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変換なしの雑食夢

ran

好みではない夫の三成 12

「奥方様」
「?」
「殿と大谷様がお帰り遊ばしました」
「そう…表に参りましょうか」
「いいえ。こちらに御出でになるということです」
「お二人で?」
「宴の前にお顔を拝見したいそうでございます。宜しいですか?」
「ええ」
「では私はお茶の支度をしてきます」
「お願いね、しの」






しのとは赤ん坊の頃からの付き合いだ。侍女としてでは無く私の幼馴染として共に居た。ここに上がる際の侍女として。慣れたものの方がいいだろうと勝手に決めたのが愚兄だ。引く手数多のしのが私の侍女になるのは反対したのだが覆されることは無く。なれば寵妾として栄華を極めて欲しいと頼んだものの答えは何時もいいえなのだ。寵妾より、侍女の仕事が性に合っていると笑って私に告げるのだから私はため息交じりで納得するしか無い。そういう人なのだ。曰く、幼馴染で姉で、戦友なのだ






「はいる」
「殿…と」
「我もよの」
「吉継様。」
「おい!名前を呼べと言っただろう!」
「ふふふ。ご無事でよろしゅうございました」
「ふん!」
「ひひひ。主は如何か?」
「日ノ本一安全な場所で恙無く」
「左様か…ん?」
「お茶をお持ちいたしました」
「ありがとう。しの」
「いえ」
「ああ、お願いがあるの」
「?」
「今、お二人に出されたお茶を飲みなさい」
「!!?」
「やれ、月」
「どういう事だ?」
「それはしのが飲めばわかりますわ」
「っ」
「しの」
「…三成」
「おい、女」






逃げようとしたのだろう。茶碗の割れる音はすれども血の匂いはしない。きっと吉継様か殿が取り押さえたのだろう。



「奥方様!」
「何?」
「何かの間違い」
「なれば飲みなさい」
「それ、は!」
「何より…私のしのは?」
「っち!」
「?」
「忍びか」
「ああ。そういう事か。…命乞いは許さない。死ね」
「やれ、三成。ここは我と賢人の出番よな。…月よ。これを我にくれるか?」
「ええ」
「ひ、ひひひ」
「この世の苦しみを全て味わいなさい」






好みではない夫の三成







「にしてもよくわかったな」
「しのとは長い付き合いでございます。」
「?」
「声や癖を真似て香まで共にしても心音迄は共にできませんもの」
「…は?」
「目が見えにくい時は特に耳や鼻がきくのですよ」
「そういうものか」
「あといくら無臭の毒と言ってもお茶の入れ方まで一緒は無理ですしね」
「凄まじいな」
「ふふふ…あら」
「やれ、入る。月」
「しのは…」
「今米蔵の裏で見つかった」
「…」
「弔うのは」
「いいえ」
「?」
「これで大願が叶うのでございます」

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