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変換なしの雑食夢

ran

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十二国

「今日は戴の王と麒麟が来る」
「戴、でございますか?」
「北の国だ」
「玉の産地でございましたね」
「ああ」
「主上」
「ん?」


何かお楽しみでもございましたか?と尋ねて帯を締めると苦笑される。お見通しか?と仰られるものだから私はくつくつ笑うことしかできない。


「お楽しそうでしょ?公務ですのに」
「どういう意味だ?」
「お逃げ遊ばしませぬし。それどころか衣装の指定まで」
「敵わぬな」
「安心召されませ。上は六官から下は下官まで皆知っておりますよ」
「そんなに分かりやすいか?俺は」
「ふふふ」
「笑うな。存外傷付いているのだぞ」
「お逃げ遊ばさないからですわ。何時もなら朝から大人気ない鬼ごっこを為さるのに今日はありませぬもの。」
「…」
「綺麗な女人か」
「は?」
「沢山の玉か」
「軽んじられているな」
「あら、大宗伯様の言でございますよ」
「あいつ」
「さて。出来ましたよ」
「…」
「主上?」
「でだ」
「?」
「お前はどう思ったのだ?」
「私ですが?」
「ああ」
「如何して?」
「…」
「また悪さなさったのですが?」
「違う」
「?」
「お前にまで軽んじられているかと思うとだな…どうも心地が良くない」


そう言うと不貞腐れながら椅子に座るものだから微笑んでしまう。其の儘膝間付いて膝に手を置くと私の名前を呼ぶ。

「私が主上を軽んじることはありません」
「どうだかな」
「其の前に見限ります故ご安心を」
「…」
「一応大宗伯様には申しましたの。戴の国に驍宗なる左将軍が腕の立つお方と風の噂で聞き及んでおります。最近腕が鈍るとぼやいておられましたから」
「時々だがお前」
「はい?」
「城から抜け出して居るだろう」
「まさかあなた様であるまいに。私まで抜け出しましたら誰が山積した書類に目を通すのです」
「お前の風が恐ろしい」
「恐ろしいついでに」
「ん?」
「西におられる白梅はお元気ですか」
「…」




見上げる主上の顔には冷や汗が一つ。にこりと笑ってお時間ですよと私は笑うのだ。




曲者と野薔薇

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