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変換なしの雑食夢

ran

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恋慕する三成 4

「…ん。あいわかった。引き続き調べよ」
「はっ!」
「やれ困ったこまった」


あの日より妙に感じる侍女たちの殺気に探りを入れていたら案の定、病の理由が知れてくる。毒。しかも、三成が持ち込んだ菓子に仕込んだというのだから頂けない。確か、戦支度の前か。吟味に吟味を重ねていると左近が言っていたはずだ。
何より。あれは奥方に心底惚れている。一年や二年といった短い時間ではない。故間違えてもそういう事が起きるはずはないのだ。
ただ、逆は如何か。奥方の母親。太閤の奥方は毒を煽って亡くなったと聞いた事がある。奥方の眼の前で。
其れを幼少の砌に見たのだ。なれば己が身を守るか、三成を厭うだろうが…素振りがない。訳がわからぬ





「おい」
「やれ、三成か」
「奥にこれをと思うが」
「ひひひ。凶惶も随分と丸くなったものよの」
「…」
「まぁ奥方のみだかなぁ。…その後、奥方の調子は如何か?」
「昨日、軒先に座って外を見た。」
「二人でか?」
「猫もいる。」
「左様か」
「どうした?」
「あの菓子よ」
「菓子?」
「奥方に渡した」
「ああ。あれが如何した?」
「いかにして手に入れたものかとな」
「金平糖をか?先だって下賜されただろう。以前、奥が食べてみたいと言っていたからな。」
「金平糖?」
「如何した刑部?」
「饅頭であろう?そう、聞いておるが」
「いや…まさか?!」




三成が跳ねるように立ち上がるとあの速度で奥方の部屋に向かう。まさかなのだ。あの折、忙しくて手渡した菓子の内容が違うという事実は空恐ろしいことに繋がる。何より、近づけばわかる程度に奥方の部屋は騒がしい。





「奥?!」
「あ、ら。殿様…」
「血?!」
「吐血しておいでです!今、医師を!!!」
「何故、だ!?おい!!!そこの女!!!如何なっている!」
「殿様から下賜された菓子を!!!奥方様に何を食べさせたのですか!!!」
「やれ、落ち着けおちつけ…奥方。手を出しゃれ」
「私が?!このようなもの!私は奥に渡していない!!!」
「え?!ですが…昨日もその前も…」
「にゃー」
「つ、き」
「?!奥!!!刑部!医師を呼べ!!!」
「あいわかった。…菓子を持ってきた女を捕まえしゃれ」
「は、はい!」
「お、く…」
「殿、」
「ああ、すぐに医師が来る。」
「涙」
「っ」
「お泣、遊ばしません、ように」
「無理を、いうな」
「ふふふ」








血を吐いた奥方のそばには甘味が転がっている。其れ、なのだろう。三成はひしりとその体を抱きしめて涙を流し、奥方が其の体を撫でている。
何なのか。齟齬がひどい

血を吐き、死が近しいというのに。死を呼ぶとわかっているのに。






其れでもなお受け入れるのは、何故か。










恋慕する三成 4







「ん…」
「奥?!」
「と…の?」
「ああ。私だ。…わかるか?!」
「え、え」
「奥方様。お口を濯ぎ下さい」
「ん」
「気分は如何だ?」
「殿様…ずっとおいで遊ばされたのですか?」
「ああ」
「申し訳ございません」
「当たり前だ!…お前は私の大切な妻だ」
「ふふふ」
「顔色が悪い。血を吐くなどあってはならない!」
「ええ。あら、殿様」
「何だ?」
「お召し物に…血が」
「ん?ああ。お前を…その。だ。抱きしめた時に」
「申し訳ございません。直ぐに」
「…いい。今は頼む。じっと安静にしてくれ」
「…はい」
「手を」
「?」
「寝るまで、ここにいたいが。良いか?」
「ええ」
「!」
「その様に、固まらないでくださいませ」
「いや、そのだ」
「ふふふ」
「…奥」
「?!」
「無事で、良かった」
「接吻…あら、誰か!」
「はい…殿様?!」
「しー…手を貸して頂戴。寝てしまわれたわ」
「奥方様をたいそうご心配遊ばされておりましたから。」
「…そう」
「奥方様?」
「いえ、良いわ。刑部様に連絡を。おやすみ遊ばされても大丈夫かを尋ねておいて頂戴」
「はい」

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