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変換なしの雑食夢

ran

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日常 13

「相模様、益々苛烈になられましたね」
「あらら、絞られているわね」
「5年前も一度。あの時は二つ目でしたから、今より苛烈でしたけど。ね、八代様」
「私その時…相模様の凄さを見ましたもの」
「其処、黙る」
「はい」
「相模、青菜に塩状態よ」
「自分の練習不足を怨みなさいね。ほら、ずれた」
「はひ!」
「背筋は伸ばす!」
「あら」
「あ!千曲様」
「助けてください!」
「まだこの程度?しっかり躾けなさい」
「「え?!」」
「このままで御前に出れるとでも?」
「ふふふ。そろそろ本気を出しましょうか」
「?!」
「あーあ。相模が本気を出しましたわ」
「ふふふ。」
「相模様ってお優しい方だから」
「千曲様よりマシと思っていましたのに」
「ふふふ。ですって」
「相模は名の通っていますから私の時より客人が多いと思いなさいよ」
「そうですよ。座にも座れぬほど人が来たと聞き及んでますわ」
「大げさですよ」
「…本当の話です。今回は和琴で御座いましょ?何人にも聞かれましたもの」
「其処で失敗したら末代の恥よ」
「うへー…私の淡い期待が」
「ふふふ。」
「婚約者が来るのでしょ?」
「はい…楽しみにしていると文で」
「そうね。下手な琵琶を聞かせて破談にさたいのなら良いですが」
「ひっ?!」
「あんた、あの状態の相模様にいらないこと言わないで!」
「小谷、淡道。」
「「はい!」」
「そろそろ寝言はやめて本気にかかりなさい。破談にしたくないのは親御様達も同じですよ。貴方達のお父上様お母上様からようよう言われておりますからね」
「ひー…!!!」
「ふふふ。あら?」
「まぁ、治部様だわ」
「…」
「しっ!少し休憩いたしましょう。相模。二人は少し預かりますわ」
「え」
「お茶を飲ますだけよ」
「…もう」
「おい」
「これは、治部様」
「ああ。女楽か」
「はい」
「楽しみにしている」
「ふふふ」
「蜘蛛の子を散らしたようだな」
「皆面白がっておりますもの。」
「そうか」
「部屋付きは…滞りなくお仕えして居りますか?」
「…」
「もう少ししたらまた通常に戻りますから」
「なら」
「?」
「少し弾いてみてくれ」
「良いのですか?」
「?」
「では少し。ふふふ」
「意外と好きなのだな」
「ええ、最近は指導の方が多いので」
「そうか」



そう言って嬉々として爪弾く。その姿がとても美しくて口元が緩む。今度の宴に相模が引くと聞いて何人もの武将から出席の許可を請う書状が届いた理由がよくわかった。じっと凝視し過ぎたのだろう。弾き終わるとくつくつ笑って如何でしたかと問うものだから良し悪しはわからないとだけ告げておく。



「まぁ」
「ただ今まで聴いた中で一番良いと思う」
「世辞でも嬉しい」
「世辞を言うと思うか?」
「いいえ」




そう言うと和琴から身を乗り出して私の顔を見る。じっと見つめる目は漆黒。くらりとする。なんだという声は変ではないだろうか?ふふふと笑って髪の毛を撫でられる。小さな、手だといつも思う。あの夜、握ったあの手は小さく、華奢で美しかった




「癖が」
「ああ」
「また頬杖をついて寝ていらっしゃったのですか?」
「…」
「きちんと寝てお休み下さい」
「お前が帰ってきたらな」
「宴が済みましたら直ぐに」
「では、善処する」
「隈」
「お前もだ」
「あら、嫌ですわ」
「相模」
「あら、近い」
「他には?」
「お綺麗な御顔です事」
「それは貴様だ」
「あら、嬉しい」
「…くくく」
「?」
「早く私の妻になれ」
「今は女楽で精一杯ですもの」
「そうか」






「あー…」
「死ぬ気で頑張りなさい」
「はい」
「お似合いなのに」
「お二人の子供なら美しいでしょうに」
「ねー」





日常 13




「今年は相模君かい」
「はい」
「初めて女楽に入った時の事が思い出されるね。君の扱きについていける猛者が現れたって」
「何も知らないあの子が今や四楽器全て一流なのですから…感慨深いものでございます」
「そう言うところまでよく似ているね。」
「二人とも良い子よヨイコ」
「にしてもあの子が治部様に嫁ぎましたら…」
「やれ佐渡」
「この癖のある皆々様に対応できる者がおりませぬ。やはり私が直々」
「それは遠慮したいね」
「左様サヨウ。主は総括者がよう似合う。」
「小言が嫌なだけでございましょう」
「四角四面なのは表だけでいいよ。君も。これくらいの関係がいいだろう?」
「本当に。睡眠薬を何度仕込もうかと思った事が…ですけれども。皆様我慢お出来に?」
「当分。昼間は我らの事はしてもらおう。仕事は身の回りの世話だけだから量は減るだろう?子が出来たら致し方ないよ。当分、君で我慢する」
「それまで扱きゃれ」
「それもそうでございますね」




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