
「…」
「(本に嬉しそうよ)」
「おい!」
「はて、この椅子は煩い、煩い」
「いでぇ!」
「あれは美しいのになぁ」
「妹は生まれた時から可愛いんだよ!」
「…」
「な、何だよ」
「貴様知らぬ事実が許し難い」
「?!」
「即刻首を」







「失礼いたします」







「やれ黒田」
「…刑部様。兄様にも少し優しさを」
「いや何。これも優しさよ。躾せぬ犬は何時かは…なぁ」
「恐ろしいわ!」
「お茶をお持ちいたしました」
「すまない」
「お二人とも。治部様を見習って落ち着いてくださいませ」
「ひひひ」
「明日」
「侍女頭様にも許可を頂きました。石田様はよろしいのですか?」
「良いのよ。賢人にも言われておったからなぁ。三成にも休暇は必要よ」
「…」
「私は構わん。」
「なら」
「?」
「実は楽しみで」
「!」
「では明日宜しくお願い致します」
「あ、ああ」
「では失礼いたします」







「まさに早業よの」
「猫かぶりやがって!」
「黙れ」
「ひひひ。では三成に代わって優しい我がしつけしてやろうなぁ」
「なぜじやーーーーーーー!!」

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