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変換なしの雑食夢

ran

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明星 2

「何ですかい?貴方が花など持って。珍しい」
「やる」
「ふふふ。どんな風の吹き回しか。明日は雨かしら?」
「それは知らん…だが」
「?」
「お前を身請けしたい」
「…は?」
「聞いて欲しい。今度万騎長に昇格する」
「あら、其れはめでたい。ようございましたなぁ」
「…」
「ダリューン?」
「伯父上に頼むつもりだ。」
「何を」
「お前を身請けして嫁に貰う事だ」
「…」
「お前にも尋ねたい。私の妻になってはくれないか?」
「ふふふ」
「?」
「思えば、5年。妾の水揚げの相手は貴方でしたなぁ。」
「…ああ」
「色々ありました。良いこと悪いこと。この小さな窓から外を見ておりましたから…世間にはうとうございますが」
「?」
「王が代わり、人が変わりましたが…奴隷が万騎長の妾になっても妻になれた話は聞きませぬからねぇ。」
「何が言いたい」
「そこまで世は変わっておりませぬという事ですね。私が貴方の妾になっても妻にはなれませんよ。絶対に」
「!」
「大体、えお父上お母上はお許しになっておられないのでしょう?」
「其れは…だから今回の褒賞と合わせて」
「妾を嫁に?」
「ああ」
「うんと言うとお思いですか?大将軍閣下が?其れこそありえない話ですねぇ。そんな無茶苦茶な事を言うだなんて疲れているんですよ。ダリューン、今日は此れを持ってお帰りなさいな」
「お前は!少しは真面目に聞け!」
「貴方は真面目すぎるんですよ。水揚げの時も責任取るっておっしゃていたけど貴方が責任を感じる事なんて一つもありはしませんよ」
「責任でどうこう思っていない。私はお前のことが」
「妾は店のものでしてねぇ。どんな男でも良いんですよ」
「おい!」
「閨の話を間に受けないこと…っ!」
「お前は」
「痛い。手を離して」
「嘘をつくと私の顔を見ない」
「っ」
「嘘をつくな。お前がそんな女でない事は私がよく知っている」
「…」
「お前は私が守る。必ずだ。だから」



絆されそうになるのだ。この手を縋れば彼は言葉通り妾を守り続けるだろう。だけれどもそれは並大抵の話ではないし、何よりいつか疲れてしまうという事を妾は誰よりのも知っている。



縋ってはならないのだ。そう、約束したのだから




「わかりました」
「?!」
「貴方の妻になりましょう」
「本当か?」
「但し一つだけ条件があります」
「条件?…何だ?」
「貴方が騎士をお辞めになられるのなら。」
「?!」
「お辞めになって私と遠くに逃げるのなら。妾は貴方の妻になります」
「それ、は」
「それは?」
「…」
「無理でございましょう?」
「…」
「それを私が一番知ってますからねぇ」
「…っ」
「貴方が騎士をやめてどこかに逃げるほどの奇跡があるならば、妾が人並みの妻になれる奇跡が起きるかもしれませんが、ね。…ダリューン」
「何だ」
「お帰りなさいな。」
「また、来る」
「さてねぇ。耳半分で聞いておくよ」
「必ずだ」
「まぁ、奇跡が起きそうなら来ておくれ。…それまで達者にね」










雨がよく降っているなとナルサスは挨拶なしに入ってきて一言言う。何時も返せる軽口も返せないのだから訝しんでいる事だろうと思ったらそうではないらしい。彼が帰って直ぐに大将軍閣下がお出でになった。その付き添いで来た時気もしないのに教えてくるのでいささか面倒臭い。





