暗の妹と三成 2 暗の妹と三成 2016年11月11日 「雨」「致し方ない。天の采配には勝てぬ勝てぬ」「…」「そう天を睨むでないわ。ますます雨脚が強くなろう」「っち!」「致し方なしとあれも仕事に出てしもうたしなぁ」「…」「やれ、三成。…ん?」「失礼いたします」「おお、黒田」「お薬をお持ち致しました…治部様?」「な、何だ?」「縁でおられましたら寒くありませんか?」「いや」「火鉢でもお持ちいたしましょうか」「では、頼む」「あと、少し動かないでくださいね」「?!」「御髪に雫が。雨足が強くなっておりますから。」「やれ、三成。部屋に入りゃれ」「ああ」「お茶をお持ち致しますね」「頼む」「刑部様」「ん?」「私が帰ってくるまで治部様が帰られないようにお願いいたします」「?」「ふふふ。今し方お部屋に行きましたけれどもいらっしゃらなくて。」「早よ行きゃれ。」「はい」ぱたぱたという足音を珍しく聞かせているところを見ると走っているらしい。これは本当に珍しいと言えば、三成は真っ青な顔をして「拒絶されたのだろうか」とあさってな台詞を吐き出すので一応笑っておく。拒絶するなれば入ってこぬよと言えば納得しきらずとも落ち着いたらしく、そうかとだけ言うのだ。この太閤狂いの朴念仁が一端にも恋をした。我と話すあれが気になって仕方がなくなったのは寝込んだ時に献身的に看護をしていた姿を見てかららしい。我は当て馬よなぁと下がらぬ熱の中言えば鼻で笑う程度の余裕があったのに「色々」あったせいでその余裕も無くなってしまって今に至る。不器用で致し方ない男だがなぁと内心思いつつもあの初心な黒田では何の発展もないだろうとあれの上司と話した上で発展させようと躍起にはなるものの毒気抜かれるのは我らの方なのだ。あの二人の内にある感情は恋愛の有無を度外視してもまるで童のような、純粋で無垢な感情なのだから「遅い」「やれ落ちつかしゃれ」「まさか!」「失礼致します」「?!」「すいません。少し手間取って…あら?」「ひひひ」「治部様は縁がお好きなのですね」「…」「縁側よりにお座布団をひきましたから。」「ああ」「手ぬぐいを」「すまない」「火鉢も」「私が」「いえ大丈夫でございますよ」「だが」「お茶とあと」「?」「菓子を作りました。折角のお約束を反故にしてしまって…」「?!」「お詫びの印です。また宜しければお誘い下さい」「あ、ああ」「刑部様の分。」「やれすまぬなぁ」「では失礼いたしました」暗の妹と三成 2「なー半兵衛」「何だい、官兵衛君」「うちの妹の」「ああ三成君の想い人だね」「何でお前さんまで知ってんだよ…」「この大阪のことで知らないことなんてないよ。」「よりによって三成かよ…」「文句でもあるのかい?」「大有りさ!小生の可愛い妹が」「あきらめ給え。君に似ず彼女は聡明みたいだしね。吉継君が乗り気なんだ。そうやすやすと破断にならないよ」「…才色兼備で素直な優しい娘が、よりによって」「しつこいよ」「だってよ〜」「ふむ」「?」「三成君もそろそろ独り立ちしたほうがいいとは思っていたから…丁度良い」「半兵衛?!」「冗談だよ…まぁ人の恋路をなんとやらと言うんだ。秀吉に仇を成そうとした君の妹と分かっても諦めないのだから彼も本気だろう」「それだ!」「ん?」「流石天才!」「ちょと待ちたまえ」「おーい!!!!」「行ってしまった…誰か。吉継君に伝えてくれ給え」 PR