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変換なしの雑食夢

ran

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初恋の三成 10

「雪ちゃーん」
「?」
「此処!」
「あ!お帰りなさい、佐助兄様」
「ただいま。はい」
「…今回大阪じゃなかったでしょ?」
「寄ったの!」
「…」
「嬉しいくせに」
「嬉しいですよ」
「明後日、行く奴が居るからそれまでにね!」
「はいはい」








あれから早半年。
あれ以来私は戦さ場を除いて石田様には会ってはいない。戦さ場でもあったというより遠巻きに見た。が近いかもしれない。手を振ると苦笑されるわ佐助兄様に知られて気が抜けている!と怒られ散々だったけど。まぁ、この雪が解ける頃には用意もできるから桜の時期に嫁ぐことになっている。新年は如何するべきかと聞いた気がするけど。…と思いつつ箱を開ける。




油紙に丁寧に包まれているものが5つ。2つは手紙かなぁ?石田様とあと誰だろう?刑部様かな?あとは、と思いつつ包みを開けると紅と櫛と筆と。筆なのがあの人らしい。




「手紙はやっぱり刑部様だ」



但し表書きは私宛ではなく佐助兄様なので目録か何かなのかもしれないな。あとで渡そう。




もう一つ。
見慣れた字が見えてくる。思わず頬が緩むのがわかる。意外と無骨な時なんだよな








久しぶりに筆をとる。元気にしているか。

こちらも今は雪が降り積もっている。山深い信濃の国には及ばんが一面白く味気ない。以前なら進軍の邪魔としか思わなかったがお前との文のやり取りを遮る要因のひとつであるから邪魔で仕方がないと言いたい。
しかし、この一面を見ていたら自然お前のことを思い出す。それを見て刑部にからかわれてしまった。来年の今頃は共に大阪の雪を愛でたいと思う。
そう言えば、先の文で食事と睡眠を書いていたな。今、半兵衛様に言われて努力している。お前はよく食べる男の方がいいのだろう?…できるだけ努力をする。
共に何点か贈る。気に入ってもらえると有り難い。また文を送る。






「何か素直すぎて怖いよねー」
「佐助兄様?!」
「痛っ?!ごめん!!!」
「最低」
「?!」
「もういいです!才蔵様!」
「ちょ?!才蔵に言わないで!!!…ん?」
「?」
「もう一枚の手紙は俺様宛?」
「話そらすな!」
「大谷の旦那が?何かな?目録貰ってるし」
「兄様…?」
「ちょ、こっち来て」
「???」
「旦那ー!」
「??????」






初恋の三成 10







「三成」
「何だ」
「安心いたせ。雪殿にはちゃんと届いている」
「ああ」
「猿飛からよ」





雪ちゃんは大丈夫だから安心してね。彼方さんも雪が降ってお陰で進軍が遅かったみたい。先に強襲かけたから少し時間稼ぎになるよ。以下雪ちゃんから




石田様
ご無沙汰しております。徳川の動き、お教えくださいまして有難うございます。私の事で煩わせてしまい只々申し訳なく思っております。
今、お館様と相談して嫁ぐ時期を早めようと此方からお伝えする手筈になりました。きっとこの文に同封されているかと思います。
徳川も揺さぶりとして私を拐かそうとはと腹立たしくもあります。そう易々と捕まりませんが周りがとても心配していて時雨まで恐ろしい形相です。戦国最強と戦って勝ってしまうと皆言っておりますが心配性の兄弟たちが逆に心配です。
遅くなりましたが贈り物ありがとうございます。とても嬉しくて櫛は毎日つけています。幸村兄様には呆れられていますが、とても嬉しくて…本当にありがとうございます。此方はあまり気のきいた物がありませんので、お気に入られるかどうかわかりませんが。同封しておきます。それでは




「刑部!!!」
「ひひひ。そちらの文はきっちりと太閤に渡しておる。賢人は早ければ早い方がいいと言っておったわ。婚儀はあとでも先に此方に慣れた方がいいとなぁ」
「そうか」
「嬉しそうよなぁ」
「当たり前だ。近くにいれば守ってやれる」
「あれがただで守られる女子か」
「それでもだ」
「ひひひ。」
「?」
「よかったのう」
「ああ。…秀吉様のところへ行ってくる」
「?」
「いつ雪殿が来るか。」
「はてさて」
「知っているのか?」
「いるも、なにもなぁ」
「?」
「のう、忍び」
「…」
「!」
「来ちゃい、ました」
「雪?!ど、の」
「ひひひ。彼方が動けぬ間になぁ。仕事の早いこと」
「もう雪が降りましたから。刑部様の作戦勝ちです」
「刑部」
「賢人との作戦よ。良い土産になったなぁ」
「っ」
「後で部屋に案内する。ひひひ。三成、主がなさるか」
「あ、ああ」
「ふふふ」
「っ」

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