「大将軍閣下に会うのか?」
「私が?会うわけないだろう?…ダリューンにしても貴方にしても本来似合わないところに来ている事を自覚しているのかい?」
「さてね。私は知らんが、ダリューンはそうだろうな」
「何を血迷ったのか。早く綺麗で良いとこのお嬢さんをもらうこったね。そうすれば」
「そんな簡単なやつだと思うか?」
「…思わないわねぇ」
「おい」
「かと言って今の状況で妾が人並みの妻になれると思うかい?」
「ダリューンなら」
「あの人ならさ。だけどいらぬ苦労をしなければならないものさ。」
「…」
「あの人にはそんな事させたくないしねぇ」
「おい」
「絶対に…」
「…」
「…」
「そうか」
「まぁ妾の小さな意地さね。」
「わかった」
「でもねぇ。あの人が騎士をやめて一緒に逃げてくれたら…」
「そんな事言ったのか?」
「それくらい言わないと諦めつかないだろう?案の定さね」
「酷な事をしたな」
「…まぁそれほどでもなかったという事ね」
「おい」
「それだけの話さね」













「姐さん!」
「ん…」
「おはよう!お客!」
「おちびちゃん。おはよう。もう少し静かに起こしておくれ」
「起きないだろう?…上着」
「はいはい…ふぁー…眠い」
「起きて起きて!お客さん」
「ん?ダリューン?」
「すまない…待つと言ったのだが…どうした?」
「いやねぇ。随分と歳がいったと思ったのよ」
「は?」
「さっき妾の夢に出てきてたのよ。若い時のあなたが」
「そうか」
「お茶を頂戴。ダリューンは?」
「もう良い」
「そう。おちびちゃんありがとう。物のついでに、ナージンに言って人払いをお願い。火急のようは別だけどね」
「はーい」
「さてと」




そう言って妾は席に着く。少し老けたダリューンが不服そうに座ってい思わず笑ってしまう



「どうしたの?」
「歳がいったとは失礼だと思っただけだ」
「ふふふ。そういうのなら妾の方ねえ。全部白髪になっちゃったもの」
「他は変わっていない」
「ありがとう。世辞でも」
「…」
「睨まないでよ」
「癖、のようなものだ」
「良い癖ではないねぇ」
「…」
「ダリューン?」
「あの時」
「?」
「伯父上に聞いた。会ったそうだな」
「昔の事は忘れたよ」
「…」
「殿下は?元気にされてる?」
「ああ」
「王都に帰れないからお寂しい事ね」
「なぁ」
「無理」
「何も言っていない」
「お手伝いもするわ。でも。傘下には入らない。」
「…」
「些かくどいわよ。歳がいってくどくなった?」
「あの時にそれがあったら違っていたかもな」
「変わらないわよ。」
「…」
「そういうものだもの」
「そうだな」
「奥方も出来たのでしょ?お子は?」
「まだだ。結婚すらしていない」
「嘘おっしゃいな。大将軍閣下直ぐに縁談を」
「断った」
「…」
「好きでもない女と同衾する気はない。」
「呆れた」
「言っていろ」
「そこまで思われた人は幸せね」
「そうか」
「誰?あの綺麗な人かい?」
「あの時と変わらない」
「…」
「お前だ。」
「…」
「何だ?」
「冗談」
「言うように見えるか?」
「いや…」
「私が勝手に思っている事だ。気にするな」
「…そうさね」
「ナーヒード」
「…久しぶりに呼ばれたから違和感があるわ」
「そうか」
「ダリュー…っん」
「まだ時は来ていないが…必ず迎えに来る。待っていろ」
「さてね」
「ナーヒード」
「気が向いたらねぇ」











明星











「また振られたのか?」
「煩い」
「まぁ今のままでは無理だろうしな。なんて?」
「いわん!」
「そんな事より手紙は」
「…」
「流石だな。そろそろ動くか」
「ダリューン」
「殿下」
「首領殿は息災であったか?」
「あちらも同じく殿下を心配しておりました」
「そうか」
「??」
「いつ迎えに行くのだ?」
「…」
「また振られたようですよ。」
「そうか」
「そうだな、クバードの名前を出してみるか」
「???」
「なぜクバードなのだ?」
「ふふふ。物は試しです。やってみましょうか」
「「?」」

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