忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

恋慕する三成 1

「奥方様」
「はい?」
「お耳に入れたい事が」
「殿様が侍女を手篭めにしているという話?其れも特定の者という話ね」
「知っておいでだったのですか?」
「ふふふ。昨日竹中様と刑部様直々に文を頂きましてね。側にしたいから理解せよとの事でした。」
「なっ?!」
「まぁ、父上様も許可しているみたいですし。太閤殿下の御意志に娘と言えども私程度の小娘一人逆らえませんよ」
「奥方様…」
「さあさあ、悲しい顔をなさいませぬように。ここは天下の大阪城。憂いなどあってはならないのですよ」





そう言うと悲しそうな顔をして侍女が下がっていく。あれは私が母を亡くしてからの付き合いだったから仕方ないなと思いながら文机の手紙に視線をやる。竹中様と刑部様からの手紙は否なれば側の件は無かったものとすると続けられていたが…相思相愛の者を引き裂く訳にはいかないし、逆にその様なものがいるのに私などが正室としている事、またその座から私の意志のみで退く事ができない事を申し訳なく思う。太閤殿下のご許可が得られるのならば養子として石田様と縁を結びその後離縁してその方を正室にと書いて送ってみたが返事がない。面倒なのか話し合いの途中なのか。よくよくわからない。結婚してひと月。有りもしない寵に縋っても何にもならない事を早々に教えてくれた事に感謝しないといけないなぁとぼんやり思って庭を見る。




「あら、にゃんこ」
「にゃー」
「お母様は?あらまぁ。お前も私と一緒なのね」
「にゃー」
「ふふふ。少し汚れているわね。誰か、桶を。」
「お呼びで御座いますか?…猫?」
「ええ。飼ってやっても良いか竹中様に聞いてみます」
「殿様には何と」
「私の様なものが現れるだけで御心を害されますでしょうから。竹中様にお願いしておきます。」
「その様な」
「にゃー」
「ふふふ。可愛い」
「にゃー」
「にゃー」
「奥方様」
「何?」
「少しお預かり致しますね。」
「お願いします」





文には何とかこうか。…竹中様にお叱りを受けるかもしれないなぁ。ダメなら飼い主が見つかるまで誰かの家で世話をして貰おう。












「やれ、賢人」
「困ったねぇ。発破をかけたつもりだったんだけど」
「我の方と同じ…か。如何いたす?」
「箱入り娘といえば聞こえは良いけど。放置していたに近いから…如何したものか」
「三成は?」
「言ってないよ。流石にね」
「はてさて。困ったこまった」
「結婚する時には否とは言わなかったのだけどもね」
「…やれ、賢人」
「ん?」
「是ではなかったのか?」
「え?ああ。三成君と婚儀が決まったよって言ったらはいって。良いの?って聞いたらはいって。…あれ?」
「ぬしに言われたとおりにしているだけか…其れはそれは」
「嫌なら嫌って言うだろう?」
「我は姫が否と言ったところを見た事がない。」
「確かに」
「左様か左様、か。」
「如何したものかな?」
「我とて知らぬよ。ただ。結婚に対しても姫は己が無い様よの」
「ああ」
「其れは何故か…」
「三成君は好いているみたいだし」
「故に我とて放って置けぬのよ。あのままでは三成が哀れよ」











恋慕する三成






「猫?」
「殿様?」
「何故、猫が?」
「迷い猫です。ね、」
「にゃー」
「にゃー」
「…」
「今、竹中様に文を届けたところです。」
「半兵衛様に?」
「この子を飼って良いか否か」
「何故」
「?」
「私に言わない」
「申し訳御座いません」
「いや…そうではなく。此処は大坂城と雖も畏れ多くも下賜された私室だ。何かあったら私に言って欲しい」
「ですが…」
「不服か?」
「いえ。殿様が御不快かと」
「私が?何故」
「側の件です」
「?」
「にゃー」
「あら、眠たいの?ふふふ」
「…」
「では殿様。」
「ん?」
「御許可いただけますか?」
「許可する。が、先程の」
「やれ、入る…三成もおったか?」
「刑部」
「やれ奥方。猫の件あいわかったと伝えに来た」
「はい」
「これか?ちゃかりものよの。膝で寝ておるわ」
「ふふふ」
「…」
「あら、逃げてしまったわ」
「三成」
「私は何もしていない」
「くろー」
「安直であろう?」
「…つき」
「月?」
「はい。おめめがお月様色ですから」
「ああ」
「そういえば」
「?!」
「殿様もお月様色の様な御髪ですね」
「お、く?」
「ふふふ。あら、帰ってきましたね」
「…」
「ではつきに似合う紐を見つけてあげましょうね」

拍手

PR
        
  • 1
  • 2